マチュピチュ
5日は、地球一周の旅で最も期待していたマチュピチュ観光である。
マチュピチュはクスコから約110km離れた標高は約2,400mの山奥にある。1917年にアメリカの考古学者ハイラム・ビンガムが発見し、研究結果をまとめた著書「失われたインカの都市」はベストセラーとなった。その景観の美しさと、インカには文字がなく今でも分かっていないことが数多くあって「なぞの都市」として有名である。
朝7時にクスコのホテルを出て、ペルー鉄道でオリャンタイ駅からウルバンバ川に沿ってマチピュチ駅に向かう。
所要時間は約90分であるが、列車の天井はガラス張り、全ての座席が食堂形式になっていて途中で軽食と飲み物が出る。急峻な山あいを、景色を楽しみながらコーヒーを飲むというのもなかなか乙なものである。ペルー鉄道もなかなか商売上手である。軽食の後、CDやみやげ物を社内販売する。帰りの列車では、アパレルのファッションショーを行い、その後アルパカのドレスやコートを販売していた。列車の料金は片道一人70ドルとのことでした。
マチュピチュ遺跡の入場口についたのは11時過ぎ、入場口の前のレストランで昼食を摂ってマチュピチュ山の登山道を登る。5日はあいにくの雨、雨合羽をつけて石畳の階段を登ること約1時間、雨が止んで霧の合間からマチュピチュが見えてきた。
マチュピチュとは一体何だろうか。どうしてこんな山奥の頂上に堅固な市街を作ったのか未だに正確には分かっていない。
しかし、私がここに来て現地を見て案内者の説明を聞いて、その理由が何となく分かった気がしてきた。
インカ帝国の最盛期は1400年から1500年、マチュピチュも同時期、スペインが来る前100年を掛けて少しずつ形が作られてきた。この市街には最盛期には750人が住んでいたという。マチュピチュの特徴は何と言っても景観である。北にワイナピチ峰(2,690m)、南にマチュピチュ峰(2,940m)、東にプトゥクシ峰(2,540m)、西にサルカンタイ峰(6,270m)に囲まれていてサルカンタイ峰の頂には白く雪が残っている。
中心は、何と言っても目の前にデンと控える山水画に出てくるような急峻な形をしたワイナピチュ峰である。市街の最北端ワイナピチュ峰が見える丘にワイナピチュ峰の形をした大きな岩が置かれている。その前に40cm位の角柱があり、ワイナピチュと角柱の対角線上を太陽が通過する日が冬至の日となるように配置されている。冬至は礼拝の最も重要な日でインカの暦の元日に当たる。インカには文字もなく、地球が太陽の周りを回っていることも知らない。冬至が近づくと太陽が段々と小さくなっていく。
人々は、この神殿(本殿)の前で
「太陽の神様、ありがとうございます。どうかまた来年も戻ってきてください。山の神様、ありがとうございます。来年のまた豊かな水を与えてください。そして私達の恵みを与えてください。」
そう心から願ってお祈りをしたのだろう。
本殿に他にも2つの神殿がある。一つは、3つの窓神殿である。この神殿のいわれは、インカ伝説に出てくるインカ帝国の始祖、アルキ3兄弟を祀ったものではないかと言われている。
もう一つの神殿はコンドル神殿である。コンドルは羽を広げると4mくらいになり空の神様の象徴である。コンドルが羽を広げた形にした大きな石と中央に頭の形をした石が置いてあり幅は丁度4m位である。コンドルの石の前にお祈り角柱がある。
インカの人達は、ここでも
「空の神様、私達を上空からか見守ってください。そして私達が安寧な生活ができるよう守ってください。」
といって祈ったのではないでしょうか。
マチュピチュは、太陽、月、星、山、空に感謝を捧げるのに最適な場所である。インカ皇帝は、そのような理由からここに市街を作ることを命じたのであろう。
マチュピチュ市街のもう一つの特徴は、インカ道が通っていること、遠くから来た技術者集団が住む地区があること、マチュピチュの周りには段々畑が広がっていること、からジャングル地域と海岸地域を結ぶ交易の中継地に役割を果たしていたのではないかと言われている。
マチュピチュから、いつから人がいなくなったか?
街中を見学した所、まだ造営中の建物が幾つかあったことから完成前に全ての人が引き上げたのではないか。時代を考えると、スペイン人との関係ではないかと考えられる。
スペイン人は、インカの神殿を見つけると、次々と破壊しその上にカソリックの建物を建てて来た。その光景を前日クスコでよく見てきた。
もし、スペイン人に見つかったら何をされるか分からないと考え、スペインに見つかる前の誰にも分からないように当地から引き上げたのではないでしょうか。
これは、私が現場を見、案内者の説明を聞いて想像したことです。
根拠のある学説ではありませんので、念のため申し添えます。
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