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2009.04.20

エコアクション21の不祥事の処置に思う

この程、エコアクション21中央事務局より自動車整備業において雛型による画一的(金太郎的)取り組み(約30社強)が発覚し、それを故意に見逃した審査人2名に対する審査人業務の一時停止と、その状況を判定委員会で見抜けなかった4つの地域事務局に対して戒告の処分が発表された。

昨年この話を聞いたとき、金太郎的取り組みがなぜ悪いのかという疑問を持った。というのは、私はいしかわ地域版環境ISOの審査もしているが、ここでは金太郎的取り組みが多々あるが審査基準では、これを認めている。その理由は、事業者が環境負荷の改善に目覚めてもらうことが目的で、内容は活動を実施していく過程で上げていけばよい、また、小企業では文書作りに不慣れである、ベストプラクティスを導入するという意味でも悪くない、という考え方である。
しかし、ISOやエコアクション21では、これを許していない。このような取り組みはISOやエコアクション21の認証・登録制度の基本的要件に反しているこことは理解しているがなぜ許さないか、またEA21中央事務局の発令した再発防止の方向づけについて考えてみた。

金太郎的取り組みがなぜ悪いのか
 ドラッカーによると、マネジメントとは「スキルを持った無秩序な集団を、目的意識を持った集団に変えることである。また、組織の目的には「組織に特有の使命、働く人たちを生かす、社会に貢献する」という3つが含まれなければならない、と言っている。
そのためには、トップマネジメントがビジョンや方針を定め、組織の構成員がその背景や意味を理解した活動をすることが必要である。この点を考えると金太郎的取り組みは「環境マネジメントシステム」の中の「環境」と「システム」だけがある状態で「マネジメント」が欠落した状態である。このような状態では構成員全員の自発的活動が得られず、永い目でみると次第に成果が得られなくなり活動が行き詰るということだろう。

認証審査制度との関連
 では、認証審査制度とどうかかわっているかを調べると、この問題は、過去にISO第三者認証でも発生したことがある。
今年3月に行われた先の第15回JAB/ISO公開討論会の資料を見ると

1991年当時、QMS認証の制度設計において二通りの考え方があったと言うことである。
A)イギリス方式:能力証明三階層モデル
・認定-認証-組織
・認定-研修-審査員
B)スイス方式:企業指導修了式モデル
・審査員による組織のシステム構築支援
・1.5~2年の改善の結果としての認証

ISOやエコアクション21はA)イギリス方式を採用、いしかわ版環境ISOはB)スイス方式を採用しているとも判断できる。
その後の経過を見ると、B)の考え方、ある程度の形が整っていれば認証後にレベルアップさせるということをうたい文句に掲げて認証活動を行ってきた機関でISOの認証を受けた会社がコンプライアンスの問題で不祥事を起こし、認証制度の社会的信用を失墜させたという事件が連続した。
このような認証審査の方法では、最終目的はどうであれ、実際には、マネジメントシステムには興味はないが商売のために看板として手っ取り早く認証が欲しいという自発性のない事業者(即ちマネジメントが欠落した事業者)に悪用され、結果として不祥事が発生してしまったのではないかと考えられる。
以上のことを考えると、A)イギリス方式:能力証明三階層モデルが正しいと判断せざるを得ない。
この考え方(能力証明三階層モデル)では、コンサルがどのようなやり方であっても
・認定(中央事務局・地域事務局)-認証(審査人)-事業者
・認定(中央事務局)-研修-審査人
能力証明三階層モデルが適切に機能し、審査の過程で審査人が正しく審査し、判定委員会がキチンと判定すれば、問題を発見できるという判断に立つ。

しかし、今回のケースでは、審査人がコンサルタントから紹介料をもらっており、能力はあったが故意に目をつぶったという問題である。一方、中央事務局・地域事務局にはそれを見抜く能力がなかったということが原因である。

EA21中央事務局が発行した、この問題の再発防止策の中に
「なお、中央事務局としては、将来的には、様々な問題を誘発する起因ともなっている「事業者による審査人の指名」を廃止し、中央事務局が認定し(中央事務局が指導・監督ができる)、一定の要件を満たす(例えば審査人力量判定委員会及び審査人選任委員会等を設置した)地域事務局が、審査人の選任を行っていく制度に改革していくことを検討しています。」
という文言がある。

