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2009.10.25

本来業務の環境側面

 JAB ISO14001適合組織データによると、ISO14001の認証登録件数が2009年第一四半期をピークとして、減少に転じている。この要因は、先のブログ 「ISO14001認証維持の費用対効果の検証」 「ISO14001自己適合宣言への移行事例」 でも紹介しているように景気停滞の折から、認証維持に対して「十分な効果が得られない」ということが最も大きいと推測される。
 この対策として、「環境ISOの有効性の内部監査」で、認証機関は、環境リスクを中心とした審査から有効性審査に重点を移そうとしていることを紹介した。
EMSの有効性とは、がまがえるの個人的の定義ですが
「環境法規制等の要求事項及び本来業務の環境側面がその組織に合ったように適切にとらえられていて、かつ、それらが環境方針と整合し、 環境パフォーマンスの改善が達成されるようにEMSが継続的に向上していること」であると思います。

ここでは、本来業務の環境側面をどのようにして特定すると効果的かを紹介します。

 ISO14001 4.3.1 環境側面では
 「活動、製品及びサービスについて組織が管理できる環境側面及び影響を及ぼすことができる環境側面を特定する」という要求事項がある。
この「環境側面及び影響を及ぼすことができる環境側面」については、このブログで度々取り上げてきた。
 影響を及ぼすことができる環境側面その1  その2  その3

 本来業務の環境側面とは、影響を及ぼすことができる環境側面とは大よそはダブっているが、製品・サービスの環境側面を追求していっても出てこない場合がある。
私が自己適合宣言でお手伝いしたある中堅化粧品メーカーの場合の例では、製品は大手化粧品メーカーの委託加工しており、製品の原材料や出荷後の使用は製造を委託したメーカーの管轄で、原材料のグリーン調達や製品仕様に係る影響を及ぼす環境側面は特定できない。
影響を及ぼすことができる環境側面を特定するには、どのようにしたらよいか相当苦労されている様子であった。
そこで、自部門の本来業務の機能を洗い出す。そこから環境側面を特定する方法を紹介したところ「これはよい、よくわかった。」という返答でした。
その例を、以下に載せます。

<製造業の例>

部門機能環境側面の例
財務部門会計管理・環境会計の導入
総務部門福利厚生・省エネ・省資源設備の導入
・提携先(保険・宿泊)の環境配慮
教育・育成・環境教育の実施
・従業員への環境会計の普及
採用・考課・環境改善活動を考慮した考課制度の創設
・環境意識の高い人材の採用
営業部門顧客ニーズの収集・環境配慮製品のニーズの収集
・売れ残りの防止
販売の促進・環境配慮製品の販売
・パンフレット・カタログ等への環境配慮
・効率的な移動(エコドライブなど)
技術開発設計部門新製品開発・設計・環境配慮製品の開発・設計
(軽量化・有害化学物質の排除・
 省エネルギー化・資源節約・
 低騒音・リサイクルの促進 等)
生産計画部門生産計画・生産の平準化
・顧客注文から、製品提供までのリードタイムの削減
・売れ残り在庫処分率の低減
購買部門納入業者選定・環境を考慮した取引先評価
・クリーン調達
商品情報の入手・社内への伝達・環境配慮商品の社内関連部門への伝達
・MSDSの入手
倉庫業務・エコパッケージ
・パレットの通い箱化
・作業の効率向上
外注生産計画の作成・環境負荷の少ない外注先への優先発注
・納品時の移動距離の短縮
外注業者管理・環境に配慮した工法
・作業効率向上の指導
生産技術部門工程設計・生産工程の部分統合による時間短縮。
・ライン(生産能率を規律する工程)を並列化することによる時間短縮
・生産工程内で前処理・前加工・予熱などを合理化することによる時間短縮
運転技術改良・生産工程の改良により歩留りの向上
・生産技術の向上(高精度加工や高品質加工)により後工程の短縮又は省略
原材料・副資材・エネルギーの設計・生産品目にあった小さな設備に変更することによるエネルギー消費の削減
・生産工程内の後工程・エネルギー回収などの合理化
・生産工程でし使用する水のリサイクル
・塗料や洗浄液等、外部へ飛散・蒸発する成分の回収
設備導入・更新・設備の事前アセスメント
・工法・材料への環境配慮
設備保全・設備のプリメンテナンス
製造部門製品の加工・組立・環境負荷を「見える化」して改善を促進
・生産工程の待機時間の短縮など無駄時間の短縮
・工程間仕掛をなくしてリードタイムを短縮
・工程内不良の低減
・残材の再利用
品質管理部門QMSの管理・維持・不良発生率の低減
品質判定・的確な品質判定(検査・寿命試験)
クレーム対応・環境情報の収集
・交換廃棄物の低減
物流部門梱包・梱包材料の選定
・通い箱の採用
出荷前保管・保管業務の効率化
輸送・輸送ルートの選定
・輸送効率の向上
・空車率の低減
産業廃棄物の管理・廃棄物のリサイクル化
情報システム部門コンピュータシステムの管理・保全・ネットワーク化
・テレビ会議の導入
・省エネルギー化
情報システムの開発・環境負荷の見える化
 (データロガー等)
情報の保存管理・分散管理・冗長度

