環境ISOの有効性の内部監査 その2
有効性監査とは、経済産業省「認証制度の信頼性確保のためのガイドライン」では、「規格適合性だけでなく、規格がシステムとして有効に機能しているかどうかを、パフォーマンスが向上しているかどうかで判断する監査」と定義している。
内部監査員は数年間の成果の推移を確認し、成果が上がっていないときは、どこに原因があるかを追跡調査し、改善点をアドバイスする。
先のブログ「環境ISOの有効性の内部監査」では、有効性監査のやり方のついて記載した。しかし、これだけではうまく行かない。
今まで適合性監査を中心に内部監査を行ってきた会社が、有効性監査に切り替えようとした時に、その前に、これまでのシステム確認し、スステム上の問題点を改善しておく必要がある。
第1点は観察事項の定義と処置のやり方である。
一般的に観察事項には、次の3つの項目が混在している。
①現状では不適合ではないが、放置しておくと不適合と なる可能性のあるもの
②不適合とは関係ないが、更によい効果をあげるための提案
③特筆すべきよい点で、他部門への水平展開が期待できるもの
有効性監査においては、①項よりも②③の「改善の機会」が数多く出されます。また、その方が内部監査として効果があります。
私が、これまで訪問した会社の過半数は内部監査のシステム上 “観察事項(改善の機会を含む)は指摘するが、その後の処置のフォローはしない” “観察事項も必ず是正処置要求書に記載し、是正処置をとる”の何れかとなっていた。
有効性の内部監査に切り替えるときは、その両方とも障害となる。
前者の場合は、提案事項が処置部門に握りつぶされる可能性があることと、管理責任者が会社全体の継続的改善の問題点が把握できない。被監査部門は、是正処置までは行う必要はないが、マネジメントレビューの前までに、どのような処置をしたか管理責任者に報告するようしくみを変更する必要がある。
後者の場合は、指摘事項について必ず是正処置を行わねばならないので、改善の提案事項を是正処置要求書に書きづらい。結果的に内部監査員からは改善の提案についての指摘が上がってこない。この場合は、①の観察事項とは別に、②③に対して「改善の機会(改善提案という名称でもよい)」という報告用紙を作って、①の観察事項は「是正処置要求書」、②③の改善提案は「改善の機会」に記載し報告する。「改善の機会」は是正処置を要求するものではないが、どう処置したかを管理責任者に報告するようなしくみに変更する必要がある。
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