顧客満足と従業員満足の関係
24日、北陸経営品質フォーラム月例会でMATコンサツタント社長の望月広愛氏のお話をお聞きしました。
望月氏は、ヤマハ株式会社を経て、昭和63年に(株)三和総合研究所(現UFJ総合研究所)入社され、在職中に(株)吉田オリジナルの経営品質の指導をされ吉田オリジナルは、1998年度日本経営品質賞を受賞した。
その後、2000年に経営破綻寸前であったイタリアンレストランチェーン(株)ロッソえびすや代表取締役社長に就任され経営品質活動を展開の展開により業績は急回復。2005年に日本経営品質賞を受賞した。
2008年に社長を退任し、新しくMATコンサルタントを設立されている。
浮き沈みの多い業界で、この間の活動を、体験談を交えて紹介いただきました。
これまで、私は、なぜ顧客満足が大切かということを下図の「顧客満足と売上・利益の連鎖モデル」で理解していいましたが、顧客満足と従業員満足との関係がモヤモヤしていました。
今回、望月氏の話を聞いて頭が整理できました。私が理解した内容で話の骨子を紹介します。
日本において1900年から2000年までは人口急増の時代であった。企業は普通に経営を行っていれば利益を上げる事が出来た。しかし、これからは人口急落の時代に入った。
飲食、小売り、葬儀屋など国外に営業展開できないサービス業は次々に経営が破たんするであろう。
しかし、このような状況にあっても永続的な収益をあげられる企業が存在する。収益を生み出せるか否かは、業務プロセスの生産性如何にかかっている。
ここから、望月氏が引き継いだときは3憶円近い赤字で倒産寸前の状態に陥ったイタリアンレストラン”ロッソえびすや”を経営品質の考え方を浸透することにより、4年で累積赤字を一掃し、7年連続経常増益を続けている体験をもとに話をされた。
業務プロセスの生産性を高める最大の因子は、社員の自主性と創造性であり、社員が自主性と創造性を発揮するのは、やる気に満ちている状態である。これは会社の「風土」があって生まれてくる。しかし「風土」は一朝一夕にできるものではない。
赤字会社を引き継いだ望月氏が最初にやったことは、会社のビジョン・理念を明確にして率先垂範することである。
リッツカールトンホテルを学んで「8つの約束事」を作り、毎日開店前に大きな声で読み上げてもらった。
1. 約束事を守ります
2. 嘘をつきません
3. 愚痴、陰口を言いません
4. トライする前にできないとは言いません
5. 失敗を他人のせいにしません
6. 積極的に行動し、果敢に行動します
7. 他人の意見を聞きます
8. 人として恥ずかしいことはしません
これを続けているうちに、この言葉に反した行動をとっていた人が、自然とやめて行き共感する人が入ってきた。
また、ロッソえびすや”では現場のアルバイトさんに至るまで情報の共有化を推進し、経営トップに直接情報カードを介して意見具申できる「情報カード」システムを導入している。
赤カード……お客様よりのクレーム自分の不満
青カード……お客様よりのお褒め周囲の仲間への感謝
白カード……他社情報や意見・要望
これらの情報カードの要望は毎日、全役員、全社員、全店に電子メールとFAXで情報が共有され、対応策も知らされるようになっている。
このような活動を続けているうちに、社員自らが経営理念を見直しさせてほしいという提案出され、そこから次の理念が追加された。
1.美味しさの追求
原点に戻り本来の味、そしてお客様の求める味とはなにかを突き詰めます
2.利他主義の徹底
「人のために仕事する、周囲の人が楽になるように仕事すること」が結局自分自身と全員の仕事を楽にし、生産性は向上します。
3.ありがとうの追求
青カードをとにかくたくさん出しましょう。お客様からありがとうとどれだけ言っていただけるか、そして周囲の仲間にどれだけありがとうと言えるか、これが全てです。
ありがとう、が言えない職場や人では、絶対にお客様に喜ばれるオーラはお店としてだせません。
●料理作りより人づくり お菓子作りより人づくり
このような、活動から社会福祉施設への料理作りのボランティアが始まり、ボランティアでほめられて社員の目が輝いてきた。
また、お客様から「ありがとう」という言葉をもらったという青カードが増えだし、そのことによって社員のやる気が出てきた。
そのことによって、業務プロセスの生産性がどんどん高まってきた。
結局、ここで言っていることは最初に「顧客満足」があるのではない。
大事なのは、従業員満足であって、従業員満足が高まれば、顧客の満足が高まり、その反応が従業員のやり気を更に高める。
従業員満足、社会貢献・顧客満足というのは、鶏と卵のような関係です。そして、このサイクルの中から、独自能力≒生産性の高い業務プロセス が生まれてくるということです。
そして、望月氏がもう一つ言って言ったことは経営品質アセスメント基準には8つのカテゴリーがある(下図)。
経営品質に取り組む会社は、それぞれのカテゴリーをバラバラにして取り組んでいるが、取り組む順番がある。
順番は、「1.リーダーシップ」「2.社会的責任」「3.顧客に理解」の順に行わなければ効果が上がらないということです。
PS
地域限定になりますが、10月30日(金)、話の中にも出てきましたリッツカールトンホテルの高野氏の講演があります。
右のパンフレット(クリックすると拡大します)。
場所:小松市公会堂大ホール
時間:19時~
無料ですので、加賀地方の方は申し込みされてはいかがでしょうか。
⇒ 申し込み書
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