ブランド力とは何か
今月の北陸経営品質フォーラムの例会で、明治学院大学の大塩学長に「大学のブランド力と明治学院大学の経営戦略」というテーマでお話を伺った。
ある調査では、学生が志望校を選ぶ第1番目はブランドだそうです。
リクルートの調査では、大塩学長になって種々の改革を行なった結果、2004年から2006年にかけて明治学院大学の知名度が32%→42%に向上し、よい学生も集まっているとのことです。
しかし、お恥ずかしい話ですが、私自身これまで明治大学と明治学院大学も区別がつかない状態で、この話を聴いて始めて納得した状況です。
そんな状況ですから、学長がブランド力に力を注いでこられた理由もわかります。
ブランド力を向上させるのに大塩学長が最初に行なったことは、他大学との差別化の戦略を作ることです。
明治学院大学は1863年に横浜に開設されたヘボン塾に始まる古い大学であるが、これまで教育理念が明確になっていなかった。
そこで、創設者ヘボンの足跡をたどり、ヘボンの精神"Do for others"を教育理念に定めた。
"Do for others" とは英語聖書の中にも出てくる言葉 Do for others what you want them to do for you(自分がしてもらいたいことを他人にしなさい)という意味で、ユダヤ教や論語の「己の欲せざることを人にするなかれ」よりはもっと強い意志を持った言葉だそうです。
俗に言えば「お節介のすすめ」です。
確かに現代は「人のことに係わりたくない」「見て見ぬ振りをする」というのが一般的な風潮で、このことがギスギスした社会の1つ原因になっていることを考えると重要な視点であると思いました。
これは、自分自身の反省を込めてそう感じました。
次に実施されたことが、この理念を実践するしくみを構築することです。
大学内に
ボランティアセンター ~顔の見える関係作り
国際交流センター ~熱きディスカッション
キャリアセンター ~人々の心に響く旅を
の3つのセンターをつくり、大手企業のCSRとも連携して学生にこれらの活動を通して理念を実感してもらうようにしていることです。
次に 「明治学院大学ブランディングプロジェクト」 を発足し、スクールカラーや学校名のロゴを全面的に刷新し、新しいスクールカラーとロゴを採用した学生証と学生手帳、サッカー部や野球部など体育系5団体のユニフォームを刷新、ブランディンググッズを販売し代金の一部をブラティアに回すそのなどを継続的に行なっている。
最後に大塩学長から大学のブランド力とは何かという自説を紹介された。
・知名度が高くないとブランド力が生まれない。
しかし、知名度が高いからといってブランド力があるとは限らない。
大学は、顧客(学生・親など)にサービスを提供する。
そのサービスは、社会が求める人材を提供してきたか、将来もできるか、ということが問われてきている。
ブランド力で、もう1つ必要なことは
・このサービスの「他大学と差別化された社会貢献の認知度」である。
これは、産業界でも共通ではありませんか・・・。
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