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2006.09.26

ISO14001自己宣言の課題

ISOの専門誌 アイソムズ(グローバルテクノ社発刊)10月号に、自己宣言についての私の投稿を掲載していただきました。

「ISO14001自己宣言の課題」四つの視点というコーナーでコンサルタント、自治体、企業それぞれの立場からから意見を出し合うものです。

著作権の問題がありますので、自分の投稿部分のみを以下に掲載します。

その他詳細を見たい方はアイソムズをご購読下さい。

  ⇒ アイソムズ10月号

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   費用をかけずに、いかに適合性を証明するか

                                西村三郎

何のために環境マネジメントシステムを構築するか
 組織がISO14001規格を用いて環境マネジメントシステムを構築する目的には、対外的な目的と対内的な目的があります。対外的な目的は顧客企業の要請に応える、投資家向けIR、ブランド力の向上などがあり、対内的な目的としては、環境法規制の遵守や汚染の予防を通して環境リスクを最小限に抑える、PDCAのマネジメントサイクルを習得し内部コストを削減しながら効率的に環境配慮型商品・サービスの開発・提供を行なう、社員のモラルの向上、といったことが考えられます。
このような背景の中で、自己宣言を用いるメリットは認証審査登録費用の削減です。

自己宣言の“適合宣言”
 組織が自己宣言を行なうには、ISO/IEC 17050( JISQ17050) 適合性評価-供給者適合宣言-の要求事項に従って有効性の証明を行なう必要があります。
有効性の証明には規格への適合を実質的に裏付ける支援文書が必要で、支援文書には適合性評価結果と評価者の資格、専門能力、認定状態の詳細を含めることが求められています。この要求は当然のことで、組織に関与する評価員がマネジメントや環境の専門家でないと組織が良いマネジメントシステムの構築や維持が困難です。
 そこで、飯田市役所では認証取得後に内部監査に地域内の外部の専門家を加える、山梨県の向山塗料様では自社で募集した環境オンブズマンを内部監査員に加えることで自己宣言に移行されています。
また、私どものコンサル事務所が提案しているのは、IRCA/JRCAなどの環境マネジメントシステムの監査員資格を持った監査員を派遣し、監査員個人の専門能力に基づく評価書と適合証明を発行するというものです。
この方法では認証機関で発生している一般管理費用は発生しません。また、登録費用は不要となるため結果的に外部支払い費用は認証登録の半分以下となります。
自己宣言は、もともと自己責任によるものですから運用上はこのような方法で問題ありません。
 しかし、頭初の環境マネジメントシステム構築の目的に対してこれでよいかを考えると、対内的な目的は達成されますが、対外的な目的に対しては幾つかの問題が残ります。

対外的な課題
 第一に「外部者による適合確認の困難性」です。供給者がISO14001の基づくEMSを構築・維持することを希望している顧客の立場では、自己宣言の場合、自己宣言書及び付属文書を取り寄せ内容を調査しなければ、本当にISO14001に適合していることを確認できません。顧客企業がそんな面倒なことをやるでしょうか。
二番目には「自力による適合維持への信頼性」です。認証審査のように外部からの定期審査が制度化されていないので、自主的な定期評価の実施が段々と疎かになり、適当宣言に変わっているのではないかという懸念が生じます。そこで、よほどしっかりした定期評価の仕組みを作ったことを宣言しないと信用してもらえません。
このようなことから、自己宣言は顧客要請ではなく、内部的な目的からISO14001に取り組んでこられた自治体や一部の大手企業への導入が進んでいて、一般の中小企業へは広まっていません。
 私どもが、自己宣言の支援を企画したのは2003年頃で、その当時、他に中小企業が費用を掛けずにEMSを構築する手立てがありませんでした。その後、エコアクション21やKESなど、中小企業が余り費用をかけずにEMSを構築する制度が整ってきました。以上のような状況から現在では新しくEMSを構築しようとされる小企業の事業所様には自己宣言ではなく、むしろ、これらの中小企業向け認証制度をご利用されることを推奨しています。

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コメント

がまがえるです。

福井県のISO14001の認証取得返上しました。

 福井県は昨年11月末、ISO14001の認証を返上し、独自の環境マネジメントシステムの運用を開始しました。

福井県の広報内容は、下記のURL(福井県ISO14001返上)をクリックしてください。

今後は省エネを中心としたエコオフィス活動に重点化し、毎年、庁舎ごとに電気、水などの削減の目標値を定め、目標達成に向けて積極的に取組み、その結果を外部の専門家を交えた審査委員会で評価し、そのプロセスを含めて公表するなど、システムの強化を図っていく。

これも一種の自己宣言でしょうか。

認証取得を返上した県は兵庫県、京都府についで3件目。

投稿: 福井県ISO14001返上 | 2007.01.08 11:18

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