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2007.01.31

地球温暖化の経済への影響に対する認識度の違い

気候変動問題が、24日から開催されたダボス会議(世界経済フォーラム)で主要議題として取り上げられているそうです。
これに先立ち、2つの注目すべき記事があったので紹介します。

1つは、世界銀行の元チーフ・エコノミストで、現在は英国政府の温暖化問題の顧問をつとめているニコラス・スターン氏が、経済と温暖化の関係についての包括的なレポート(これは枝廣さんのメールマガジンで知りました)。
エコクラブの「ニコラス・スターン博士の講演要旨」 より抜粋引用して紹介します。

ニコラス・スターン博士の講演要旨

-------------------------------<引用>------------------------------

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

気候変動によってどういう影響がでるか。

すでに産業革命から、地球の温度は0.7度あがっている。我々がいろんな対応をとってももう1度以上はあがるだろう。何もしない場合、今世紀後半は、大気中の二酸化酸素濃度に換算した温暖化ガスは800ppmになるだろう。今は430ppm。
280ppmが19世紀中旬の状態だった。2.5ppmずつ私たちは毎年毎年増やしている。

2、30年の間ずっとこのままいくと100ppm増える。430ppmから550ppmに増えるわけだ。今世紀末には850ppmになる。その場合は80%の確率で世界の平均気温は5度以上あがる。100年の間に5度という変化は、12,000年前の氷河期との今との差になる。その場合、どこに私たちが住めばいいのか。まず水から影響を受けることになるだろう。干ばつ、嵐、エコシステムも大被害を受ける。2、3度の上昇でも大きな影響を受ける。これが温暖化の問題なのだ。

では450ppmで押さえられた場合はどうだろう。2度は上昇する。EUでは地球温暖化を2度で押さえようとしている。550ppmでも3度あがる。2度でも危険がある。
報告書で550ppmが上限と考えている。450ppmには10年のうちに到達してしまう。
なのでこれを目標にはできない。現実的には550ppmを上限にするのがいいと思う。
それでもだめだという人は少なくないだろう。

温暖化によって水不足が起き、デング熱やマラリアが高緯度に拡大し、環境難民が発生し、紛争化するだろう。

ロンドンでもテムズ川の水位があがるだろう。冬の雨が多くなり、地下鉄は被害を受け、嵐も多発する。日本もでも台風が増え、水害が起き、海面上昇で人々は困ることになる。フロリダもカリフォルニアも、豊かな国の大都会も深刻な問題に直面するだろう。

この温暖化の経済リスクを計算してみよう。
このままいくと経済へのコストはどういうことになるか。
マーケットやGDPで見ると、最低でも5%でも。幅広く考えれば14%。さらにこの波及効果を考えると20%以上になると思われる。5-20%の影響があるといえる。

後からやるのはコストがかかる。
いまのままほったらかしにした場合、あと30年もしてしまうともはや気候を安定化できなくなる状態に陥るだろう。もし550ppmを目標にした場合、2020年に温暖化ガスの排出をマイナスに転じることができれば、達成することができるだろう。
2010年にマイナスに転じることができれば450ppmに押さえ込むことができる。その場合でもあと30年ほどに渡って、毎年10億トンのCO2を減らさなくてはならない。

しかし、その経済的なコストは1%にすぎない。
いま1%値上げして、それでクリーンなものにすればいい。それによって温暖化を止めることができる。これは成長を止めることではない。成長もしながら環境を守ることができる。グリーンな環境を維持しながら、成長ができるのだ。新製品、新技術をいれればいい。

いま始めることが必要。そのために
1)長期的なゴールを設定すべきだ。
2)柔軟にやることが必要だ。場所や国などによって、今年は2%、今年はゼロ%という削減目標をいろいろに設定することだ。やりやすい業界はどんどんやるという風に。国ごとに違っても良い。
3)予見性があるものにしなければならない。

   ――――<解決戦略の提唱―省略>――――――

温暖化ガスを450ppmにしないといけない。550ppmでも大変危険。それを最低限で450から550を目標にしないといけない。

それは現実的に受け入れられる世界でもある。「green and grow(環境を守り、成長する)」は可能。長期的な問題であるがいまやらないといけない。ほっておいて550ppmにすると大変なことにある。いますべきだ。でないととてつもないコストもかかる。

-------------------------<引用終わり>-------------------------------


もう1つは、AFPニュース「ダボス会議、気候変動問題に関して異なる注目度」
(これは日経BPの記事で知りました)

-------------------------------<引用>------------------------------
国際監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が毎年実施している企業トップへのアンケート調査を発表。

「経営者らは、今後数年の自社の経営見通しについては強い自信を持っているものの、地球温暖化による気候変動の影響については見解が分かれている」ことが分かった。
調査結果によると、50社計1100人の企業トップの92%が、2007年の自社収益成長率の向上に自信があると答えている。

 気候変動が経済成長の阻害要因となり得ると答えたのは約40%だったが、国によって意識に大きな隔たりがあることが明らかになった。
アジア太平洋地域では58%が「気候変動の脅威を具体的に指摘」したのに対し、米国では18%にとどまった。全体では約59%が、「地球温暖化が自社事業に及ぼす影響を心配していない」と答えた。
-------------------------<引用終わり>-------------------------------

アメリカではゴア元副大統領の「不確実な事実」で話題を呼んでいるが、アメリカ全体では、まだまだ重要さが認識されていないようですね。

欧州が先行し、日本が追随、アメリカは傍観者的立場という構造はまだ変わっていないようです。
炭酸ガスを最も多く出しているアメリカに早く目覚めてもらいたいね。

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