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2007.06.11

プロセスアプローチ監査

プロセスアプローチ監査というのは、分かったようで分かりにくい。
最近感じたことであるがプロセスアプローチには3つの段階があり、監査の方法もこの段階に合わせて変えていかなければならない。

プロセスアプローチの段階
(1)組織のプロセスの明確化
    ・・・顧客要求事項及び組織の目的に合った横断的な業務の流れを作る
(2)特定したプロセスの計画・運用・分析・処置
    ・・・起こりうる不適合を始めから予測してプロセスの計画を立てることと、
       プロセスのPDCA
(3)プロセスのブレーク・スルー
    ・・・専門家によるプロセス監査

(1)組織のプロセスの明確化

 以前私は金沢の○○研に勤めていて、その会社では英国から講師を招いて主任審査員コースを開催していた。
2001年頃だったと思うが、何かの事情でコースをのぞいてみるとそのときの講師は Mr.David Hoyle という英国でTC176の委員をしていたという監査の専門家。 Mr.David Hoyle より英国で「監査へのプロセスアプローチ」という本を発刊したが、日本でも日本規格協会が翻訳をしてくれているとの話しを聞いた。
2001年に日本規格協会より翻訳版は発刊されたので、早速買って読んでみたが、話の主旨があまりよく理解できないまま日が過ぎた。
2003年になってTC176からの支援パッケージで「マネジメントシステムのためのプロセスアプローチの概念と利用の手引き」が発行された。
 この手引きと、 Mr.David Hoyle の「監査へのプロセスアプローチ」を対比して見ると Mr.David Hoyle は、主として組織のプロセスの明確化について監査する手法を説明していることが、ここではじめて納得できた。

「マネジメントシステムのためのプロセスアプローチの概念と利用の手引き」で強調していることは、次の点である。
プロセスアプローチの目的は、組織により定められた目標の達成において有効性と効率を強化することにある。大きな組織では機能単位の階層単位になっていて、組織は垂直に管理されている。そのため顧客や組織全体の利益よりも、所属する機能組織の利益を優先した行動する。
プロセスアプローチは、異なった機能単位間の障壁を乗り越え、組織の主要な目標に焦点を当てることで、水平的な管理を導入する。

そこで、先ず組織のプロセスの明確化が必要となる。下図は手引きに掲載されている顧客満足を目指す水平的なプロセスのつながりの概念図である。
Process_zu3
Process_zu4

Mr.David Hoyle の「監査へのプロセスアプローチ」では、この部分がうまくできているか、を監査する質問内容が解説されている。
Amazonでこの本の人気を見ると☆が4つついていて、審査員の方には人気があるようです。


(2)特定したプロセスの計画・運用・分析・処置
  2006年10月の日科技連出版社より発刊された「ISO/TS16949 プロセスアプローチ内部監査のノウハウ」(沖本一宏筆)の内容は、主としてこの段階を解説している。

ここでは、顧客志向プロセス(上記図4の中央の⊂⊃の中のプロセス)について内部監査にプロセスアプローチをどのように適用したら良いかが事例を入れて解説されている。
 ここでの基本概念は「品質は工程(プロセス)で作りこまれる」ということであり、プロセスの計画段階でプロセスの運用計画書が作成されていることが前提である。
プロセスの運用計画書には、以下の事項が漏れなく計画されていることが必要である。
①プロセス
②インプット
③アウトプット
④どのようにして=方法・手法・技法・手順
⑤どの程度まで=評価:メトリックス・目標
⑥何を用いて=資源:装置・ツール・情報
⑦だれが、だれと=人的資源:力量・支援プロセス

内部監査員は、この要約を「プロセス記述書」として作成し、この記述書に基いて効果的な運用がなされているかを監査する。
監査チェックシートは使用しない。

ごく一部ですが、その骨子を私がアレンジし「プロセスアプローチ内部監査手順」に掲載してあります(著作権の関係上印刷不可設定になっています)。

ここでの、ポイントは、起こりうる不適合を始めから分析・予測してプロセスの未然防止計画を立てることとで、ISO/TS16949では、次の5つコアツールを使用することが要求されている。
APQP:新製品開発計画
CP :QC工程表
FMEA:潜在的故障モード(失敗モード)影響解析
MSA :測定システム解析
SPC :統計的品質管理
PPAP:量産開始初期管理法