ある審査人からは、次のメールをいただきました。

-------------------<ここから引用>------------------------------

今回の事件の根源は中央事務局を含めたEA21審査登録制度の仕組みを管理する側に端を発しているように私は思います。
☆審査人の力量・適否について
審査人の力量はばらつきが大きく看過出来ない状況が出来しつつあると思っております。
私が担当する審査の中でも前記起因と考えられる問題が相変わらず散見され図らずも改めて自らの「憂鬱な認識」を深めています。
審査人登録条件として、審査能力にこそより重点を置いた選考の仕組みが必要と考えます。
出来ることなら中央事務局EA21の規程の担当者に聞いてみたいものです。
ただ、審査人についての問題は2種あるように思います。1つは上述の純然たる審査力量についての問題、もう1つは、力量はあるがその「審査関連作業の運用の仕方」が不適切なケースです。但し、これには規定上も道義上も×を承知での確信犯(言葉が悪いですが)所謂今回の事件のようなケースが殆どであり審査人のモラルの問題でしょう。
例えば当初の審査計画とかけ離れた審査(現地審査は短い雑談程度で全て評価A)。初回登録以降ずっとこの審査方法だったこの組織は丸1日審査に驚いたとのこと。          この審査では当然のことながら要改善事項の山が出来ました。受審事業者への迷惑とEA21への信頼喪失は如何ばかりでしょうか。
☆地域事務局の力量と審査人指名について
 審査申込書記載内容や認証登録範囲等々基本的事項の審議不十分のケースが散見され、
これは審査人-地域事務局-判定委員会 の誰もが気づくことが出来なかったことになります。(ISOに関与した経験等があればこのようなことはまずないでしょう)。
これら状況からみると判定委員会の審議についても何も問題がないか心配になるのも無理からぬところでしょう。事務局を含め判定委員会にも当然のこととして明確な力量が存在し、それを具備すべきであり、これらの不足が事務局の機能として働かず今回事件の発見・対応を遅らせたと考えます
総じて以上の諸問題は中央を含む事務局と審査人が連携協力し膝を付き合わせた検討の中から解決・改善するのが唯一の方法と考えます。
中央事務局単独ではなく、地域事務局・審査人・受審事業者を含めたEA21全体としてのPDCAサイクルの構築・運用が必要な時機にあるのではないでしょうか。
ただ現状での事務局が審査人を選定するとし受審組織による審査人指名制度を外すことは今回事件と同種或いは類似の事件の多発要因を全国に拡げてしまうことになるのではと懸念します。

-------------------<引用おわり>------------------------------

<私の意見>
先に述べたように、今回の問題の原因は、審査人の独立性(審査案件の紹介者との利害関係)と中央事務局・地域事務局の判定委員会の力量不足が問題であると思います。
この点に関し、中央事務局は、審査人の独立性を確保するために、地域事務局が審査人の選任を行っていく制度に変えるということを言っているが、果たしてうまくいくだろうか。
地域事務局が審査人を選任すると言っても、事務局の実務担当者は事務的業務が中心で受審事業者に対してどの審査人が適切かを判断する力量はない。外部の力量がある専門家が選任することになる。
地元、石川県の地域事務局の判定委員の方々(外部の専門家)を見ていると、自分の本業の傍ら判定委員会に出席されてかなり多忙のようです。とても審査人の力量判断や選任を行っている時間的余裕があるとは思えません。結果として事務局の実務担当者が独断で選任せざるを得ない状態になると予想されます。
一方、地域事務局の中には、地域が設立した財団やNPO法人が運営している事務局があります。これらの事務局では専任者や有償ボランティアの人達がいて選任のための時間的余裕があるように思います。しかし、これらの地域事務局では、その設立の趣旨からして組織の周辺に暗黙の内に囲い込んだ審査人がいるようです。力量判定と称して、自分の組織に息のかかった審査人に優先して審査を任せることになりかねない。また、仕事が欲しい審査人は、審査人を選定する人達に賄賂を使うかも知れません。これは悪名高い談合の世界です。
これでは、事業者に対する独立性は確保されてとしても、認証制度の公平性が損なわれ負のスパイラルに落ち込む可能性があると思います。
私の提案は、それよりも判定会議のやり方を変えることです。
私はこれまで石川県と富山県の二つの地域事務局からの審査を担当させていただきました。
この二つの経験でも、判定会議のやり方は地域事務局によりかなりの差があります。まして、全国47の地域事務局の判定会議の進め方は千差万別でしょう。
私の地元石川県の地域事務局の判定会議では、判定委員は事前に審査書類に目を通してくる。判定会議では審査を担当した審査人が必ず出席し説明しなければならない。説明の後審査人が退席し判定委員が判定する、という手順です。
他の地域事務局では、判定会議に審査人が出席しないようですが、審査人が判定会議に出席し説明するやり方は、事務局の手間がかかるが、説明の際に審査人にかなり鋭い質問がきて、審査内容を誤魔かしようがない。
どこの地域事務局でもこのような手順を採用することが良いのではないかと思います。

皆さんは、どうお考えでしょうか。

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