2024年1月 3日 (水)

資本主義の次に来る世界「少ない方が豊かである」を読んで

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今年の正月はゆっくり時間がとれて、ジェイソン・ヒッケル筆“「資本主義の次に来る世界「少ない方が豊かである」”を読んだ。

選んだ理由は、何でもありの世界、どこか狂っているようだ。資本主義も行き詰まりを期たしている。そういう中で「脱成長論」がヨーロッパで脚光を浴びているとのことを知った。

どういうことなのか知りたい。

以下、私が読んだ私なりのこの本の要約です。

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この本は問題点編と解決策編に分かれている。問題点編では、問題点では気候変動や生物多様性、格差など色々あるが、これらの問題は関連しているので、気候変動に絞って要約する。2015年のパリ協定では地球の平均気温の上昇を2050年までに1.5℃以内にすることで合意できたが、今のままで行くと3.5℃位になる。その理由として大きな問題が2つある。一つは、パリ協定を締結する際にアメリカ等の先進国の合意を得るためにBECCSを達成方策に含めた。BECCSとは、植林等のバイオプランテーションを実施し、成長過程で大気中のCO2を吸収する、成長した後は燃料として燃焼させ発生するCO2を煙突内で回収し地中に埋める方法である。そうすることで、当分は現状の化石燃料を使用しながらCO2を削減することができる。しかし、これを実行するためには膨大プランテーション、インドの面積の2倍から3倍のプランテーションが必要になる。仮にできたとしても農耕地が奪われ、今世紀中半に90億人に到達すると言われる人口を支えられなくなり深刻な食糧不足を引き起こすので、実現性に乏しい。

もう一つは、経済成長至上主義である。国の指導者や企業は、GDPが年23%以上成長しなければ、経済が回らないと思いこんでいる。仮に世界のGDPが毎年3%上昇する、複利で計算すると23年毎にGNP規模が倍になる。46年後には、経済規模は今の4倍になるということである。どれだけ削減しても、削減量が増加分に追いつかない。

何故このようなことになるか。この根源は、デカルトの2元論「身体と精神は別のものである」という考え方にある。この考え方によると、人間の体、動物、植物、自然、は“もの”である。人間(の精神)はこれらを支配することができる。デカルトの2元論は、資本主義を実践する上での理論的根拠として利用されてきた。

解決策として、人間は特別な存在ではない。人間は自然の一部であるという考え方(アメニズム)に立ち帰ることが必要である。

具体的にどうするかという点について色々の提言がある。先ずは、プラネタリ・バウンダリンーを考慮する。プラネタリー・バウンダリーとは、人々が地球で安全に活動できる範囲を科学的に定義し、その限界点を表した概念で9つの評価指標がある。これはSDGsの理論的根拠になっている。更に簡単に言えばエコロジカルフットである。人口当たりのバウンダリー(使用できる面積)が、地球の一人当たりバウンダリー(面積)の何倍になっているかで現わす。

国別のエコロジカルフットプリントは、アメリカ:5.1、オーストラリア:4.5、ドイツ:3.0、日本:2.9、イギリス:2.9、中国:2.4、インド:0.7 となっている。

エコロジカルフットプリント1.0以上の国は、今以上に、資源の消費を削減することが必要であるし、1.0以下の国は豊になるために資源の消費を増やすことができる。

一方、これまでの温室効果ガスの排出実績の比率は、アメリカ40%、EU 29%、EU以外のヨーロッパ 13%、日本5%で、その他のグローバルサウスの国は中東を含めても13%である。

以上から見ると、アメリカ、オーストラリア、イギリス、EU、日本の責任が重大であることがわかる。

ここで、アメリカを中心に考えてみる。ある調査によるとアメリカの一人当たりの年収が800万円までは幸福感と年収とは比例するが、800万円を超えると年収と幸福感との相関はなくなる。現在、アメリカの一人当たり年収は1300万円である。それでも人々は一生懸命に働き、企業は成長を目指している。一方、アメリカより所得が低いが平均寿命が長い国や教育レベルが高い国が多数ある。この違いは質の高い公的医療制度と教育システムへの投資に関係している。

高所得国は、国民の幸福度(ウェルビーング)に投資しながら、全体の資源の消費を持続可能なレベルに落とさなければならない。

大量消費を止める非常ブレーキ

1.消費を増やすために計画的に商品の陳腐値する(製品寿命を短くする)ことを止める。

2.不要な消費をあおる広告を止める。

3.所有権から使用権(レンタル・シェアリング)に移行する。

4.食品の廃棄を終わらせる。

5.生態系を破壊する産業(化石燃料産業、牛肉産業)を縮小する。

このようなことを実施すると、仕事がなくなることを心配するかも知れないが、余った時間を余暇やリスキングに振り向ける。そのためには、以下のような社会インフラを整備する必要がある。

