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2007.07.10

学習する組織「自己実現」を支援する実践本

Image2 1年ほど前、このブログで学習する組織の5つの能力
シシテム思考 その1  その2
自己マスタリー(自己実現)
共有ビジョン その1  その2
メンタル・モデルの克服
チーム学習
についての概要を紹介しました。

これらの能力の基本となるのが自己マスタリー(自己実現)で、自己マスタリー、共有ビジョン、メンタル・モデルの克服、チーム学習の4つの統括するコアコンセプトは「システム思考」である。

経営品質フォーラムのセミナーでは、最終目標は「システム思考」であるが、いきなりシステム思考から入っても、うまくいかない「自己マスタリー(自己実現)」入るとよい、アドバイスされた。
しかし、フールドブックを読んでも「自己マスタリー(自己実現)」のコーチ方法として「個人の価値観チェックリスト」の例が載っているだけでなかなか取り付きにくいように感じる。

今年4月になりますが、突然スコラコンサルタント・パートナーの「香本裕世」氏(以下僭越ながら香本さんと呼ばせていただきます)よりメールが来た。
内容は、先日、日本経済新聞から 「人事が変われば、会社は変わる」 というタイトルの単行本を出版したという知らせと、その内容の簡単な紹介でした。

香本さんとは、2005年7月に東京で開催されたGIALアクションラーニングコースで同じグループセッションを受講しました。
2日間の講習中、2セッションご一緒させていただきました。
最初は、それ程有名な方とは知らなかったが、セッションが進むうちにキャリア・デベロプメント・カウンセラー(CDA)の基礎を作られ、人材開発の本も出版されている有名なコンサルタントだと知りびっくりしました。
今回メールをいただいて、さすがキャリアカンセラーの元祖だけあって自分のことを忘れないでフォローしていただいたことに感激しました。こういうのもメンターの一種に入るのでしょうか。

一昨年は、ALセッションから帰ってから早速、氏の著書 「会社を変える人材開発」 を購入し読ませていただいた。
この書では、ご自身が倒産しかけた会社に入社し、上司・部下の間で「気楽にきまじめな話ができる」という風土作りを通して組織改革を成し遂げた事例がものがたり風に書かれていた。

今回の発刊された著書は、大手重機メーカーの開発部門から独立した社員2300名の情報処理系エンジニヤリング会社が舞台で、人事部は旧態の「制度屋」部署としての役割を変化できないままとなっている。人材開発グループ長として外部からスカウトされた女性CDAが実施する新施策は、ベテラン人事部次長に刺激を与え、やがて現場の管理職のマネジメントスタイルにも変化が生まれ、会社全体を指示命令型の停滞した会社から、現場社員が顧客ニーズを的確に捉えて仕事をする"燃える集団"に変えていくというストーリーでした。

香本さんは、ALセッションの折、CDAの養成やハローワークの職員セミナーなど支援の他、山に別荘を持ちスキューバダイビングもプロ級という話を聴いたように覚えていましたが、今回の著書の中にその場面が描写されていて1人でニヤニヤ、面白く読ませていただきました。

書かれている内容は、学習する組織の5つの能力に関する事項が所々にふれられているが、全体を通してみると、これは「自己マスタリー(自己実現)」と「共有ビジョン」の実践本ではないかと感じました。

◆キーパーソンインタビュー(第4章)
◆キャリアマネジメント・ワークショップ(第5章)
 ・個人としての自分の分析
   趣味・特技の整理/人脈マップ/時間管理のスタイル
 ・職業人としての自分の分析
 ・自分小史の作成と自分語り
 ・横との連絡をとりながらの価値提供プランづくり
◆マネジマント勉強会(第5章)
 ・あなたはどんな上司
 ・マネジメントスタイル
 ・ビジョンの共有
 ・仕事の内発的動機付け
 ・マネジメント・ワークショップ
◆メンター(第6章)
が自己マスタリーと共有ビジョンを習得していく過程ですね。

◆社内キャリア・カウンセリング制度(第7章)
◆早期退職優遇制度のソフトランディング(第7章)
はその支援策と思いました。

自己マスタリーと共有ビジョンをどのように乗り越えようとしているが思案されている組織の方に実践本としてお勧めします。

第8章では、今後の課題として、企業ビション、価値規範の共有に向けて組織風土改革を進める。
その方法として、発散型のオフサイトミーティングと、各職場の具体的な問題に対処する収れん型の現場実践型手法としてアクションラーニングが紹介されている。

なお、感想ですがこの本では女性CDAの矢澤久美子がヒロインとして描かれているが、本当の(影の)ヒロインは人事部長の山口達郎ではないかと思いました。
山口達郎自身が、組織風土改革の必要性とその手順をよく理解していて矢澤久美子をバックアップしたからできたのではないでしょうか。
私は中小企業をお客さんとしている関係からか、このようなことに理解のある経営者の方にお目にかかるのは珍しいですね。
このようなことに理解のある経営者はどのようにして生まれてくるのでしょうか。

