« 環境負荷と環境目標の関係 | トップページ | プロセスアプローチのやさしい説明 »

2007.05.02

包括的な温暖化ガス排出量算出プログラム

人(組織)が環境に与える負担を「環境負荷」という。

環境省は2002年に「事業者の環境パフォーマンス指針ガイドライン」でこの環境負荷の指標を9つのコア指標に整理し活用するよう紹介している。

Env_core
  (クリックすると拡大します)

その第一の目的とするところは、事業者が環境に配慮した事業活動を促進していく上で、環境負荷の状況、取り組むべき課題、取組成果を包括的に把握・評価し、それらの活動に関する意思決定に資する情報を得ること、紹介されています。
この考え方に基づいてエコアクション21の環境負荷自己チェック表が設計されています。

 ⇒ EA21環境負荷自己チェック表(Excel)

この環境負荷自己チェック表はかなりよくできていますが、幾つかの課題もある。

「事業者の環境パフォーマンス指針ガイドライン」終章で、このコア指標の使っていく上での課題を以下のように述べている。

(1)質的な情報の評価
 一義的には、事業者は資源・エネルギー効率を高めつつそれらの絶対値をことが重要ですが、同時に、如何にして環境負荷の低い資源・エネルギーに転換していくか、という質的な捉えることも重要です。
この点で、物質循環の観点から、事業者内部における物質循環を現す指標が不十分です。
(2)LCA的なアプローチによる指標
 製品・サービスのライフサイクルでの環境負荷の把握・管理は重要ですが、この指標はまだ含まれていません。
(3)環境効率性を現す指標
 この点については様々な企業が開発し算定していますが、まだ共通の環境効率性を現す指標が開発されていません。

手前味噌ですが、このようなこと(特に(1)と(3))を考慮したものとして、2003年頃に自分(西村)が勝手に環境省の環境活動評価プログラムの負荷集計表を拡大し、「温室効果ガス算出プログラム」を作成しました。
このプログラムでは、①再生紙の使用、リサイクル、②交通手段、③埋め立て等によるCH4排出量をCO2換算で組み入れる
といった物質循環を考慮し、中小企業が簡単に計算できる環境効率指標(総合パフォーマンス指標)として活用するすることを狙ったものです。
業務ページのデータベースで公開しています。

 ⇒ 「nsweb式 温室効果ガス算出プログラム(Excel)」

今振り返ってみても方向は強ち間違いではなかったと思います。
しかし、内容的には、学術的に数値が検証されたものではありませんので公式的な数値としては使えません。

先日、省エネルギーセンターのメルマガで、「温室効果ガス総排出量の算定支援システム」の紹介がきたので開いてみた。 

 ⇒ 環境省「温室効果ガス総排出量の算定支援システム」

このプログラムでは、炭酸ガス排出量、メタン排出量等が個々に算出されるが、最終的には炭酸ガス排出量換算で、「温暖化ガス排出量」として集計されグラフ化されている。

Env_co2

環境効率指標(総合パフォーマンス指標)という点からはまだ不十分であるが、先のEA21負荷自己チェック表の温暖化ガス排出量計算よりは、格段レベルが高い。
また、このプログラムは環境省の公式プログラムで、ここで出た数値は環境報告書等で公式に通用するものである。

今年度、環境コミュニケーション大賞を受賞したリコーの環境報告書のページを見ると、CO2,Nox,BOD,化学物質の排出量を数値化し、製造から販売、製品使用、リサイクルに至るまでを集計し総合環境影響としている。

 ⇒ リコーの総合環境影響

しかし、中小企業ではここまでやることは難しい。

環境問題には色々あるが、現時点の最大の問題は「地球温暖化/資源・エネルギーの消費」であるので、その点から前記の温暖化ガス排出量を環境効率指標(総合パフォーマンス指標)として活用してもよいのではないかと思います。

|

« 環境負荷と環境目標の関係 | トップページ | プロセスアプローチのやさしい説明 »

b エコアクション21」カテゴリの記事

d 省エネルギー・新技術」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。