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2008.07.19

エコアクション21石川県内審査人懇親会より

石川県内のエコアクション21の審査人は、昨年3人増え、9名になった。
昨晩は金沢駅前の居酒屋「味処ま~さん亭 」で、その顔合わせを兼ね懇親会を行いました。
9名のうち1名が都合で欠席し、参加者は8名である。

話題は色々あったが、内輪の話は別にして、受審事業者に関連するところだけ紹介します。

エコアクション21も今年で3年目に入った。一人の審査人が審査する回数は4回が限度であるから、実質的には2009年より審査人が順次交代となっていく。そこで、第一番目は審査人が交代することによるトラブルを避けるため、審査基準におけるグレーゾーンについての意見交換です。

以下は、主として私とK審査人からの報告事項です。

(1)建設業マニュアルについて
 造園業のような小規模の事業者では、環境負荷の自己チェックを無理に、事業所と工事現場に分ける必要なし。但し、取り組みチェックは事業所編、現場工事編両方について、該当する箇所をチェックする。
これは、実際の更新審査事例で本部へコミュケーションシートで報告、受理されています。
(2)取組チェック表の扱いについて
 3年を過ぎると、標準の取組チェック表は余り役立たない。事業所独自のも工夫することが望ましい。これは私の先のブログ「“取組チェックリスト”から卒業すべし!」で内容を紹介しています。
 (このことは審査マニュアルVer1.3 第4章 9-4-4)-③において、むしろその方が良いと推奨されています)
(3)登録範囲について
 2008.7.1付けのエコアクション21認証・登録手続規程の改定で、申込に当たっての必要要件に、「全組織・全活動を対象としてエコアクション21に取り組んでいること、あるいは取り組むことを明確にしていること、または段階的に対象範囲を拡大することを明確にしていることが必要である」という事項が追加になった。
このことは審査マニュアルには、以前から記載されていたことであり、その具体的内容は第一章 6項に記載されているので、このような事業者を登録審査するときは、よく読んでおくとよい。
(4)水の使用の負荷把握
 石川県では地下水が豊富であり、上水・地下水の両方を使用している場合、地位水の採取量把握のためメーターをつけることまでは要求しない。
(5)化学物質保管量・排出量・移動量
 表には保管量を記載する欄があるが、その事業者にとって適切な場合は「年間取扱量」としても良い(中央事務局確認済)。
(6)法規制について
 基本的に罰則条項があるもののみ指摘する。ただし、事業者が自主的に取り上げたものは、それを尊重する。
(7)環境法規制の違反についての記述
 審査マニュアル 第4章 9-4-4)-⑩において、環境活動レポートには「法規制への違反はありません。また、関係当局よりの違反の指摘は、過去3年間ありません」と記載することが述べられている。この場合の違反とは、罰則のある規程の違反状態が継続し、改善されていない状態を指す。従って、3年間という意味は、改善措置後にその改善内容についての指摘が3年間ない、という意味である(審査マニュアル 第4章 9-4-⑤参照)。
即ち、3年以内に法規制への違反があっても、キチンとした改善処置が実施され改善当局からOKをもらっていれば、認証登録又は更新できるということです。
(8)緊急事態の準備及び対応
 オフィス機能が中心で、火災や地震以外の緊急事態が想定されない事業者(かつ燃料や化学物質の保管のない)にあっては、「火災・地震以外の緊急事態は想定されません」ということで問題なく、その対応策の策定及び定期的な訓練は必要ない(審査マニュアル 第4章 9-4-4)-⑥参照)。
(9)小規模事業者の環境目標
 二酸化炭素排出量、廃棄物の量を直接、環境目標にすると、数値が振れてP-D-C-Aが回らないケースが多い。二酸化炭素排出量、廃棄物の量、水の量の実績推移は必ずレポートに記載する必要があるが、環境目標は電気使用量、燃費、リサイクル率のようにPDCAが回る特性値で設定してよい。
(10)現地審査スケジュール
 現場チェックのために、必要なときは標準の設定時間外にやるときもある。例えば、牛乳宅配業の場合は、早朝の出発に立会い確認することもある。

-以下の項目については異論が出て結論が出ませんでした-
(11)製品・サービスにかかわる取組項目
 <私の提案>
 本業として、製品やサービスの企画・設計があるとき、必須項目以外に、本業エコにかかわる取組がないときは要改善又は推奨事項とする。
 <K審査人からの意見>
 全ての企画・設計業務に対して環境配慮を求めることは如何なものでしょうか。
公共発注の企画・設計業務では、実施すべき業務内容は仕様書の中で規定されており、自由度が殆どありません。技術提案型の業務においては、評価・選定に当たって、環境からの視点が確立されておらず、環境に拘ると受注できません。
環境方針や環境活動計画に環境提案が盛り込まれていないことで、一律に「要改善」では厳しすぎると思います。
 <私の意見>
 確かに、公共発注の企画・設計業務では、実施すべき業務内容は仕様書の中で規定されており、自由度が殆どない場合があると思います。
言葉足らずでしたが、私が言いたかったことは「サービス業では、サプライチェーンの中にあって、間接影響(プラスの側面)が大きい。製品・サービスについてのライフサイクル全体への配慮(グリーン購入や製品・サービスの環境負荷低減、生物多様性への対応等)が可能な場合は、取組項目に設定することを推奨する(場合によっては要改善もある)」という意味です。
(本件、山形全国交流会におけるサービス業向け研修での指導事項です)

次にエコアクション21の普及に関する事柄です。

 石川県では、環境政策課が「いしかわ事業者版環境ISO」という登録審査を含めて費用1万円という、EMSの導入版を作ってから、殆どの事業者はそちらに行ってしまった。今年1月から開始して、7月現在200事業所まで登録数がある状況である(2005年度から開始しているエコアクション21の約3倍)。
「エコアクション21」と「いしかわ事業者版環境ISO」のメリット・デメリットを比較した中で、事業者にアピールする点は、「エコアクション21」は将来的に排出量取引(中小企業向けCDM)に対応するという点ではないかと思います。
懇親会では、この点に対して「それは現行の制度や費用的に無理だ」という意見と「可能である」という意見に分かれた。
私は「可能である」という意見です。
その理由は2008年6月26日 東京都が可決した排出量取引の条例には、「大規模事業所の温室効果ガス排出量の削減」と並行して、「中小規模の店舗や事務所を設置する企業等には排出量等の報告を義務付けるとともに、その削減のクレジットを都が買い付け、大規模事業所の販売する(売れ残った分のクレジットは、都が負担)」という条項が入っていると聞いているからです。

このやり方は、東京都だけでなく国あるいは主要都道府県にも波及するように思います。
中小規模の店舗や事務所を設置する企業等の二酸化炭素排出削減量の検証はどうして行うのでしょうか。そこに、エコアクション21の審査制度を適用する可能性があります。

是非、そうしてもらいたいと思います。中央事務局にそのことを期待しています。

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