2番目に、キャリアの自己管理のくだり
プロ野球観戦は『娯楽』です。しかし「プロ野球観戦」をしているときに投手の棚筋の解説ができたり、その場その場の野手の動きや監督の胸のうちを解説者のように語って聞かせてやろうと自己成長を図っているのなら『趣味』になります。
『娯楽』は必要であるにしても、発展性のないその場の息抜きですが、『趣味』は『特技』に変化していく可能性があり、『特技』は『仕事』に発展することが多いものです。
・・・なるほど、これは目から鱗でした。
これは、自己の再確認 → 次の業績実現 → 自分への付加価値 ・・・→ 「早期退職優遇制度のソフトランディング」 というところとつながっていくのですが、それで、その先はどうなるの?、人生の最終目標は何だろうか、という疑問ですね。
自分は、今65歳で幸運にも一種の「早期退職優遇制度のソフトランディング」の適用を受け個人事業主として「70歳まで現役」を目標に仕事をしている。
他の人たちはと見ると、パットゴルフや旅行が多いようですが、これは娯楽で趣味ではないですね。しかし、写真や家庭菜園となると趣味の部類に入るのかも知れない。

最近、日経BPが団塊世代向けに生涯現役「60歳からの充実した人生の送り方」というシリーズを掲載している。
しかし、ここの出てくる人たちは医師、書家、作家、映画監督、聖職者ですね。
この人たちに共通しているのは、人間性について鋭い感性を持ち、それを生涯のテーマとしている。
一般のサラーリーマンの人がソフトランディングしても生涯現役とはなり得ないでしょう。
私は田舎に住んでいるので、上記以外で80歳を過ぎても活き活きとしている人たちを見ている。その人たちは農家の人たちです。
その人たちは、植物の生命について鋭い感性を持ち、それを生涯のテーマとしている。
結局、自分が自己実現で生涯現役を目指すと言ってみても、後者の道を進むしかないのだろうか、と漠然と感じているこのごろです。           



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コメント

当ブログに対して「人事が変われば、会社は変わる」 の筆者(香本裕世氏)よりメールで下記のようなコメントをいただきました。
自分(がまがえる)の認識の間違っていた点を補足していただきありがとうございました。

-----------------<筆者からのコメント>----------------------

的確にロジカルにお読みいただけていて嬉しかったです。

ぼく自身、本の構成を「自己マスタリー」と「共有ビジョン」の実践本として位置づけていたわけではないのですが、結果的には西村さんのおっしゃるようになっていると思われます。
(個人的なテーマとして、ここ7年くらい「個人のキャリア発達(自己マスタリー)」と「組織の変革(システム思考)」をあげており、そためには現場型の人事機能が重要だという考えています)

実は当初、谷川次長がもう少し早い段階で気持ちが変化することによって、会社全体の動きが変わってくるところまでを描こうと考えていました。
ピーター・センゲ流にいえば、「自己マスタリー」から出発して「システム思考」まで、ですね。
しかしながら、書いた者が言うのも変な話ですが、谷川周作が変われなかったのです。
結果として、オフサイトミーティングやアクションラーニングを具体的に運用しているところを表現するところまでいきませんでした。
やはり、30年も自分のやり方を築いてきた人はなかなか変われないものだと、つくづく感じました。

矢澤久美子をヒロインと表現されていましたが、もともとCDAホルダーの矢澤久美子は副主人公で、主人公は谷川次長という位置づけでした。ベテランの制度屋人事マンが現場型の発想になれるかどうかが、会社全体が変化できるカギであるという位置づけで、システム思考への接近です。

人事部員に限らず、成功体験によって固定観念を持った、変化しにくいベテラン社員への応援歌にもしており、ベースとしてはメンタルモデルの問題がありますが、それは直接書いていません。

キャリアカウンセラーであるCDAは黒子というか影の存在なので主人公にはしていないのですが、人材開発に携わっている人事部員の女性CDAは世の中にたくさんいて、彼女たちがよい仕事をしていることを知っているので、何とかスポットを当てようとした結果が矢澤久美子の動きになりました。
しかし、その矢澤久美子にもメンターがおり、人は「制度」によってではなく「人」によって変化する、ということを示そうとしました。

全体としては、やはり西村さんが書かれているように山口取締役がキーパーソンになっていますが、キャリアの観点からいって、この人は全体の支援者、フィクサーとしての位置づけが適当だと思っています。

いずれにしても、物語全体はフィクションですが、場面場面は事実ですし、登場人物も複数のモデルを統合したものなので、絵空事ではないわけです。

書き手として補足しますと、このような観点や位置づけがありましたが、いかがでしょうか?

投稿: がまがえる | 2007.07.13 09:16

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