アクションラーニング 年次カンファレンス2008
第一部では、ワシントン大学大学院教授でWIAL代表のマコード先生より、アメリカを中心にした「アクションラーニングの新しいトレンド」についての紹介がありました。
アクションラーニングは世界的には60年位の歴史があります。従来アメリカでは、アクションラーニングは組織変革やチームビルディングのツールとして使われていると感じていたが、現在では組織内のコミュニケーションツールとして空気のように使われ出したということらしい。
最近の12のトレンドの紹介があった。2、3の例を紹介します。
新しい使い方としては日本のQCサークルのように、仲間同士でグループを作り、各自の問題を、アクションラーニングを通して解決する。この場合にアクションラーニングコーチはメンバーも持ち回りとする。この過程を通して問題解決とリーダーシップスキルを開発する。例として、マイクロソフトでは、社内にこのようなサークルが幾つも作られ継続的に活動しているそうです。
次のトレンドは、バーチャル(インターネット)を活用してアクションラーニングを行い、かなり効果を上げる例も出ている。
この場合、注意することは参加者に対する規範の設定に工夫を要すること、アクションラーニングコーチの役割が重要になるということです。
例として、米国農務省がグローバルな仕事をしているスタッフに対して、この方法で効果を上げているそうです。
私も未熟ながらバーチャル(インターネット)を使った体感セッションをやろうと思いサイトを立ち上げました。興味のある方は是非参加ください。
第二部では、NPO法人日本AL協会清宮代表の年次活動報告の後、エクセレント・プログラムとエクジェクティブアクションラーニングコーチの表彰があった。今年のエクセレント・プログラム・アワードはアクサ生命保険株式会社カスタマーサービス部門の「変革エージェント研修」、エクジェクティブアクションラーニングコーチは「阿部久美子」さん でした。
第三部はNPO法人清宮代表による先に発行した著書「質問会議」のエッセンス”きも”についての講義です。
ここで、私が気付いたことは2つです。
一つ目は、アクションラーニングのやり始めのグループでは、自分の意見の後に「~ではないですか」といったことをつけるクローズがどうしても多くなる。それに対して「どこで」「どのように」のように、話が広がっていくオープン質問の方が良い、と思いこんでいいました。 しかし、これはバランスの問題であって、時にはクローズ質問の織り込まれるのが良いということである。 しいて言えば、最初の問題の概念化の段階ではオープン質問が中心、活動計画等を評価する段階ではクローズ質問を中心とし、その中でオープン質問・クローズ質問が混在するということでしょう。
二つ目は、研修の仕方です。自分はクライアントに対してISO等で研修を行う機会が多々あるが、教えた後に、その内容についてグループ演習といった形で演習を入れる場合が多かった。 ここで学んだことは、そうではなくて、先に説明をするのではなく、説明する前に、その内容について先に考えてもらうようなグループ研修(ピア対話)を入れて、その後に説明する、というスタイルの方がより効果的ではないかということです。
第四部は、2件の事例発表の後、組織学習の研究をしている東大中原準教授を交えてのパネルディスカッションでした。
1件目は、日本ベーリンガーインゲルハイム営業統括部早川部長より、新営業マネージャー研修へのアクションラーニングの活用事例の紹介がありました。
2件目はアクサ生命保険お客様相談室伊藤室長よりCS意識向上活動の中でアクションラーニングをどのように使って効果を上げたか紹介がありました。
このパネルデェスカッションで私が感じた結論は「最初にアクションラーニングがあるのではなく、アクションラーニングはツール(アクサ生命の伊藤室長はOSという表現をされていたが)である。何をしたいかが先にあるのであって、その中に必要に応じてアクションラーニングを組み込んでいくということだ」と感じました。
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