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2007.05.09

プロセスアプローチのやさしい説明

4月に入って2社から相次いでISO9001のコンサル依頼を受けた。
いづれも30~50人規模の製造業です。
EA21の審査のピークも過ぎ、またご指名いただくこと自体大変有りがたいことなので引き受けることにしました。
今時ISO9001は珍しいので、取組の目的を伺うと
① 組織が成長し人員が増えたので規模に応じた組織的な管理ができるようにしたい。
② 製造現場の品質・コストの改善をしたい。
という至極まじめな動機である。

導入教育でISOとは何か、8つの原則などを話した後、どれだけ分かっていただけたか簡単なテストをすると、その中で
「プロセスアプローチとはどんなことですか、あなたの職場の例で説明して下さい。」
という質問に対する答えが殆どできていない。

まあ、この概念は難しいこともあるが、私の教え方も悪いのだろう。分かりやすく説明するということは中々難しい。自分の頭の整理を兼ねて分かりやすい例で説明し直してみました。

------------------< ISO9001 原文 >-----------------------------
ISO9001:2000 0.2 プロセスアプローチ
 ・・・・・・・
組織が効果的に機能するためには、数多くの関連し合う活動を明確にし、運営管理する必要がある。インプットをアウトプットに変換することを可能にするために資源を使って運営管理される活動は、プロセスとみなすことができる。
一つのプロセスのアウトプットは、多くに場合、次のプロセスへの直接のインプットとなる。
 組織内において、プロセスを明確にし、その相互関係をは把握し、運営管理することとあわせて、一連のプロセスをシステムとして運用することを”プロセスアプローチ”と呼ぶ。
 ・・・・・・・・
-------------------------------------------------------------------

この文章は抽象的で分かりにくいですね。そのでパンを焼く例で説明します。

プロセスとは、インプットをアウトプットに変化し付加価値を生じさせるもの。
幾つか仕事の集まりが1つのプロセスとなる。これのプロセスが集まって更に大きなプロセスになる。

美味しいパンが食べたい。

本文前半 〔インプットをアウトプットに変換することを可能にするために資源を使って運営管理される活動は、プロセスとみなすことができる。〕
 < 説 明 >
Process00

この図で、インプットはスライスパン、アウトプットは焼きあがったトーストパン
真ん中にあるのはパン焼きプロセスです。
美味しいパンを焼くには、幾つかの条件がある。
一つ目は、材料(スライスパン)がよいということ。材料が悪くては美味しいパンは焼けません。
二つ目は、正しい焼き方が決まっていること。ここではトースターの温度、時間などの条件が設定され決まっていなければなりません。
三つ目は、正しいアウトプット。焼きあがったパンの焦げ具合、香り、歯ざわりといった基準があてそれを満たしていること。
これがプロセスの基本的な条件です。
このパン焼きプロセスを運営管理していく(毎日美味しいパンを焼いていく)には、更に幾つかの条件がある。
ISO9001 0.2 では「資源を使って・・・」といっている、ここで言う資源とは力量を持った人(お母さん)、保守された設備(トースター)、正しく供給されるユティリティ(電力)です。

運営管理するとは、このような条件の元でパンを焼く、先ず材料のスライスパンを確認(検査)する。次に定められた温度・時間を設定し焼く。焼き上がったパンの焦げ具合、香りなどを確認する。抜き取って食べてみる。そこで問題があるとすると設定したプロセスの条件通りに実施されたか確認する。
先ず決められたとおり実施されたか。即ち、①材料が条件どおりだったのか、②焼き方は間違ってなかったか(通常は内部監査で確認する)、③出来上がったものの検査基準は正しかったか、を確認する。これをISO9001では、監視・測定といいます。
そして、問題があれば是正処置をする。
これが、プロセスの運営管理です。
また、毎日焼く場合、プロセスの運営管理がうまく行っているかどうかを確認する指標”プロセスの有効性指標”を設定する。この場合は、焼きあがったパンの不良発生率でしょうね。”パン焼き工程の不良率を下げていく”ことを、”プロセスの有効性を改善する”という。

以上は、パン焼き工程で説明しましたが、皆さん携わっているどのようなプロセス(作業)でも基本は同じです。
以上のようにプロセスの条件を設定し、結果をを確認し問題があれば是正処置をとることを、ISO9001規格では 4.1章c)項~f)項に要求事項として規定しています。

少し専門的になりますが、マイケル・ポーターによると、プロセスを大きく分けて、次の3つに区分しています。
①基幹(コア)プロセス
  -製品開発
  -製造
  -出荷物流
  -販売・マーケッテイング
  -サービス         など
②支援(サポート)プロセス
  -人事・労務管理
  -技術開発
  -調達活動
  -設備管理
  -情報管理         など
③マネジメントプロセス
  -ビジョンと戦略方針作成
  -目標設定
  -資源配分
  -運用レビュー
  -パフォーマンス監視  など
先にプロセスの有効性指標という話をしましたが、中小企業では全てのプロセスで有効性指標を設定するのではなく、基幹プロセスに絞った方がよいと思います。


本文後半 〔一つのプロセスのアウトプットは、多くに場合、次のプロセスへの直接のインプットとなる。 組織内において、プロセスを明確にし、その相互関係をは把握し、運営管理することとあわせて、一連のプロセスをシステムとして運用する〕
 < 説 明 >
Process01

上の図は、会社全体のプロセスの流れを書いたものです。
ここでは一つのプロセスのアウトプットが次のプロセスのインプットとなっている。
例えば営業のアウトプトである受注書・請負契約書が次のプロセス(設計や製造)のインプットとなる。
プロセスの組み合わせ・流れ、プロセスの運営責任者、情報の受け渡し方法(プロセス間のコミュニケーション)が確立されていないとか会社全体がうまく機能しません。
このことを”プロセスの相互関係を把握し、運営管理することとあわせて、一連のプロセスをシステムとして運用する”といっています。
ここでの要点は、製品実現のプロセスは、組織縦割りで管理するのではなく”顧客価値創造を目指して、必要なプロセス間同志の横のコミュニケーションにより、全体を運営管理していく”ということです。
以上の内容は、ISO9001規格では 4.1章a)項,b)項に要求事項として規定しています。

以上前半と後半の活動を合わせて”プロセスアプローチ”といいます。

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コメント

大学で情報セキュリティ(ISMS)を教えていますが、プロセスアプローチに関してなかなか理解を得られませんでした。非常に分かり易い説明で大変参考になりました。
ありがとうございます。

投稿: 鈴木 オサム | 2011.04.15 13:00

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