・富裕税を投入し不平等をなくする。

・公共財(交通機関や住宅など)を、脱商品化し、コモンズ(公共の富)を拡大する。

・「豊かさ」の実感が成長志向の解毒剤となる

・債務(奨学金や高利の住宅ローン)を帳消しにする。

更に、根本的な問題として、デカルトの2元論的な世界観から自然との一体(アメニズム)に立ち帰ることが必要である。

----------------<ここまでが要約です>----------------------

読後感想

タイトルの「少ない方が豊かである」は、かなりインパクトがあるが、読んでみると内容はそれほど過激な内容ではない。しかし、最初に提起された問題“地球の気温上昇を1.5℃に抑える”という問題が、これで解決するかどうかの説明がないのでわからないが、方向としてはそうだと納得しました。

ヨーロッパでは、このような考え方が主流になりつつあるのだろう。

昨年6月「ダボス会議」を主催する世界経済フォーラムが、脱成長に関する手引き書を発行し、投資関係のリポートにもその引用が顔を出すようになっている、とのことである。

https://www.newsweekjapan.jp/mobile/headlines/business/2022/08/402045_1.php

EUの環境政策「サーキュラーエコノミー」「タクソノミー」「商品へのエコロジカルフットプリントの添付」とも方向が一致している。

しかし、アメリカはこれを受けいれるかどうかは疑問である。こんなことをしたらアメリカンドリームが消えてなくなる。猫の首に誰が鈴をつけるかが問題である。

 

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2012年12月28日 (金)

気ぜわしい師走もどうにか過ぎた

 師走とは「師馳(は)せ月」(しはせづき)。お坊さん(法師とか導師)が、お経をあげるために、あちこちの家々を忙しく走りまわったのが語源だそうです。
私にとってもまさに、こんな感じの月でした。
 
12月6日に安城市のある会社の依頼で「効果的な品質マニュアルの作り方と運用方法」の話をさせていただいた。
12月15日に東京で、UWのOB交流会で意見発表。
12月20日に岡山市の環境事業団で「環境マネジメントシステムで成果を上げるためのポイント」の話をさせていただいた。
通常のマネジメントシステムのコンサルティングや審査では一定の手順があるので、この手順に従って仕事を進めていけばよい。
しかし、この3件には手順がない。
何をどのように話せばよいか、考えがまとまるまで、常に頭の片隅に雲の塊のようなものが残っている。何かに追いかけられている気分である。考えがまとまるまで2~3日はかかる。考えがまとまるとパワーポイントを作成する。これは半日~2日間で一気に作成する。
しかし、お陰様で、これまで自分で気がつかなかった新しい発見もあった。
 
 そんな訳で他の定常的な仕事やボランティアもあって、気分晴らしに、近くの居酒屋へ飲みに行くことはあっても、家の仕事は放置したまま過ごしてきた。
今日は、久しぶりに土いじり、庭の花壇にチューリップの球根を植えた。
これから、年賀状の作成です。

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2010年1月30日 (土)

地球温暖化防止活動推進員研修

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 昨日は石川県生涯学習センターで石川県の地球温暖化防止活動推進員研修「推進員研修の先進事例を知ろう」というコースを受講しました。

これまで地球温暖化防止活動部門環境大臣表彰を受賞した岐阜県の小林由紀子さん愛知県の浅野美智子さんの話を聞きました。

参加者は約40名位、平日の研修ですから女性が70%位、男子が30%位ですが、男子の殆どは高齢者です。

ここに集まった人は、日常の感覚・意識から環境問題に入ってきた人たちが殆どで熱心ですね。
私は意識よりも、ISO14001やEA21の関係から入ったので少し感じ方にズレを感じました。

勉強したことを自分のものにするためブログを書くことにしており、コーヒーブレーク「省エネについての誤解」でその一部を紹介しています。

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2009年10月30日 (金)

商工会議所の講演会

 小松商工会議所から記念講演会の案内がきた。
講師は元NHKキャスターの松平定知氏、テーマは「キャスターからみた現代社会」である。
とことろが、行ってみたら、松平氏は、このテーマは私が言った覚えはない、テーマを広く解釈して話します。という切り出しで「その時歴史が動いた」の話、特に直江兼続の話が中心で大河ドラマ「天地心」のストーリーの背景の説明のようなものであった。
 直江兼続の持ち味は「先見性」と「直言力」、これは現代の経営にも通じるというところが話の落ちでした。
 それにしても、こんな話を90分間も飽きさせずに話すところがプロですね。