 ISO14001では、「影響を及ぼすことができる環境側面」の範囲は、組織が自主的に決定することになっている。
JISQ14001 4.1に関する 補足説明では以下のように記載されています。
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 本文「どのようにしてこれらの要求事項を満たすかを決定すること」とは、この補足部分で、規格には明瞭に示された要求もあるが、組織の裁量に任された要求もあり、後者について組織が確実にその方法を決定することを求めています。
 ここでの明瞭に示された要求とは ”管理できる環境側面”が該当する。組織の裁量に任された要求とは、”影響を及ぼすことができる環境側面”が該当する。
 自由裁量の範囲設定は、マネジメントシステムの実質効果と密接に関連する。従って、効果を期待するならば、極力自由裁量の範囲を大きくとるということが意図されていると考えてよい。
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 即ち、環境マニュアルの適用範囲のところで、「当社は影響を及ぼすことができる環境側面は『コスト改善と製品力向上』に絞って実施する」と宣言してあれば、そこに絞り込んで活動をすればよい。
現在の企業環境の中では、その方が従業員のやる気が出て、より効果が上がるのではないかと思います。
そのように感じていたところ、日経エコロジー11月号特集にその例が載っていた。

----------------<ここから引用>---------------------------

 環境活動と本来業務の一体化、そしてパフォーマンス重視。これらはISO14001を巡るトレンドになっているが、担当者からは悩みの声も聞かれる。
「ある環境負荷が減ったとしても、それが従業員の環境活動によるものなのか、それとも生産量の減少によるものなのか、切り分けるのは難しい」「活動テーマに生産性向上を挙げているが、パフオーマンスを測る指標としていろいろ考えられる。何を選べばいいのか判断に悩む」といった書き込みが目立った。
化学品専門商社の菱江化学(東京都中央区)も、同じような悩みを抱えていた。同社には3事業部があり、それぞれの商品特性から、ある部門では適した指標が別の部門ではイメージしにくいなど、活動テーマや指標の設定が難しかった。
そこで2008年4月、ISO14001活動に関して思い切った変更を実施した。「効率的な事業活動」を全部門統一のテーマとして掲げ、「従業員1人当たり営業利益」を指標として設定することにしたのだ。
光熱費や営業車両の燃料といった販管費を削減すること、つまり営業利益の改善が、環境負荷の低減に大きく寄与するという考え方だ。これなら各事業部の特性にも左右されにくい。審査機関も従来から本来業務との一体化を促しており、トップマネジメントレビューを経て、経営トップが決断したのだという。
4月以降、「ノー残業デーの設定による残業時間の削減」や「納品書を郵送からFAX送信に変更して紙の使用量を削減(運送などの環境負荷も低減)」「出張は数社分まとめて実施」などの取り組みで成果を上げてきた。効率的な営業の一環として、営業部員と別に製品のテスト・分析
を専門に担当する人員を置くといった組織改革も実行。以前は営業部員が分析なども手掛けていたため、営業活動に専念しにくかった点を改善する予定だ。
パフォーマンスを考える際に、「結果としてのパフォーマンス」以外に、それを支える施策や努力、つまり「プロセスのパフオーマンス」に目を向けるのも有効だ。

----------------<引用終わり>---------------------------

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