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2012.12.05

学習する組織と、そのファシリテーションツール

 私はコマツで1970年~1980年代の高度成長期に育ってきました。
私と同年代の人々はどこでもそうであっと思いますが、この時代のマネジメントスタイルは何をすべきか(what)を経営者が考え、管理者はそのやり方(how)を考えて、作業者がそれを効率よく実施する(do)、というスタイルです。
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01 効率よく実施するために絶えず継続的に改善を行う。改善のツールとして、この時代に生まれたのがQCストーリーです。
現場において、QCストーリーを用いて小集団で改善を行ったのがQCサークルで、その特徴は問題点の把握と原因の分析にQC手法を使用することにある。

 現在、日本企業は徐々にではあるが、中国や台湾・韓国の企業に太刀打ちできない状況になって来ている。
その主要因は、大量生産技術がデジタル化・マニュアル化され、製品を製造する設備を導入し、ある程度のノウハウを習得すれば、誰もが生産できるようになったことである。
日本の主要メーカーは中国や韓国、東南アジアの諸国に工場進出し、技術指導によるノウハウやQCストーリーなどの改善手法を教えてきた。
このような市場環境ではコストパフーマンスの安い企業が勝ち残る。
中国や韓国等ではこれらの手法を、日本以上にうまく使いこなしており、更に経営戦略も習得している。
尖閣列島や竹島の問題も、このような結果として、日本の力が相対的に落ちてきていることが間接的な要因であると思います。

 これからの時代を考えると、日本の人口は2006年の1億3千万人をピークとして、2040年には1億人、2100年には5千万人になると予測されている。
また、世界的に見て大量生産・大量消費時代を牽引してきた石油生産量が2006年をピークとして2050年には80%ダウンすると予測されている。

01_1_fig1_2 Campbel
 日本の人口推移  石油生産量の見通し
(出所:国立社会保障・人口問題研究所) (コリン・キャンベル1998)

 好き嫌いとは関係なく、大量生産・大量消費の時代は終焉する。
組織のマネジメントスタイルも、環境の変化に合わせて変革していかなければならない。
これからの時代に必要なマネジメントは「なにをするかという答えのあり処」が川上の川下に、経営者から顧客側(顧客の潜在ニーズ)に移っている、「顧客ニーズを的確に捉えなければ勝ち残ることはできない」という点である。
以前のように指示された作業の実行ではなく、顧客最前線の答え(顧客ニーズ)を見つけるために、情報を集めて、顧客に対して提案しなければならない。
この場合、顧客ニーズを的確に把握できるのは、顧客や現場を社内で一番よく知っている担当者である。
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以上はドラッカーが提唱している“マネジメント”の基本的な考え方で、今さら言うこともないかもしれませんが、中小企業にお伺いしていると、「うちの社員は自主性が足りない」という話を時々聞く。
社員の「自主性」「創造性」「情熱」を育てることが如何に大切であるか。
私は、2006年頃から、日本経営品質協議会のJQAA夜間大学や北陸経営品質フォーラム、アクションラーニングコーチ研修において若干勉強をさせていただきました。
この経験から、進め方について小職のブログ「学習する組織」で紹介しています。

 学習する組織で必要な能力は「システム思考」「自己実現(マスタリー)」「メンタルモデルの変革」「共有ビション」「チーム学習」の5つの能力で、これらの課題をクリアしていくことが必要です。
「学習する組織」は、最近では大手企業では、徐々に浸透しているように感じています。
この場合、社員の意識や組織風土を変革していくファシリテーション手法がありますので紹介します。
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ワールドカフェ
 ワールド・カフェとは、「知識や知恵は、機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考え方に基づいた話し合いの手法です。
この手法は、学習組織の「共有ビジョン」の形成のツールとして利用できると思います。
事例
 ⇒ 小職のブログ「ワールドカフェを使ったエンパワーメント研修」

OST(オープン・スペース・テクノロジー)
 OST(オープン・スペース・テクノロジー : 以下 OST)は、1985年ハリソン・オーウェン氏(Harrison Owen)によって提唱されました。
全員が一堂に会して話し合うホールシステム・アプローチの代表的な手法として世界各国の企業、行政、教育、NPOなどで高い成果を上げています。
OSTは参加人数の多少に関わらず、人々のコミットメントを引き出し、主体的な話し合いを通して垣根を越えた問題解決への取り組みを促します。
マネジメントにおいて、課題に対する問題点の絞り込みと、問題意識を持った者同士の話し合い合いによる意識の共有という点で役に立つ手法です。
事例
 ⇒ 小職のブログ「オープン・スペース・テクノロジーを活用する」

AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)
 ポジティブ・アプローチで課題を解決する手法です。
使用する場面はOSTと同じだと思いますが、私は、まだ行った経験はありません。
よく知りたい方は、「Human Value AI」のホームページを参照ください。

AL(アクションラーニング)
 別名「質問会議」とも言われています。実際の組織課題に対して、参加者が自ら解決策を考え、実行し、検証し、問題解決を行うことで、個人や組織として学習を行い、組織能力の向上へつなげるプロセスです。
詳しくは、弊事務所の関連ページ「アクションラーニング活用研究会」をご覧ください。
但し、このページに記載されている「インターネットの多人数音声通話を活用した体験セッション」は現在行っていません。

 アクションラーニングは学習する組織の「メンタルモデルの改革」「チーム学習」のツールですが「問題解決」のツールでもあります。
大量生産時代の問題解決のツールは、「QCストーリー」が主流でしたが、この手法はPDCAサイクルの C-PDCA のプロセスの中で、「C」の部分を、QC手法を使って分析するというところに特徴があります。いうならばニュートン力学の世界です。
アクションラーニングの問題解決は、同じく C-PDCA のプロセスで行いますが、取り扱う問題はシステムの問題・複雑系の問題で、「C」の部分は質問とダイアローグにより根本原因を気付くことから始まります。いうならば、カオス理論・量子力学の世界です。

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