ケアレスミスを減らすには
製造業の場合ですが、ISO14001やEA21のコンサル/審査でプラスの環境側面として“不良の低減”を取り上げている例をよく見かけます。特に品質/環境統合システムの場合は共通の目標として便利である。
しかし、ISO9001とISO14001では改善のステップは基本的に違っています。
ISO14001に場合は、目標を設定した時点で、何を改善すべきかが分かっていて、どのようにすべきかだけが分かっていないことを想定しています。従って、目標を設定した後はマネジメントプログラム(誰が、どのように、いつまでに)を作成することを要求している。これはQCストーリーの区分では“施策実行型QCストーリー”です。
一方、ISO9001では、目標を設定した時点では不良の原因は分かっていない。そこで原因を特定した後で何をどのように実施するかを決める。この手順は“問題解決型QCストーリー”と呼ばれるもので、私のブログ”QCサークル活動導入時の戸惑い”の中で紹介してあります。 しかし、このような“問題解決型QCストーリー”を活用できるのは、不良が4Mに起因する技術的な原因で起きる場合であって、不良の内容がケアレスミスの場合は、そうはならない。
ケアレスミスと言う表現は、製造業で使われる表現ですが、以下、どの業種でも使われる一般的な用語“ヒューマンエラー”と言う言葉で説明します。
ヒューマンエラーは「注意力を喚起することによって防ぐ」「教育・訓練によって防ぐ」と言う方向に行きがちですが、これは間違いです。このようなことをすると一時的には効果があってもしばらくするとまた元の状態に戻ってしまいます。
下は画家「コンブリッジ」描いた絵です。
この絵を見て、アヒルと思う人はアヒル、ウサギと思う人はその状態で3分間見続けて下さい。
とても見続けることはできないでしょう。
人間の脳は、見たその瞬間、瞬間の心の状態でどのようにも判断するものです。
右の図の直線部分の長さは、どれが最も短いでしょうか。
これは、ミューラーリエルの錯視で本当は、どれも同じ長さです。
ここに、ヒューマンエラーの原因があります。
ヒューマンエラーを防止するには
(1)作業方法の改善を行う。
(2)未然防止活動を行う。
この2つの方法しかありません。
(1)の作業方法の改善については、最近知ったのですが、中央大学の中條先生の研究室
⇒ 研究成果の公開のページ
「ものづくりサービス提供におけるエラー防止」
「医療におけるエラープルーフ化」
が大変わかりやすいので、紹介します。
(2)の未然防止については、少し古くなりますが私のホームページ「医療のリスクマネジメント」でも紹介しています。
また、中條先生の「調剤FMEA」のページも大変分かりやすいと思います。
ヒューマンエラーの改善ステップは、“未然防止型QCストーリー”となり、ISO9001にもISO14001にも、どちらの改善ステップにも適合しています。
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