事業継続マネジメント(BCM)
最近、事業継続マネジメント(BCM、Business Continuity Management)が注目されているようです。
BCMの代表的な規格では英国のBS 25999がある。
昨年11月、ベストプラクティスを紹介したPART1が発行されている。
また、英国ではすでにパイロット企業を対象にしたBS 25999-2の審査が始まっており,今月(11月)には、監査可能な事業継続マネジメントシステムのフレームワークを提供するBS 25999 PART2が発行されるようです。
BSIのホームページをみると英国BSのBCM規格の紹介がされています。
なぜ、BCMが注目されるかというと、日本は地震国であること。
平成19年7月16日の新潟県中越沖地震(M6.8)でも、想定地震をM6.5以下としていた刈羽崎原発の防災・危機管理態勢が問題となり、柏崎市長より業務停止命令が出される事態に発展した。
また、柏崎にあるリケンの工場が被災し、自動車メーカー全てが数日間操業停止に追い込まれてしまいました。現在に社会はサプライチェーンという危ういバランスの上に成り立っており、どこかが止まるといたるところに大きな影響を生じるということでしょうか。
11月15日北陸経営品質フォーラムでは、講師に新潟富士ゼロックス製造株式会社 経営革新推進室小川 義広氏をお招きし、『中越沖地震からの復興活動とその教訓』と題して講演を聴かせていただきまいた。
7月16日午前10時13分に発生した震度6強の「新潟県中越沖地震」は、自動車部品大手のリケンと同じ柏崎市に、本社と工場を構える新潟富士ゼロックス製造株式会社にも大きな被害をもたらしました。
富士ゼロックスグループの国内のプリンター主力生産拠点である同社は、前回の中越地震の教訓を生かし、地震発生からわずか19分後に現地対策本部設置し、実働2日間で生産再開にまでこぎつけたとのこと。
小川室長は、あちらこちらで講演されている様子で豊富なスライドを使って説明いただきましたが、企業秘密なのか資料はいただけませんでした。
新潟富士ゼロックス様が、このように、うまくいったのは、3年前の中越地震の教訓から事業継続マネジメントを取り入れていたとのこと。
うまくいったこと、うまくいかなかったこと、として、次のようなことを上げられました。
うまくいったこと
・安否確認体制 誰がどのように確認するか
・地震に強い通信網 衛星回線のへの切り替え
・飲料水などの防災備品
・落下防止対策
・情報インフラ 毎日バックアップをとり耐火金庫に保管、サーバ立ち上げ手順書
・危機管理手順 防火隊行動要領、ヘルメットの設置、避難訓練
・災害に強い生産体制(TPS練成) 初期対応の早さ
うまくいかなかったこと
・避難時の人員把握方法
・懐中電灯が不足
話の中でのポイントは「災害に強い生産体制」のことです。
富士ゼロックス製造では2000年より外部より講師を招いてTPS(トヨタ生産システム)を進めており、サプライチェーンとして販売店から生産工場、下請け工場に至るまで看板方式を用いた後工程引き取り体制を進めている。
今回の経験で特に効果があったのは
看板方式であるので、工場内在庫が少なかったこと、また、外部の後工程からの部品のお切り込みが完全ストップし、工場内の余分なものが溢れるかえることがなかったこと。
また、管援隊(管理職が率先して現場の改善に取り組む)活動など、TPS錬成を通して、工場全体が改善になれており、この経験が生産の早期立ち上げに大きな貢献をしたということだそうです。
自分は、これまで緊急時にはある程度在庫があるのが良いので、TPSは地震のような緊急事態には弱いのではないかと思っていたのですが、話を聞いてみると全く逆でした。
ここでもTPSの威力を再認識しました。
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