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2009年10月20日 (火)

コマツ大阪工場

 昨日は、枚方市にあるコマツ大阪工場内にある関連会社のQC教育にお伺いしました。
私は、今から約30年前、昭和48年~52年まで5年間、この工場に勤めていました。
その工場も南側半分は、関西外語大学に譲渡しており敷地は半分になっている。
昨日は、32年振りに工場に入った。

続きを読む "コマツ大阪工場"

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2009年10月 5日 (月)

多人数ビデオ会議 その後

 先のブログ「Skypeによるテレビ会議(ALセッション)」で多人数ビデオチャットでアクションンラーニングを行う話をしたが、I さんよりメンバーが揃い始めたという連絡があった。

今日は、Festoonをアドインしようと試みるが、どうしてもうまくいかない。
あちこち調べると、Skype は頻繁にバージョンを変えるので追随できず、Skype3.6以降はサポートしていないという。
では、SkypeをVer.3.5 に戻して見たが、これにあったFestoonのバージョンも出ておらずこれもダメ。
Skype を使わずに、直接にFestoonのPaltalk を使って多人数ビデオチャットを行う方が早いようだ。
とりあえず、Paltalk をインストールした。

Paltalk のインストール方法の説明は下記にあります。

⇒ CainanekoさんのPaltalkの設定方法の説明

しかし、うまくいくかどうか、もう少し調べなければならない。I さん、すみません。

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2009年8月 6日 (木)

かなざわ商談会

 昨日はかなざわ商談会でした。
お見合いのお相手は「ベンチャーありか」の女性社長さん。
401Kやライフワークバランスのコンサル・社員教育を企画されている。

日頃の活動の中で希望するお客さんがあれば、お互いに紹介しましょうということになりました。

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2008年8月24日 (日)

アクションラーニング体験セッション

22日は、石川県中小企業家同友会様でアクションラーニングの体験セェッションをしました。
参加者は7名。

今回の問題提起は「No2をどのように育てるか」ということで、ラーニングコーチをしました。

今回は、No2候補者は同族者でないこともあって、再定義の際に問題提起者が悩み中々同意が得られなかったこと。
同意できることに絞って結論まで持って行きましたが、かなり苦労しました。
あとからの振り返りで、問題提起者も良く分からなことは、その場で質問するということを説明しておけばよかったと気が付きました。

それと、感想ですが 今回の同意を得られなかったことも、終わったあと冷静になって考えると気のつくことも出てきて、1ヶ月後にもう一度やると半分以上気持ちの上では解決しているのではないでしょうか。

終了後、居酒屋で二次会、飲みすぎて持病の喘息が再発、次の日は大変でした。

何はともあれ、中川さん他、皆さんありがとうございました。

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2007年11月22日 (木)

アクションラーニング体験セッション

今日は金沢で飲食店を経営している若手経営者の集まり「金沢ラポール会」でアクションラーニング体験セッションのコーチをさせていただきました。

アクションラーニングは、各人の気づきを促し、問題解決をしながら新しいタイプのリーダーシップ(サーバントリーダーシップ)開発する手法です。
詳細は、日本アクションラーニング協会のホームページをご覧ください。

会場は、野々市町の店舗企画㈱ERの2階会議室です。
40人位入れる大変立派な会場でした。

どんな方が集まるのかわからないし、体験セッションは初めての経験なのでうまくいくか内心、心配したいた。

集まってこられたのは、すし、味処、中華料理、おでん、Cafe、バーなどの経営者と飲食店のインテリア関係の方18名。

ひと通りの説明の後、2グループに分かれて1回50分のセッションを2回行った。
参加者の皆さん、ご協力ありがとうございました。

皆さん、前向きで、終わってあとの評判も良かったようで、まづまづです。

今後続けて、体験セッションをする時には、この会場を貸していただけるとのお話もできたので、引き続き月1回程度セッションを開催するよう考えたいと思っています。

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2007年10月24日 (水)

PPC広告セミナー

先日、オーバチェアのスポンサードサーチの画面をいじくっていてややこしくて閉口した。
ISICOからセミナーの案内が来たので昨日参加しました。

参加者は約50名くらいだったように思う。
時間は14時から16時30分まで、オーバーチェアのスタッフより
「検索連動型広告(PPC広告)を用いたマーケティング」
「スポンサードサーチの使いこなし術」
についての説明を受けた。

話を聞いて、「なるほど、これは顧客満足度のアンケート分析と同じなんだ」と感心した。
最も、このソフトはアメリカで開発されているんだから当然ですね。

マーケティングのやり方や、使い方は分かったが、かなり時間と手間がかかりそう。
この点が、課題ですね。

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