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2008.08.14

ISO14001自己適合宣言への移行事例

前回の「ISO14001認証維持の費用対効果の検証」で、認証取得後に認証機関の審査に物足りなさを感じている企業様に、次の3つの方法を提案しました。
 1.成熟審査に移行する。
 2.エコアクション21に移行する。
 3.自己適合宣言に移行する。

今回は私がお手伝いした静岡県の中堅化粧品メーカーA社で自己適合宣言への移行の実例を、環境管理責任者のお許しをもらって紹介します。

A社は社員500名弱で大手化粧品会社へ化粧品や医薬部外品のOEM生産をされており、日本の代表的認証機関より、ISO9001は1999年、ISO14001は2003年に認証取得されている。

昨年5月に弊事務所の自己適合宣言のホームページを見て頂き、手順や費用等の問い合わせがありました。
弊事務所のホームページ見ていただいた方より時々、維持費用を安くしたいということを目的に自己適合宣言への移行の問い合わせがあるが、私はそのような動機だけからの移行には反対であるので最初は「ISO14001自己宣言の課題」というページを読んでもらっている。大方の問い合わせ先はこの段階で諦めるのであるが、A社はそれでもやりたいので一度来て欲しいとの返答であった。

昨年9月に会社に訪問してお話をお伺いすると「認証維持は費用が高い割に効果がないと考えておられる。工場が所在する市でも自己適合宣言に移行したのを見ているので自社でも移行したい。先ずはISO14001でやってみたいので、その手順の説明して欲しい。但し、外部評価については他に3社ほど相見積もりをしている」との説明を受けた。

これまでの活動経過を聞くと、法規制の順守や緊急時対応などのリスク低減はかなり徹底して行われているようであったが改善については、
「紙・ごみ・電気・水をやって、やりつくして行き詰っている。どうしたら、よいか」
と逆に質問を受けた。
「では、『生産高あたり炭酸ガス排出量』を目的・目標に設定していないのでしょうか?これをやっていくと、生産性向上に行きつく。また、『生産高あたりのごみの排出量削減』を目的・目標に設定していなのでしょうか。これをやっていくと、歩留まり向上や不良低減に行きつく。これらは環境効率の向上を目指すもので、経営的にはコスト改善にもなります。」
と説明すると、
「そんなことは初めて聞いた。今まで、改善は改善活動、環境は環境と分けていた。」
という返答でした。

そこで、私は次のようなことを説明した。

① 自己適合宣言はA社自身の適合性の自己評価や内部監査に基づきA社の責任で行うものである。
② 外部評価はその道の専門家を交えて、ISO14001への適合性の自己評価、法規制順守の自己評価、内部監査の適切性について確認する。環境ISO審査員・環境カウンセラーの資格を持った個人事業主がサンプリングで行うので、費用的には認証機関の1/5程度となるであろう。
③ 外部評価は、認証機関のようにISO14001への適合性やA社自身が着目した環境負荷だけを見るものではない。A社にとって適切な環境パフォーマンスの継続的改善、すなわち、これからの循環型社会・低炭素社会に適合していくような改善活動を実施しているかも評価します。
④ 特に③項については、毎年、環境活動レポート等で情報公開されるように、そうでなければ、自己宣言しても外部の人は認めてくれません。
⑤ 外部評価はそれが適切に行われているかを評価するもので、その評価結果を文書でお渡しするので、それを支援文書とした自己適合宣言書からアクセスできるようにするとよいでしょう。

その後、「2008年7月に6回目の認証機関の審査(サーベランス)が終了するので、その時点で自己適合宣言に切り変えする。外部評価を頼みたい。」との連絡があった。また、環境パフォーマンスの継続改善については、二酸化炭素排出量等環境負荷の集計方法や環境活動レポートの作成方法等の資料を適宜お渡した。

その1年後、今年5月に外部評価の依頼があり、先月、私と化学分野のISO専門家の二人で評価をさせていただいた。外部評価の内容は下の自己適合宣言外部評価計画書をご覧ください。

 ⇒ 自己適合宣言外部評価計画書

外部評価の結果は「適合証明」と、その付属文書「自己適合宣言外部評価所見」としてA社社長様宛提出しています。

なお外部評価所見は
「これまでの数年間の活動で、法規制の順守や環境リスクの低減に対する管理体制がほぼできたと判断致します。次なるステップとして、二酸化炭素排出量の削減・省資源等、環境パフォーマンスの継続的改善をより積極的に進められることを期待します。」
ということが総合評価で、詳細として
良い点と、ISO14001:2004規格への適合性の自己評価、環境関連法規制等の順守評価の状況、内部監査の適切性、環境パフォーマンスの継続的改善 それぞれについて15項目程度のコメント(意見)がついています。

A社は、この文書を支援文書の一部として自己適合宣言をされました。
なお、自己適合宣言書の書き方等については、私の先にブロク「ISO自己適合宣言の基準」で紹介していますので参照ください。

この事例のように、適切な外部評価を織り込んだ自己適合宣言は、認証審査による閉塞状態からから抜け出しISOを次のステップへ進化させるものでもあります。

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