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2010.06.17

QMSの有効性の内部監査 その2

 5月に「QMSの有効性の内部監査」というブログを書きました。
その後、6月13日に「MSを効果的に審査する」というテーマで開催された第9回IRCA国際フォーラムに参加しました。
IRCA国際フォーラムの開催場所はパシフイコ横浜で参加者は約300名でした。
以下はプログラムの内容です。
・マネジメントシステムの有効性を審査する-認定・認証制度の視点から-
  JAB 認定センター 部長 生駒 雅和 氏
・マネジメントシステムの有効な審査とは-審査人のコンピタンス-
  LRQA ジャパン 特別技術顧問 星野 矩之 氏
・内部監査における有効性-内部監査はどう変わるべきか、課題は何か-
  キヤノン株式会社 品質本部 青木 明彦 氏
・適合性審査、それとも有効性の審査か
 -正しい審査アプローチを選択し、マネジメント情報として最大の価値を提供するにはどうすればよいか-
  Capable people 代表取締役 Mr. Shaun Sayers
・審査活動への警鐘
 -単なる 適合性の確認はもはや容認できない。審査員はプロセスアプローチを用いるべきである-
 Business Standards Architects, Inc 社長 Mr. Paul Palmes

 フーラムの議論の大筋は私の先に書いたブログ「ISO認証審査の最近の動向」「有効性監査ができる内部監査員を養成する」「QMSの有効性の内部監査」とほぼ同じでしたが、今回、新たに紹介のあったことや気づいたことについて紹介します。

JAB 生駒部長の講話
 講話の内容はJAB公開討論会「ISO 9001認証の社会的意義と責任」で公開されているものと同じですが、有効性審査についてISO17021を引用して
「認証機関では、マネジメントシステムの有効性、つまり明示した方針/目標に向けてマネジメントシステムが有効に実施され、一貫して達成できるかどうかの審査、すなわち『マネジメントシステムの有効性を審査する』ことが求められている。」
という説明があり、これはかなり本気であるという印象を受けました。

キヤノン株式会社の青木明彦氏の講話
 キャノンが経営に役に立つ内部監査に切り替えるために、今やりつつあることの説明がありました。
新しい内部監査では、単なる規格要求事項の監査ではなく監査を通して該当部門のコーチング(改善指導)を行っている。そのためには監査員の資質が重要であること、監査に当たっては、事前に資料を分析し、仮説を立てること、また、その仮説を確認する監査ストーリーを持って監査に当たることが必要と話されていました。なお、この内容は業務秘密に該当するとして資料も配布されなかったので詳細説明は割愛します。

Mr. Shaun Sayersの講和
 顧客が関心を持っていることは、「有効性」「効率」「リスクマネジメント」の3つがある。
「効率」「リスクマネジメント」の要求事項はISO9001にはないと思っていつかもしれないが、よく見ればある。
・効率:システム内のムダを最小化すること・・・これはISO9001 8.2.3の要求事項に入っている。
・リスクのマネジメント:リスクを洗い出し、理解し管理すること。・・・これはISO9001 8.5.3の要求事項に入っている。
審査人は、この条項をもとに「効率」や「リスクマネジメント」も見るべきである。
・有効性については、ISO9001 4.1に規定されており、重要なポイントであるが、審査員は被審査企業の状況を勘案して、適合性と有効性のバランスをとった審査をすべきである。
何をもとに判断するかは審査するプロセスへのインプットの「バラツキ」を見るとよい。
インプットがバラつかない場合は適合性監査、バラつく場合は有効性監査を重視する。
例えばプラスチック成型ではインプットはバラつかないので、手順通りにキチンと仕事をすることで効果が上がるので適合性を重視した監査を行う。
教育・研修では、受講者のレベルはバラつく。手順通りに研修をしても受講者が理解できなければ意味がない。この場合は有効性監査で教育・研修で所定の成果が上がったかどうかという観点から監査する。

Mr.Paul Palmesの講話
 大変な熱弁で「審査員の皆さんは、有効性で不適合を出せないと思っているかも知れないが、そんなことはない。有効性に関して不適合を出すことが、顧客の意識を変え品質マネジメントシステムを業務と一体化した適切な方向に導く。」と言う主旨のことを話していた。

ISO9001 4.1 一般
経営者が夜も眠れないほど心配なことは何か。それはどのプロセスか。そのプロセスに有効性評価の基準が設定されておらず、監視・測定がされていないとしたら、ISO9001 4.1c) d)項に対する不適合とすべきである。

ISO9001 8.2.3 プロセスの監視及び測定
 「8.2.3 プロセスの監視、及び測定の適切な方法を設定する。これらの方法は、計画通りの結果を達成する能力があることを実証できるものでなければならない。計画通りの結果が達成できない場合には、適切な修正及び是正処置をとらなければならない。」
このパラグラフは、ISO9001 4.1e)項の要求事項と同じで、目標の未達成に対して分析及び是正処置をとっていなければ不適合とすべきである。

ISO9001 8.2.2 内部監査 
 「8.2.2  ・・・・組織は、監査の対象となるプロセス及び領域の状態及び重要性、並びにこれまでの監査結果を考慮して、監査プログラムを策定しなければならない。」
このパラグラフは、組織は自身のプロセスを監査すべきであることを暗に示している。多くの組織では、年初に領域別の内部監査の年間計画を策定している。プロセスの領域の状態及び重要性が判断できない状態で、領域別の年間計画は策定出来るのか?
ここの部分はプロセスの状態及び重要性を考慮するならば、年間計画は実施月を入れるだけで、具体的な内部監査のプロセスはデータ分析やマネジメントレビューのアウトプットを見て策定されるべきである。

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 以上を総合すると「これまで外部審査であっても内部監査であっても目標設定やその有効性については、見て見ぬ振りをしてきた。しかし、今後の監査では有効性・効率・リスク管理・内部監査のやり方についても確認し、特に有効性に関しては、ISO9001 4.1項や8.2.3項を基準にして不適合を出しなさい。」と言うことです。

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