カーボン・フットプリント表示制度
従来から、環境影響の「見える化」の用語として、フートマイレージ、ウッドマイレージ、エコロジカル・リュックサック、エコロジカル・フットプリントという用語が使かわれてきました。
以下はECIネットからの抜粋です。
フートマイレージ
輸入食糧の総重量と輸送距離を掛け合わせたものである。
食料の生産地から食卓までの距離が長いほど、輸送にかかる燃料や二酸化炭素の排出量が多くなる。
2000年の日本のフードマイレージは約5,000億トン・キロメートル
韓国の約3.4倍、米国の約3.7倍になる。
ウッドマイレージ
木材の量と木材の産地と消費地まで輸送距離を乗じたものである。
日本の木材に対する自給率は18.2%と低く、南米、アフリカ、欧州、オセアニアといった、8,000キロメートル以上離れた輸出国から輸入する割合が 40%と非常に高い。
日本のウッドマイレージは384億キロメートル
米国の4.6倍、ドイツの21倍にもなる。
エコロジカル・リュックサック
最終的な目標であるサービスに関連付けて、製品の全ライフサイクルにわたって集計される物質量(MIPS: material input per service)を論じるために導入された概念で、ある製品や素材に関して、その生産のために移動された物質量を重さで表した指標。
例えば1トンの銅を得るためには鉱石、土砂などの自然資源500トンを移動する必要があり、この場合のエコリュックサック値は500と表される。
エコロジカル・フットプリント
人間1人が持続可能な生活を送るのに必要な生産可能な土地面積(水産資源の利用を含めて計算する場合は陸水面積となる)。
例えば、あるエコロジカル・フットプリントでは、1)化石燃料の消費によって排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林面積、2)道路、建築物等に使われる土地面積、3)食糧の生産に必要な土地面積、4)紙、木材等の生産に必要な土地面積、を合計した値として計算される。
アメリカ 5.1ha
カナダ 4.3ha
日本 2.3ha
インド 0.4ha
世界平均 1.8ha
ところが、ここへきて「カーボンフットプリント」というという用語が出てきて、ISO14001やエコアクションに取り組んでいる皆さんにも影響を及ぼしそうです。
カーボン・フットプリントというと本年6月サッポロビールが、缶ビールにCO2排出量を表示して話題になった。
時を同じくして経済産業省は6月よりカーボンフットプリントの研究会を立ち上げ検討を進めている。
ISOTC207が規格設定を検討中で、順調にいけば平成23年度に発行される予定だそうです。
フットプリントについてはイギリスが先行しており、経済産業省はこの委員会での結果をもって日本の意見として、ISOに反映させる意向であるとのことです。
経済産業省の資料によると
カーボンフットプリントの定義
商品・サービスのLCA=ライフサイクル全般(原材料調達から廃棄・リサイクルまで)で排出された温室効果ガスをCO2に換算して、簡易的な方法で分かりやすく表示したもの。
この定義を見て、”おやっ”と思ったことは、エコロジカル・フットプリントといった用語は面積で表している。カーボンフットプリントはCO2の排出量で表しているところですね。
経済産業省の資料によると、導入の目的は次のようになっている。
1)商品の個別の排出量を本体に表示(見える化)することで、事業者の温暖化対策を消費者にアピールすると共に、消費者自身のCO2排出量の自覚を促す。
2)消費者が直接的に事業者の温暖化対策を評価することで、事業者の取組を一層促進。3)サプライチェーンを通じた企業のCO2排出量を削減する。
4)CO2排出量の正確な測定は、カーボンオフセット(炭素の相殺)の普及にも資する。
フートマイレージ、ウッドマイレージ、エコロジカル・フットプリントといった用語は、国や地域レベルの環境影響を理解するには良いが、ではどうするかという行動には結び付きにくい。
先に私のブロクで紹介した”ミネラルウォーターのペットボトル”はカーボンフットプリントで表示するとどうなるのでしょうか。
カーボンフットプリントで表すと、その異常さがすぐに分かる。
カーボンフットプリントは商品単位ですから行動に結び付き易いのがよいですね。
日経エコロジーによると、経済産業省が取りまとめるガイドラインには、すべての品目に適用できる共通ルールを盛り込む予定であるが、具体的には次の4つの論点があるという。
(1)CO2排出量を減らすためにグリーン電力証書の購入や植林、CO2の回収・貯留などを実施した場合の扱い。
(2)原料栽培時に農地から排出されるメタンなどの排出量の扱いである。
(3)第3が土地の改変に関するもの。森林を伐採し田畑に変える際の建設機械などからのCO2排出量と、失われる吸収源としての森林分をどう算出すべきかが問題になる。
(4)流通段階におけるCO2排出量の扱い。
将来、カーボンフットプリントが全ての商品に表示されるためには、サプライチェーンを通したCO2排出量の把握が必要になってくる。
中小企業であっても、これまでのように、OEMだから、下請けだから、自分達には関係ない、という態度はとれなくなるのではないでしょうか。
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