意識改革の進め方
19日は石川県地球温暖化防止活動推進員研修に参加した。
「石川県内の環境活動団体の地球温暖化防止活動を知ろう」というテーマで、自治体と市民の接点となっている団体から活動紹介があった。スケジュールでは4つの団体の説明が予定されていたが、1つの団体が急用で欠席したため、次の3つの団体となった。
1)こまつ環境パートナーシップ
2)かが市民環境会議
3)金沢市地球温暖化対策推進協議会
これらの発表の中で、1)「こまつ」、3)「金沢市」についてのプレゼンは、市の環境基本計画と、その計画に基づいたNPO等の環境保全活動についての説明であった。内容は、論理的によくできている。しかし、活動をやっているのは一部の人で市民全体活動になっておらず迫力がない。
2)の 「かが市」 については色々説明があったが、目玉は「生ごみの堆肥化=食品リサイクルシステム」で、この活動は、市民全体の活動になっていて、大きな成果が上がっている。話が具体的で聞いていても面白い。
加賀市は、加賀平野の南部にある農業と温泉の市である。加賀市には3つの温泉街を持ち、生ごみが沢山出る。
この生ごみをなんとかしようと立ち上がったのが女性の環境活動団体「加賀市女性協議会」である。当初は集めた生ごみを近くの畑に持ち込み自分たちでぼかし(堆肥づくり)をやっていたが、うまくいかない。
そこで、ぼかしを専門業者に委託することを考えたが、その時点でビジネスとして成りたつ事業とすることに方向転換し、排出者(食品会社・旅館・学校・意欲のある家庭)、再生処理業者、生産農家からなる事業協同組合を作った。
その活動の推進役は、かが市民会議や女性協議会、温泉旅館のおかみ会が当たり、北陸先端大学等の専門知見を活用しながら進めてきたそうである。
出典:H20CO2削減グランプリ石川県会資料
ビジネスとして成り立つよい堆肥を作るには、堆肥の利用市場の確保、堆肥化技術とともに、よい原料が必要である。かが市民会議や女性協議会は排出される生ごみの分別の仕方のイラストを作り、参加してくれる地域の奥さんを集めて何度となく説明会をしたそうである。
現在では、加賀市の2,000所帯以上が参加、市焼却場での生ごみの焼却量を3,000トン削減した。
これだけの効果を上げているのであるが活動当初は加賀市からの支援は全くなく、効果実績を確認した後、平成19年より市の委託事業となり資金的な支援が出るようになったとのことである。
このプロジェクトは、今年度より、始まった国内CO2排出量取引制度にも取り上げられ、市民部門として国内初のクレジットとして、ある国内大手銀行に買い付けられ、カーボンオフセットされるそうである。
ここで、「かが市」の活動が、「こまつ」「金沢市」の活動とどこが違っているかと考えると
1. 総花的に進めるのではなく、その地域の重要な問題に絞りこんでいる。
2. 「こまつ」「金沢市」では、行政からの諮問という形式で活動が展開されているが、「かが市」の場合は熱意を持った市民が先に立ち上がり、行政がこれに追随するという経過をたどっている。
また、活動を市民に広げるに当たっても、意欲のあるところを優先している。
3. ボランティアにおわらせずに、ビジネスとして成り立つ事業モデルを作ってこと。また、その事業モデルの過程で大学・工業試験場・営農指導などの専門的知見を積極的に活用している。
4. 以上の活動で十分成果をあげたことにより、これまで、あまり関心のなかった町・家庭が追随し始めたという経過をたどっている。
これは、市民活動のよい事例というだけでなく、企業が意識改革を進めるときのプロセスとも共通する、普遍的な進め方ではないでしょうか。
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