EA21:2009年改定ではCO2排出削減量取引が可能になる
10月17日、18日熊本で行われたエコアクション21全国交流大会に参加しました。
内容は審査人や地域事務局に対する研修なので省略しますが、研修テーマの中でエコアクション21の制度改正の見込みと、その中で温室効果ガス排出削減量取引(カーボンオフセット)への関与についての話がありましたので紹介します。
EA21中央事務局より、エコアクション21のガイドラインは、本年11月に環境省内に「改定のための委員会」が開催され、順調にいけばパブリックコメントの後、平成21年4月に改正ガイドラインが発行される予定、との報告がありました。
改正ガイドライン(EA21:2009)と旧ガイドライン(EA21:2004)併用期間は平成22年3月までで、平成22年4月以降は改正ガイドラインでの審査を受けなければならない。
<主な変更点>
1. 現在でも、取組対象範囲は、原則として全組織・全業務となっているが記載があいまいであるので、この点の記載が明確に記載される。
2. 業種別マニュアルが業種別ガイドラインと名称を変更、位置づけが規定される。
3. グリーン購入、製品・サービスの環境配慮、生物多様性への配慮など、製品・サービスのライフサイクル全体への配慮が記載される。
4. 環境負荷及びその削減量のまとめ方が改善(追加)される。
特に4項は、地域の温室効果ガス排出削減量取引や国内CDMに関連した内容となります。
既に東京都は「2025年までにCO2を25%削減」を宣言し、大企業への温室効果ガス削減のキャップを設定すること。また、中小事業所へは省エネ設備の設置や住宅への太陽電池や太陽熱設備の設置を進め、ここから生まれるクレジットを購入して大規模事業者向けの排出量取引制度の中で利用できるようにすることを議決している。
早ければ2010年ごろから実施される見込みで神奈川・埼玉・千葉などの関東近県も一緒に参画する見込みらしい。
このような制度は、次第に全国に広がることが予想されるが、削減量のクレジットを販売するためには、第三者検証が必要になる。中小企業の場合は大企業と違って個々の削減量が小さいので、クレジットの販売価格を考慮すると、その検証価格がかなり安くなくては事業者側のメリットが出ない。
4項は、エコアクション21の審査の場が、その場合の第三者検証を兼ねようとするための改定であり、エコアクション21審査人の有償ボランティアの検証支援により費用的にペイするように制度設計するものであるようです。
正式には、この制度は環境省が監督・支援する。
現在考えられている制度内容案は、事業者は環境活動レポートに
① 過去1年間のGHG(温室効果ガス)削減量
② 今後1年間のGHG削減予定量
③ 今後3~5年間のGHG削減予定量
を明記する。
GHG検証の専門的知知識を有する審査人がその内容を検証する。
GHGリダクション事業の効果 出典:IGES-CfSEA21熊本大会資料
中立的立場のエコアクション21中央事務局がその削減量の取りまとめを行う。
削減した、あるいは削減するGHG
①+②+③ あるいは、①+②、①+③ を,、CDM あるいは カーボンオフセットとして
・キャップを持つ大手企業が削減量クレジットとして購入
・地域の大手サプライチェーンが購入
・地域の小売店等が購入
・地域の小売店等が生活者に販売
といったことを考えている。
GHGリダクション事業のスキーム案 出典:IGES-CfSEA21熊本大会資料
現在は排出量の取引価格は
「自主参加型国内排出量取引制度」は 1,200円/t-CO2
日本カーボンオフセットでは 4,200円/t-CO2
となっている。
エコアクション21の事業者当たり平均排出削減量は 30t-CO2 であるから、取引価格が4,000円/t-CO2 程度であれば、EA21の審査費用と相殺されることになり、事業者にとって費用的にかなりメリットが出る見込みです。
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