2015.03.03

化学物質についてのリスクアセスメント

先に、ブログ「H26年に改正又は施行された環境関連法規制」で、平成28年8月までに改正労働安全衛生法でMSDS対象640の化学物質を使用する事業者は、該当化学物質についてリスクアセスメントの実施が義務となることを紹介しました。
この背景には、2002年ヨハナスブルグサミット、WSSDで採択された
「予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて、化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成する」との国際目標、いわゆるWSSD2020年目標がある。
WSSD2020年目標は、化学物質のリスクアセスメント、リスク管理、リスクコミュニケーションを含めた包括的なものである。
 
現在、化学物質は地球上に6万種以上あるといわれている。
これまで、有害とわかった物質について、順次廃絶や製造や使用の禁止等の取り決めがなされてきた。
○1985年モントリオール議定書でフロンの製造禁止が取り決められた。
○2004年ストックホルム条約でPCB等20物質の廃絶、DDT (殺虫剤)・PFOSとその塩・PFOSFについては製造使用の制限(原則禁止、ダイオキシン等4物質の削減等による廃棄物等の適正管理、が取り決められた。
○石綿(アスベスト)については、1995年の青石綿が使用禁止、また白石綿は建築基準法・労働基準法 石綿障害予防規則・大気汚染防止法・廃棄物処理法を取り扱い、が規定されている。

しかし、毒性があるかないか分からない化学物質が、次々と生まれ使用されて行く。この状態を阻止する関所がリスクアセスメントである。

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2015.01.22

改正フロン回収・破壊法

 1月21日午前中、石川県地場産業振興センターで環境省・経済産業省・日本冷媒環境保全機構が主催する第1種特定製品の管理者(所有企業・法人)向け説明会が開催された。
私自身は管理者ではないが、エコアクション21やISO14001のコンサル・審査の際に必要となるため参加した。
なお、第1種特定製品とは、事務所で使用されているルームエアコン(パッケージエアコンなど、家電リサイクル法対象外の全てのエアコン)、スーパー・レストラン・工場・病院・学校等で使用されている業務用冷凍機、地下鉄構内・鉄道・特殊自動車・船舶等の空調機や冷凍庫、自動販売機などを指します。


今回の改正の背景
 フロンにはオゾン層の破壊につながる特定フロン(CFC、HCFC)と、オゾン層の破壊には関係しないが二酸化炭素の100から10000倍(種類毎に異なる)の地温暖温暖化係数をもつ代替フロンがある。
 
Fig01

これまでの改正フロン回収・破壊法は、モントリオール議定書に従って特定フロンの生産の中止、特定フロンから代替フロンへの移行を進めてきた。
Fig02

また、第1種特定製品の特定フロン・代替えフロンの回収・廃棄を定めてきたが、回収率は30%代と低迷している。
Fig03

低迷の理由は、回収が完全に行われていないということもあるが、回収より以前に使用中の漏洩が約50%を占めていることである。
2009年に経済産業省が機器別の漏洩率を調査したところ、例えば食品売り場で見かける別置き型ショーケースの年間の漏洩量は平均で16%に達する。冷媒のフロンが6年で全て大気中に漏洩していることになる。業務用エアコンの場合はそれより少ないが年間漏洩量は3~5%程度ある。
Fig04

冷媒として使用さされるフロンが特定フロンから代替フロンに推移してはいるが、代替フロンは二酸化炭素の1000倍程度の地温暖温暖化係数(GWP)を持っており、地球温暖化防止の観点から放置できない。

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2015.01.13

H26年に改正又は施行された環境関連法規制

新年おめでとうございます。
個人的な都合からコーヒーブレークの記事の記載が1年以上ブランクになっていてすみません。
今年から、また、少しずつ書きますのでよろしくお願いします。
先ずは、平成26年に改正又は施行された環境関連法を紹介します。
 
以下の法律が改正されています。かなり多いですね。
<全業種対象>
(1)労働安全衛生法
(2)フロン回収破壊法
(3)省エネ法
(4)PCB廃棄物処理の関する法改正
<建設業対象>
(5)品確法・建設業法・入札法
(6)石綿障害予防規則
(7)オフロード法
<その他>
(8)外来生物法
以下に改正内容の概要を紹介します。
 

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2012.09.18

小型家電リサイクル法とパソコンのリサイクル

 皆さんはパソコンの廃棄処分はどうされているでしょうか。
私の家に故障したノートPC1台とモニター2台がある。これを廃棄しようとしても資源有効利用促進法の関係で市は引き取ってくれない。
自分でリサイクル手続きをしなければならないが「PCリサイクルマーク」がついていない場合は有料である。古いことなのでPCリサイクマークはどこに有るか分からない。結局、面倒な手続きをした上で、更にノートPC1台とモニター2台で合計9千円の費用を払わなければならい。
ところが、この程、小型家電リサイクル法が出来て、2013年4月から施行されるが、この対象品目の中にはパソコンも入っていて、自分でリサイクルステーションに持ち込むと無料である。
先日、いしかわ環境フェアで小型家電リサイクル法のモデル事業に参加したH金属のブースで、この話をした所「小型家電リサイクル法の施行前であっても、自分の会社に直接持ち込んでもらえれば無料で引き取り、リサイクルします。これは法規制違反ではない。」とのことでした。

