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2008.11.03

企業に人材育成担当部門は必要か?

 10月31日(金)は、東京大学安田講堂で開催された産学協同シンポジューム「ワークプレースラーニング2008」に参加しました。

当日の参加した人は800名、個人的な感触ですが、企業人材育成部門の人5割、企業に教育を提供する機関やコンサルタント4割、その他1割 とみました。
参加費用4千円だったので、これだけ集まればイベントとしては十分採算がとれる。さすが商売がうまいなあ!

ワークプレースラーニングとは、研修の学びに加えて、現場の学びを重視した考え方で
1) 実務を通した学びのあり方
2) 研修と連動した現場の学びのあり方
のことを指している。

最初に主催者の東京大学の中原先生がプレゼン:
企業内に働く人は、どこで学び成長しているかを調査した結果
「実務を通して70%を学んでいる。研修からは30%しか学んでいない。」
「企業の人材育成担当者は研修だけやっていてよいのか、どうしらよいのか。」
という問いかけです。

 
進め方は4件の事例発表があり、2件の発表終了ごとに隣同士3~5人でペアミーチィング。最後に、組織心理学の立場から小樽商科大学の松尾教授、社会学の立場から産業能率大学の長岡教授、教育学の立場から東京大学の中原教授がまとめをするという内容です。

 1件目の発表は花王の企業情報文化部の下平氏、花王ウェイを部門ごとに部門長がファシリテータとなって浸透させていくプログラムです。
この例では、部門単位の学習であるが誰が一番学習したかというと、結果的にファシリテータとなった部門長その人であったということです。

 2件目はNTTソフトウエアの営業推進本部の渡辺氏、その部門の営業の分析データを使ったコーチング(というよりは上司と部下の話し合い)を通してスクルアップし業績も向上したという事例。
内容的にはISO9000でいうプロセスアプローチそのもので、目標設定・スキル診断・プロセスの見える化・評価とコーチングいったことがきめ細かく、システム的に行われている。

 3件目はKDDIカスタマーサービス部の園田氏、社長が先頭に立って現場で直接コミュニケーションをとりながら総合的顧客満足向上活動(TCS活動)を推進し、社内の意識改革と業績向上を果たしたという事例。

 4件目は、あおぞら銀行執行役員アキレス美智子氏の戦略的人事部の話でした。
この話は私ブログ 学習する組織「自己実現」を支援する実践本 の中で「会社を変える人材開発」という本を紹介していますが、その中のヒロインの活動そのもののような気がしました。

 当日の様子は、主催者の東大中原研究室のブログNAKAHARA-LAB.NET「ワークプレイスラーニング2008を振り返る」に掲載されていますので、こちらをご覧ください。

このシンポジュームの私なりの結論です。

人が学習するということは、「押し付けではなく、自身の気づきがあること」
そのためには、
・何かの目標がある。
・やったら自分が”認めてもらえる・成長できる”といことが実感できる。
・”他から自分の行動が見られている”というシビアな環境も必要。

では、こういうことを推進できるのはどこか。現場か、人材育成部門か。
人材育成部門がやるとしたら従来のような研修中心では役に立たないよ!
現場に出てニーズをとらえ、戦略眼を持って行動しなければならい。
主催者はそのことを言いたかったのだと思います。

しかし、今日参加した企業の人材育成部門の方は、強く感じてか、何とはなくか、は別として、そのことに気づいて参加されたのでしょう。

実際は、そんなことに全く気付かない企業の方々に参加したもらうことが重要だったのかも知れませんね。
そう言う意味でこのシンポジュームは2007年より毎年開催しているようです。
また学習会も毎月開催されているようです。メルマガも発行されています。

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