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2007.05.23

EMSにおける”環境とは、その範囲”

15名程度の建設業のエコアクション21の審査で環境の定義に関する問題に出くわした。
”緊急事態の想定及び対応策”で”重機が岩石がぶつかって油漏れした場合”を想定し、環境への緊急事態と想定されている。
対応内容は、簡潔に記されている。

審査人:「・・・では緊急時対応訓練をしていますか?」

事業者:「こんなことありえませんからね、していません。」

審査人:「どうして、こんなことを緊急時と想定されたのですか?」

事業者:「他社の事例を調べたら、そう書いてあったから。」

審査人:「では、工事中にこれは大変ということはありませんか?」

事業者:「そうですね。怪我の発生ですね。怪我が起きたら大変ですし
  危険予知訓練をしています。
  また、安全管理組織を作り対応訓練をしています。」

審査人:「では、なぜこれを環境上の緊急事態としなかったのですか。」

事業者:「怪我は環境問題ではないですよ。」

では、本当にこれが”組織における環境上の緊急時の想定及び対応訓練ではないのか”という問題です。

そこで、環境の定義を調べてみた。
環境省のEICネット環境用語を見ると

環境基本法(1992)に「環境」の定義規定がない。これは、環境法がまだ発展段階にあるため、制限的に定義しないままでおく(つまり、「その他」を残しておく)ことが必要と判断されたためと考えられている。
「環境の保全」という言葉は、法律では「地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他」を意味するとされている(環境省設置法第3条、環境教育推進法2条)。したがって、「環境」とは、これらの分野で保全の対象とされているもの、すなわち、大気、オゾン層、海洋、野生生物種、水、土壌、静けさ、景観、原生の自然その他を意味すると解される(環境基本法2条参照)。
環境政策、環境行政、環境白書等といわれるときの「環境」はこうした意味で用いられている。

即ち、ハッキリした定義がないということですね。

しかし、環境マネジメントで用いる「環境」の定義はISO14050(JISQ14050)環境マネジメント―用語 で定められている。

1.1 環境
 大気、水、土地、天然資源、植物、動物、人及びそれらの相互関係を含む、組織の活動をとりまくもの。
参考として「ここでいうとりまくものとは、組織内から地球規模のシステムにまで及ぶ。」と記述されています。

大気、水、土地、天然資源、植物、動物、人及びそれらの相互関係とは何か、というと生態系のことではないかと思います。
ですから、先の企業様が怪我は環境問題ではない、といったのは正しいような気がする。
一方、「・・・・・・人を含む、組織の活動をとりまくもの。ここでいうとりまくものとは、組織内から地球規模のシステムにまで及ぶ。」という文面で見れば、怪我は環境影響の結果と捉えることができる。

先の認証機関JACOの判断でも「不二家が掲げる環境宣言の基本理念や食品衛生マニュアルなどのずさんな運用」という理由で人の健康を環境影響と捉え、ISO14001の認証を一時停止している。

では、怪我はどうなんでしょうか?
労働安全衛生マネジメントの著しいリスクであるが、同時に環境マネジメントの問題として捉えていけないということはない。
結論としては、ここはグレーゾーンで労働安全衛生と環境がラップする領域で、どちらかというと労働安全衛生ですね。しかし、労働安全衛生マネジメントシステムを構築していない事業所では環境メネジマントシステムに組みいて管理しても何ら問題ない。

先の企業様には「無駄なことを想定するより、今やっている怪我の問題を”環境上の緊急時の想定及び対応訓練”にした方がよいのでは。その方が実態とあっているのではありませんか」とアドバイスした。

しかし、他の審査人が、この判定はおかしい、といわれると信用問題になる。

共通認識が欲しいですね。

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