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2010.08.16

工場立地法の改正

 ISO14001の環境法規制では、敷地面積9,000㎡以上または建築面積3,000㎡以上の規模の工場または事業場では「工場立地法」が、適用される環境法規制に該当する。
この基準に該当する工場(特定工場)は、緑化面積20%、緑化を含む環境施設を25%以上確保しなければならない。但し、この数値は都道府県の自由裁量によって、業種はその地域の事情によって若干変わる。
この法律は昭和49年に公害防止に対する配慮事項の観点から制定されたもので、昭和49年以前に建てられていて、その後、建て替えもない場合は適用されない。
 私が過去にコンサルした企業様では、昭和49年以前に造られ、その後一部改築したが届出もしておらず、ISO14001の認証取得に当たって「『さあ、困った』と頭をかかえている企業様」にであったことが2回ある。この法律が適用される製造業のEMSのコンサル経験は6社なので、2社というのはかなりの確率である。

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2008.04.23

マニュフェスト交付の状況報告書

 今年になってエコアクション21の更新審査や、中間審査を7社させていただきました。
主として製造業・建設業の中小企業が対象なので、最近の法規制の変更点として「改正フロン回収法」を意識し、関連のある所は確認してきた。

最近になって、廃棄物処理法で紙マニフェストの場合は「産業廃棄物交付等報告書」を提出するが追加になっているのを確認しなかったことに気づいた。
これまで、審査に行った事業者では、どこも、こんな話は出なかったから、多分知らないのではないだろうか。

心配になって、審査終了後に、慌てて追加連絡するという間違いをしてしまった。
ごめんなさい。

他の事業者でも、似たような状況ではないかと思い紹介します。

平成18年7月の廃棄物処理施行規則の改正により、紙マニフェストの交付者には、前年度の紙マニュフェストの交付等の状況について、自治体(知事或いは市長)に届け出が義務付けられています。
初年度として、今年は平成20年6月30日までに、平成19年4月1日から平成20年3月31日までの1年間に交付した紙マニフェストの状況を報告する必要がある。

提出を怠ると、勧告、公表、措置命令、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金などの罰則が段階的に適用されます。
2007年度に紙マニフェストを1枚でも交付していれば報告義務が発生するので、自社のすべての事業場に交付の有無を確認してください。

電子マニフェストは、日本産業廃棄物処理振興センターが情報を集計するので、報告書を提出する必要はありません。

マニフェストの数量欄には重量ではなく、体積や容器の数を記載できます。この場合は、係数を使って重量に換算します。環境省の通知「産業廃棄物管理票に関する報告書及び電子マニフェストの普及について」に換算係数が載っていますが、排出事業者が実態に合わせて係数を設定しても構いません。

自治体によって記載方法が異なる場合があります。
多くの自治体で独自に記載方法の説明を、ホームページなどで公表していますので、該当する自治体のページを見てください。

石川県の場合は、下記にあります。
 ⇒ 産業廃棄物管理票の交付等状況の報告 
    説明パンフレット
 
何で、こんな面倒なことをしなければならないかと言うと、表向きは廃棄物行政の基礎資料にすること言うことですが、本当の目的は電子マニフェストへの移行を加速することです。政府は2010年度には電子マニフェストの普及率を50%とする目標を掲げていますが、現状は数%にとどまっています。

有る会社へ行った時、「電子マニュフェストは、高くて我々のような小企業にはとても出来ないよ」といわれました。
進まない理由は「コスト的な問題や慣れないとデータインプットが難しい」といったところにあるのだろうと思います。

また、別の会社へ行ったときに、建設リサイクル法の副資材のマニュフェストで、発行されているが実質的には、まわっていない、と思われるマニュフェストに出会いました。
A票からE票まで、同じ日付で返却印が押されており、糊づけしたまま、ファイルに綴りこまれている。排出事業者の担当者(女子事務員)は、返ってきたのだから大丈夫だと思っている。でも、こんなことは有りあえないのではないか、処理業者は返送する手間が面倒で一度に同じハンコを押して、まとめて置いていっているとしか思えない。
それも、1社だけではなく、名だたる廃棄物処理業者が数社も同じことをしている。
これは、紙のマニュフェストシステムの形骸化ですね。

でも、電子マニュフェストになると、こんなことは出来なくなるのでしょう。
また、排出事業者はB2票、D票、E票の回収、A票との照合作業が不要で、マニュフェストの保管も不要となる。
そういう意味では、電子マニフェストに賛成です。

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2008.02.24

産業界に対する温暖化防止施策の動き

18・19日、近畿地方のある市役所様へ自己宣言移行に伴う内部監査員養成研修のお手伝いに行ってきました。
自己宣言では、何よりも内部監査がキッチリしていることが肝要ですから。