話は変わるが、5月27日の日本品質管理学会研究発表会でコンサルタントの吉川英夫先生がYメソッドと称するプロセスマネジメントの発表があった。
吉川先生のコンサルでは、プロセスの品質計画書を作成し、この中に細分化されたプロセスの業務内容、要求品質、資源、管理手段、力量を明示する。
これに5つの原則(全体化、細分化、検証化、見える化、創造化)と、5つの手法(日常管理・原因・結果・変更・異常)を組み合わせて管理することでることで不良を大幅に低減することができた。
コンサル先は主として自動車関連製造業であるが、難しいQC手法のようなものを使わずに現場主体の活動で改善ができるとのお話でした。
ISO/TS16949で要求している難しいコアツールを使わなくても、プロセスを細分化し起りえる不適合を予測して対応策を要因・手順に織り込んで行けば不良はなくなる。
その要因とは情報・手順・力量・資源(設備)・環境・管理手段で、このことが”顧客志向プロセスのプロセスアプローチ”そのものですね。


(3)プロセスのブレーク・スルー
 2000年9月にグローバルテクノ社で「プロセス監査の全容」という研修を受けた。
講師は、アメリカのコンサル会社の部長(ドクター)だったと思う。

このときのプロセス監査の目的は、プロセスの効率改善。
内容は
①目的を明確にする
②プロセスフローを描いてキーとなるプロセス特定する。
③特定したプロセスのインプット、アウトプット、手順、資源を整理する。
④現地に出向き、プロセスの監査を行い改善点を見つけて提案する。
こんな流れだったと思う。
提案内容は効率(コスト)改善であるが、このコンサル会社は、プロセス監査を商売にしており提案した改善で得た利益の一部をコンサル料金をもらう。
相当な稼ぎになるという話だった。

ISOのプロセスアプローチからは飛躍しすぎており、「本当にこんなうまい話があるのかなあ」と半信半疑の状態だった。
しかし、アメリカではプロセスアプローチは、そこまで拡大されているのは事実のようですね。

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コメント

沖本氏の本以外にも、タートル図を説明している本やブログはいろいろありますが、どうも違和感を感じます。

AIAG公式セミナーを開催しているP社では、タートル分析のためのソフトウェアも商売していますが、
その解説にある内容がいわゆる公式セミナーで言っているものです。
インプットの概念や、支援プロセスの概念が、市販の本や、ブログの記事とはどうも違うように思います。

☆「支援プロセス」=COPを構成する「サブプロセス」をいい、BPRでいうところの支援プロセスとは別物

 COPはいくつかのサブプロセス=支援プロセスで構成され、
個々のサブプロセスは、また幾つかのサブ-サブプロセスで構成される

 タートル図を描くには・・・
  第一階層:COP (マクロなプロセス)
  第二階層:支援プロセス
  第三階層:サブ支援プロセス (ミクロなプロセス)

 の3階層で分析、というやり方を唱えていますね。

タートル分析で行うべき質問としては・・・・

☆インプット
 質問1 顧客のほしいものは何か?
   顧客の製品仕様:
   法規制仕様:
 質問2 何が処理されるか?
 質問3 どのプロセスから?
 質問4 追加情報はあるか?

☆アウトプット
 質問1 顧客が得るものは何か?
   製品仕様:
   法規制仕様:
 質問2 何が生産されるか?
 質問3 どのプロセスへ?
 質問4 追加情報はあるか?

☆何を用いて(What)
 質問1 必要な施設、設備及び材料は何か?
   施設:
   設備:
   材料:
 質問2 適合するために何が行われているか?
   品質マネジメント規格:
   顧客固有要求事項:
   コアツール:
 質問3 継続的に改善するために何が行われているか?
 質問4 どのマネジメントプロセスを適用するか?
 質問5 追加情報はあるか?

☆誰が(Who)
 質問1 誰が資源を適用するか(また、彼らの教育訓練とは何か)?
   プロセスの所有者:
   要員:
   教育訓練
 質問2-5 (同上)

☆どのように(How)
 質問1 製品はどのように実現されるか?
   支援プロセス(英文では、サブプロセス):
   つながり及び相互作用:
   手順、方法及び指示
 質問2-5 (同上)

☆指標(Measure)
 質問1 プロセスの有効性の分析はどのように完遂されるか?
   パフォーマンス到達目標:
   測定及び指標の選定:
   データの使用:
   データに基づいた活動:
 質問2-5 (同上)


出典:
 http://www.terrapeneintl.com/jp/support/documents.html

http://www.terrapeneintl.com/support/documents.html

投稿: 座簿斗 | 2008.02.01 22:08

座簿斗様
TSのタートルの説明ありがとうございます。
「Terrapene: Process Management Suite の品質マネジメントに対するプロセスアプローチ」で勉強してみます。

投稿: がまがえる | 2008.02.02 09:11

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