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2011.10.10

環境ISOの有効性の内部監査 その2

 有効性監査とは、経済産業省「認証制度の信頼性確保のためのガイドライン」では、「規格適合性だけでなく、規格がシステムとして有効に機能しているかどうかを、パフォーマンスが向上しているかどうかで判断する監査」と定義している。
内部監査員は数年間の成果の推移を確認し、成果が上がっていないときは、どこに原因があるかを追跡調査し、改善点をアドバイスする。
先のブログ「環境ISOの有効性の内部監査」では、有効性監査のやり方のついて記載した。しかし、これだけではうまく行かない。

 今まで適合性監査を中心に内部監査を行ってきた会社が、有効性監査に切り替えようとした時に、その前に、これまでのシステム確認し、スステム上の問題点を改善しておく必要がある。

 第1点は観察事項の定義と処置のやり方である。
一般的に観察事項には、次の3つの項目が混在している。
①現状では不適合ではないが、放置しておくと不適合と なる可能性のあるもの
②不適合とは関係ないが、更によい効果をあげるための提案
③特筆すべきよい点で、他部門への水平展開が期待できるもの
有効性監査においては、①項よりも②③の「改善の機会」が数多く出されます。また、その方が内部監査として効果があります。

私が、これまで訪問した会社の過半数は内部監査のシステム上 “観察事項(改善の機会を含む)は指摘するが、その後の処置のフォローはしない” “観察事項も必ず是正処置要求書に記載し、是正処置をとる”の何れかとなっていた。
有効性の内部監査に切り替えるときは、その両方とも障害となる。
前者の場合は、提案事項が処置部門に握りつぶされる可能性があることと、管理責任者が会社全体の継続的改善の問題点が把握できない。被監査部門は、是正処置までは行う必要はないが、マネジメントレビューの前までに、どのような処置をしたか管理責任者に報告するようしくみを変更する必要がある。
 後者の場合は、指摘事項について必ず是正処置を行わねばならないので、改善の提案事項を是正処置要求書に書きづらい。結果的に内部監査員からは改善の提案についての指摘が上がってこない。この場合は、①の観察事項とは別に、②③に対して「改善の機会(改善提案という名称でもよい)」という報告用紙を作って、①の観察事項は「是正処置要求書」、②③の改善提案は「改善の機会」に記載し報告する。「改善の機会」は是正処置を要求するものではないが、どう処置したかを管理責任者に報告するようなしくみに変更する必要がある。

 第2点は、環境目的・環境目標設定に対する解釈の拡大である。
ISO14031「環境マネジメント―環境パフォーマンス指標―指針」では、環境パフォーマンス、環境パフォーマンス指標、環境目標の定義は以下のようになっている。
   図1 環境パフォーマンスの定義及び環境目標の関係
Env_object

また、組織のマネジメントと環境パフォーマンス評価の全体の概念図は下図のようになっている。
Env_perform

マジメントパフォーマンス(MPI)とは、例えば以下のようなものがある。
方針及びプログラムの実施
(EMSを実施する利点が環境方針及び取組の実施にある場合)
 ・ 達成された目的及び目標の数
 ・ 環境教育訓練の必要人数と、実施済みの人数比率
 ・ 環境保全に対する社員からの提案数
 ・ グリーン調達の比率
 ・ 環境配慮設計をした製品数
財務的パフォーマンス
(EMSを実施する利点が環境パフォーマンスと財務パフォーマンスの関係の評価にある場合)
 ・ 製品又はプロセスの環境側面に関係するコスト(操業コスト、資本コスト)
 ・ 環境改善投資に対する収益
 ・ 環境保全活動を通して達成された節減額
適合性
(EMSを実施する利点が、要求事項又は期待事項への適合の評価にある場合)
 ・ 規制遵守の程度
 ・ 事故(環境・安全・健康)の発生件数
 ・ 解決済み又は未解決の是正処置の数
地域社会関係
(EMSを実施する利点が地域社会における評価にある場合)
 ・ 環境関連問題について受けた質問又はコメントの数
 ・ 地域社会に提供された環境教育のプログラム及び資料の数

操業パフォーマンス指標(OPI)とは、例えば以下のようなものがある。
・CO2排出量
・電気の使用量
・燃料の使用量
・水の使用量
・紙の使用量
・廃棄物排出量、再資源化率
・化学物質使用量

 多くの企業では、操業パフィーマンス指標(OPI)を環境目的・環境目標として設定しているが、マネジメントパフィーマンス指標(MPI)までは、設定していない。
有効性監査において、第1点で述べた「改善の機会」で提案された内容は、”製品・サービスに関する環境側面の追加、本来業務に関する目標設定、社員の意識の向上”のようにMPIに設定することが望ましいものが出てくる。
内部監査員から提案された事項を、しくみに織り込んで取組んでいくには、環境目的・環境目標の設定範囲をMPIまで広げることを社員教育等で、社内に徹底していくことが必要であると思います。

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