ISO9004:2009日本語版
昨年11月にISO9004:2009年版が発行されたが、日本語版の発行が遅れ、この10月20日にようやく、日本規格協会より「JIS Q 9004:2010」として発行された。
標題は従来の「品質マネジメントシステム-パフォーマンス改善の指針」から「組織の持続的成功のための運営管理―品質マネジメントアプローチ」に変っています。
日本語版は JSA Web store より購入できます。価格は3150円です。
ISO9004:2009年版の特徴は、以下のような点である
・品質マネジメントシステム(QMS)のレベルアップを願う企業のために作成された品質パフォーマンス改善の指針である。
・規格のねらいは、”QMSの有効性と効率”から、“企業の持続的成功”に変った。そのためのQMSの拡大モデルを提供している。
下図にQMSの拡大モデルを示す。
特徴となる点は以下の点です。
・顧客及び利害関係者の期待及びニーズを満たす。
・持続的な成功を確実に収めるため、プロセスの範囲が、戦略、革新、学習まで拡大されている。
また、附属書に自己評価ツールが付いている。企業は、自己評価ツールを用いて自分自身の強味、弱味を明確にすることができる。
特に、今回の売りは「自己評価」であるという話もあるので内容を確認してみました。
自己評価基準は次の2種類があり
・主要要素の自主評価・・・トップマネジメントが実施する
・各条項に対する自己評価・・・部門長が実施する
となっている。
自己評価の手順は以下のように行う。
QMSの成熟度モデル(5段階)で自己評価
↓
他社に比べてプロセス機能及びパフォーマンスの
・強い点、弱い点を明確にする
・ベストプラクティス(他部門へ展開可能な点)を明確にする
↓
マネジメントレビューへのインプット
↓
マネジメントレビューのアウトプット
⇒ 次年度の改善目標・計画へ織り込む
私自身は、日本経営品質協議会のセルフアセッサーもやっている関係から言うと、この自己評価では組織像という点がハッキリしていないように感じる。
日本経営品質賞のアセスメントは、組織独自に組織のあるべき姿を組織プロフィールで明確にし、カテゴリーごとにあるべき姿と現状のギャップ分析を行い、改善計画を立てる。
その概念図は、先のブログ 「現状打破・経営革新&課題達成型QCストーリー」 で紹介していますので参照下さい。
ISO9004の方は、組織独自のあるべき姿がなく、5段階の一般的な成熟度モデルがあって、このモデルに対する現状の段階を評価することになっている。
評価結果図示の例
どうして、そうなのかと考えると経営品質の場合は、“エクセレント”を追求しているので、組織の独創性が要求される。
ISO9004の自己評価の目的は、“持続的成功”であって独創性を要求している訳ではないようである。
ISO9001を実施している会社がレベルアップのために手軽に利用するという点では、こちらの方が良いのかも知れません。
しかし、本格的にやるのなら日本経営品質協議会のアセスメントの方が良いように感じます。
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