ところで、研修の準備をしているときに、産業会に対して、急ピッチで温暖化防止に対する政府の施策が出ていることに気がつきました。

省エネ法改正予定については先のブロク「二酸化炭素排出量と省エネ法改正予定」で紹介しました。

もう一つは、平成19年11月22日施行、12月7日基本方針が閣議決定された「環境配慮契約法」です。

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2008.01.25

二酸化炭素排出量と省エネ法改正予定

1月22日号ECOJapanに国際日本文化研究センター教授の安田喜憲氏のインタビュー記事「環境考古学が予測する地球温暖化のいくすえ」が掲載されている。

-------------<以下その記事の一部引用>-------------------------

平均気温が3度上がると、北極の氷が全部溶けます。すると、大量の冷たい淡水が海に流れ込むことで、北大西洋の海水の循環が止まります。先ほど説明した「ヤンガー・ドリアス」小氷期が生じた理屈と同じです。それで氷河時代に逆戻りしてくれれば人類は生き延びることができます。

しかし、北極の氷がなくなり北大西洋で海水が摂氏4度にまで冷やされなくなると、酸素を含んだ水が深層に移動しなくなってしまう。水は摂氏4度のときが一番重くなります。そこで4度に冷やされた表層の水が酸素をいっぱいに含んで海底に沈みこみ、深層水の循環を維持しているのです。

ところが4度に冷やされないと酸素を含んだ表層の水は深海にもぐりこめません。すると海中の酸素濃度が不足して様々な生物の死滅につながります。生物の死骸が海底に蓄積することで次第にメタン(CH4)が発生し、ますます温暖化が進むことになります(編集部注:メタンは二酸化炭素に比べて、同じ放出量で約23倍の温室効果をもたらす:IPCCによる2001年の報告書より)。

これは何も荒唐無稽な想像ではありません。実際に1万5000年前から9000年前にかけて、地中海で起きたことなのです。ナイル川の源流のビクトリア湖の水位が急上昇してナイル川にあふれ、膨大な淡水が地中海に流れ込んだ結果、地中海の海水における酸素濃度が低くなり、生物は大量死しました。その証拠が、現在も海底に残っているサプロペル層です。

同じことが地球規模で起こるのです。

今よりも5度も6度も平均気温が高い気候といえば、かつての白亜紀やジュラ紀、もっと分かりやすく言い換えれば「南極海で泳げた時代」の気温なのです。海はドブのようになって、大気はメタン(CH4)、二酸化炭素(CO2)、硫化水素(H2S)などが今よりも多い。そうした環境下では、人類は生きていけないような気がします。

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なんとも気味の悪い話ですね、やはり地球の温度上昇は2℃以下、温暖化ガスの排出は1990年比で70%下げればならない。

ですから、各事業所、各家庭で二酸化炭素排出量を下げるように、今から活動しましょう。

私はISO14001やEA21のコンサティングで事業者様にお伺いし、この話をすると、実務担当者ベースでは「二酸化炭素排出量の削減」の主旨はよくわかるのだが、何しろ忙しくて(実際そうなんでしょうが)、社長が時間をくれるよう頼んでくれないかな、という顔をされる。

そこで、社長を説得する話のネタです。

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2007.10.10

改正フロン回収・破壊法

フロン類はオゾン層の破壊や地球温暖化の原因となるので、フロン類の大気中への排出を抑制する必要がある。このため、平成13年に制定された「フロン回収・廃棄法」において、業務用冷凍冷蔵庫が廃棄される際にフロン類の回収が義務付けられています。
業務用冷凍冷蔵空調機器が廃棄又は整備される際にフロン類の回収が確実に行なわれるように、法改正が行なわれ2007年10月1日から施行になりました。

一般の事業所でも、廃棄物処理法のマニュフェスト管理と同様、ISO14001やEA21の「順守すべき法規制リスト」この法律を追け加える必要がありそうです。

業務用冷凍空調機器の所有者は、廃棄の際には以下のことが必要となる。

 ① 都道府県の登録を受けたフロン類回収業者にフロン類をj引き渡すこと
 ② その際は、法律の基づく書面を交付すること
 ③ フロン類の回収、破壊等に関する費用をふたんすること

業務用冷凍空調機器の所有者は、整備の際にフロンを回収する場合は、フロン類の回収、破壊等に関する費用をふたんすること

業務用冷凍空調機器から、みだりにフロン類を放出しないこと
 ・・・違反すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

詳細は、環境省の下記トピックス報道を参照したください。

 ⇒ 改正フロン回収・破壊法が10月1日から施行されます

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2007.03.10

マニフェスト(産廃)の流れを勉強する

2月以降数社のエコアクション21の更新審査をさせていただいた。
その時に産業廃棄物管理票(マニフェスト)の管理について気になることがあった。

マニフェストは、産業廃棄物の排出事業者がそれぞれの委託処理後に、排出事業者が各業者から処理終了を記載したマニフェストを受取ることで、委託内容どおりに廃棄物が処理されたことを確認する。これによって、不適正な処理による環境汚染や社会問題となっている不法投棄を未然に防ぐことを目的にしている。
そのため産業廃棄物処理法では、排出事業者に以下のような義務を規定している。

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