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2010.03.13

原因分析における「プロセスの要因」と「外乱」の区別

 2月25日、北陸経営品質フォーラムでMOT代表の中村先生より佐藤允一氏が提唱されている「SI法(構造的問題解決法)」の紹介を受けました。
SI法は、どちらかというと組織の問題や人財活性化に係る問題を解決する方法です。
私は問題解決法としてはこれまで、QCストーリー、プロセスアプローチ、KT法、アクションラーニングといった方法を習ってきましたが、SI法はこれらの方法と共通点は多くあるが、これまでファジーであった部分が構造的にハッキリ定義されている点がと特徴で参考になりました。
SI法の研修は3日間コースが標準だそうですが、2時間で概要だけを説明していだいたので十分理解したという訳ではありませんが、これまで習った問題解決法と比較して気の付いた点を、最近実施したEA21等のEMSの審査事例に絡めて説明します。

〔SI法で扱う問題とは〕
 問題とは、目標(あるべき姿)とのギャップである。
 この定義はQCストーリーの定義と同じであるが、SI法では更に問題の種類を3つに分けている。
● 発生型 見える問題 基準に対するいる逸脱
 これは、目標を設定して期中において達成度合いを確認したときに、あるべき姿との差でわかる。ISO9001や14001の監視・測定である。
QCでは、問題解決型QCストーリーに相当する。
● 探索型 探す問題 方法の改善
これは、現状の問題を否定するところから出発する。常日頃問題意識を持っていないとでてこない。
KT法ではPPA、QCでは課題達成型QCストーリーに相当する。
● 設定型 つくる問題 方法の改善
現状はうまくいっているが、将来は大丈夫であるか。将来の問題を設定し今解決する。
設定型問題というのは、他の問題解決法にはなかったように思います。

〔問題の構造化〕
 SI法では、問題解決に当たって問題を構造化して解決して行くのが特徴である。
Si_method_2         株式会社自己啓発協会のホームページより

図において
インプット(入力) ⇒ プロセス ⇒ アウトプット(結果)
ここの部分は、KT法やプロセスアプローチの説明と全く同じである。
結果に問題がある場合は、インプットに問題があるか、プロセスに問題があるか、である。SI法では、これに更に「制約条件」と「外乱」が加わる。
「制約条件」とは、インプット以前に存在している客観的事実で、問題発生の間接的原因となりうる。
「外乱」とは、インプット後の活動の途中でプロセス外部に不意に発生する不可抗力的障害である。
最近新聞を賑わしている地方飛行場建設の建設で、建設時に行った需要予測に対して実績が大幅に下回っている問題を例にとると、重要予測をするときに発注した国土交通省及び地方自治体が高い需要予測を期待していたことが「制約条件」であり、915事件やリーマンショックという予期せぬ事態が発生し、航空業界の全体需要が落ち込んだという点が「外乱」である。

SI法では、問題の原因を「インプット」「プロセス」「制約条件」「外乱」それぞれの区分し特定して解決していく。
「インプット」「プロセス」の原因は、自分達の権限の及ぶ事柄であり、自分たちで解決できる。戦術レベルの解決策となる。
「制約条件」「外乱」は、自分達の権限外であるが、上位職では権限内となる場合がある。そこで、権限を持つ人に提案するという形をとる。戦略レベルの解決策となる。

〔自分が気づいたこと〕
 ISO9001、ISO14001、EA21などのPDCAサイクルは、目標→科学的な仮説の設定→仮説の実施→結果の確認・評価→分析・アクション→知見の標準化という形をとる。ここでの確認・評価は「設定した仮説がうまく行ったか」「うまくいかなかったとするとインプット又はプロセスのどこに問題があったか」を確認することである。
しかし、実際の場では、例えば組織の文化、景気変動、気象条件などの「制約条件」「外乱」の方が大きいため、「プロセス」の原因ではなく、「外乱」を未達成の言い訳に使っているということである。
これは間違いであって、原因の分析では「インプット」「プロセス」と「制約条件」「外乱」に分けるべきである。
更に強いて言えば、達成状況に対するPDCAは「インプット」「プロセス」に対して行う、「制約条件」「外乱」の問題は長期的な経営戦略の問題として上司に提案することが望ましい。
この点に関し、自分が最近のEMS審査で経験した具体例を紹介します。
(事例の内容は、出所が分からないように修正してあります)
〔具体例1〕
ある小規模製造会社で環境マネジメントシステムを導入した。環境目標として、二酸化炭素排出量を基準年度に対して売上高当たり1%削減する目標を設定した。
1年後の結果:15%アップした。
原因分析:① リーマンショック後の減産で、固定費(冷暖房)の割合が増加したため。
② 売上げに計上されない新規格の製品を多量に製造したため。
<コメント>
ここに書かれ原因は、「外乱」を書いているに過ぎない。「プロセス」が計画した通りうまく行ったのかどうかの分析が入っていない。プロセスを評価するには、例えば高能率設備の稼働率のように二酸化炭素排出量の中で排出への寄与率が高く、かつ重点的に改善を実施する項目を絞り、その項目の達成状況を評価する指標を設定することが必要と思われる。

〔具体例2〕
ある公共土木事務所では民間に対する自治体の率先垂範としてEMSを構築し、環境目標として「二酸化炭素排出量」の目標を設定した。しかし、その目標値が控えめで2年間で1%となっている。
その理由として「当事務所は除雪等天候の影響を多大に受けるため」と説明されている。
<コメント>
これは、「プロセス」と「外乱」を混同している。
EMSの継続的改善(PDCA)とは、環境保全に向けた具体的な改善取組によって、目指した通りの改善目標が達成可能か、期中及び期末に確認し、未達成の場合は、その原因を調べて改善や目標設定の仕方を変更することにより経営効率の向上を目指すものです。目標に対する結果は「プロセスの結果」と「外乱」に分けて考え、「プロセスの結果」が目標数値を達成していれば、「外乱」によって総量が未達成であっても、取組は有効であったという評価になる。
また「プロセスの結果」を評価するためには二酸化炭素排出量の総量だけを観ていても分かりません。努力度合いを評価する指標が必要となります。
例えば、事務所の購入電力については「対前年同月比の電力使用量」、車燃料については「車ごとの燃費」を把握することにより確認・評価することができます。

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