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2007.04.13

環境負荷と環境目標の関係

ISO14001のエコアクション21の審査の際に、「環境負荷の値をそのまま、環境目標として設定する。やってみると、環境パフォーマンスの改善活動の結果が評価できず、PDCAがまわらない。」というケースに良く出会う。
このような場合の私の所見(処方箋)を紹介します。

先ず用語の定義ですが
環境負荷:
 人(組織)が環境に与える負担のこと(環境省の定義)
環境パフォーマンス:
 組織の環境側面についてのその組織のマネジメントの測定可能な結果(ISO14001 3.10)
環境目的:
 組織が達成を目指して自ら設定する、環境方針と整合する全般的な到達点(ISO14001 3.9)〔エコアクション21では、これを中期目標と表現している。〕
環境目標:環境目的から導かれ、その目標を設定するために目的に合わせて設定される詳細な環境パフォーマンスの要求事項で、組織に適用されるもの(ISO14001 3.12)

この定義からも分かるように、環境負荷と環境目標は適用目的が違っています。

エコアクション21では、環境負荷として以下の9つ集計表がある。
インプットとして
① 総エネルギー投入量
② 総物質投入量
③ 水資源投入量
アウトプットとして
④ 温室効果ガス排出量
⑤ 化学物質排出量・移動量
⑥ 総製品生産量又は販売量
⑦ 廃棄物総排出量
⑧ 廃棄物最終処分量
⑨ 総排水量
事業所は、毎年、この中で該当する項目を集計し把握しなければならない。

これは、何のためにやるかというと事業所の全体的な環境パフォーマンスの状況を評価して改善分野を特定するために実施するものです。

環境負荷項目(例えば炭酸ガス排出量)がそのまま、目的(EA21では中期目標)、目標となることもあるが、そのような設定をすると、小さな事業所では殆どの場合、改善活動の評価ができなくなる。

一例を紹介すると、

ある建設土木事業所では、軽油76%、ガソリン17%、灯油4%、電力3%となっていた。

そこで環境目標として、工事完工高当たりの炭酸ガス排出量をパフォーマンス指標に設定し毎年2%削減を目標に活動した。
改善活動計画の主な内容は、省エネ車の利用と省エネ運転である。
データをとったところ、最所の年は15%削減したので喜んでいたところ、次の20%増加してしまった。
調べたとこと、最初の年度に下がったのは、外注に出す工事が多かったこと。次の年度に上がったのは、工種が変わったこと、工事現場が遠くなったためらしい。

これでは、改善のPDCAがまわっている状態とはいえませんね。
そこで軽油・ガソリン使用量を次のように分けて考える。

軽油・ガソリン使用の上位項目
(1)営業車やトラックの移動
  これは受けた仕事の場所によって違うので、事業者自らが管理することは困難ですね。
(2)重機の使用回数
  これも、受けた仕事の内容、自社建機かレンタルか、自社工事か下請けかによって軽油の量が変動して変わって管理できませんね。
(3)移動量当たり、又は重機時間当たりの燃料使用
  これは、省エネ運転や省エネ車の使用により改善できる。

そうすると、この場合の環境目標は「工事完工高当たりの炭酸ガス排出量」ではなくて「重機・車両の燃料効率の改善」で、環境パフォーマンス指標は
営業車・トラックの燃費(L/Km)及び重機の燃料効率(アワーメータ当たり使用量)とするのが適切であると思います。

そのような話をすると、家は運送会社ではないんだから、そんな面倒なことはできないと言われる。
いや、そうではないんですよ、例えば毎月1日に一斉に走行メータやアワーメータを調べる。軽油やガソリンの使用量は経理伝票で調べればよい。
但し、このような調べ方では月々の数値が変動して効果が良く見えないので、12ケ月まで遡った移動平均で毎月の効果を把握するということを推奨しています。

これは建設業に限ったことではなく、どんな業種でも同じです。
「ISO14031(JISQ14031)環境パフォーマンス評価-指針」では
環境パフォーマンス指標には
操業パフォーマンス指標(OPI):
 組織の操業における環境パフォーマンスについての情報を提供する環境パフォーマンス指標
マネジマントパフォーマンス指標(MPI):
 組織の環境パフォーマンスに影響を及ぼす、様々な経営取組みについての情報を提供する環境パフォーマンス指標
があるとしている。

そして、実践の手引 #4 で次のような例を紹介している。

大気の質が不十分と知られる地区にあるサービス業の組織では「車からの排出物の削減」を目的(中期目標)とした。

その場合の選択する環境パフォーマンス指標の例
OPI
・代替燃料の使用による、車の排出物の削減
・燃料消費の総量
・車の燃料効率
・車の整備頻度
・環境対応配慮車の台数
MPI
・公共輸送の促進とそれに用いた金額合計
・公共輸送の使用による便益に対する従業員教育の時間数
・燃料消費削減、車の整備及び燃料効率の向上並びに代替燃料の使用、にたいする取組みの効果

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