学習する組織 その8 システム思考
前回までに、自己実現、メンタルモデル、共有ビジョン、チーム学習について紹介してきました。
これらのテーマは、組織の自立性を高め内部の対話を促進して改革が起りやすいようにする上で重要なことです。
今回紹介するシステム思考は、その上に立って戦略的な構想力そのものを高めていくという点で、変革の中核をなす部分です。
一般的に、システムと言うと、制度、体制、ネットワークのようなものをイメージされるかも知れませんが、「システムとは、要素がお互いに結びつきあって全体として認識されるもの」のことで、自然界、社会、企業組織といった種々のものがあります。人間の体もシシテムの典型的な例です。
組織においては、制度、ネットワークとは目に見える表のシステムで、メンタルモデル(人々の意識)のような目に見えない裏のシステムもあります。
このシステムがどう動くかを理解していれば、問題を回避して目的に達することができます。
システム思考は、サイバネテック、カオス理論、システム・ダイナミクスといった学問に基づいており、それらに共通しているのは「すべてのシステムの行動は、特定の共通原理に従っている」と言う基本的な考え方です。
先ずシステム思考を理解するには、幾つかの基本的な言語を理解しなければなりません。システムの原理・パターンはこれらの言葉を通して目に見えるようになり問題を認識できるようになります。
因果ループ図
システムにおける各種変数の関係を関係づける。
拡張循環
一つの変数の影響が他の変数の指数的な成長や衰退を生み出し、それが加速度的に進む。
一般的に好循環、悪循環といっていることです。
並行循環
一つの変数の影響が抵抗する力を生み出し、その力は成長を制限する。この力は問題を調整し、安定的並びに並行をもたらす。
遅れと矢印の向き
しばらく時間がたってから影響の効果が現れるとき、矢印が逆向きの効果を現すことがある。
システム構造
システムの中の主要な要素間から導き出されるしくみ
問題が発生したシステムのシステム構造には、次の5つのシステム原型があります。
逆効果の応急処置
成長の限界
問題の転化
共有地の悲劇
予期せぬ敵対関係
フィールルドブックでは、これらのシステム原型を詳しく解説しています。
組織で優れたシステム思考をする人は、出来事、パターン、システム構造、メンタルモデルの4つのレベルを同時に見ることができる人であるといわれています。
言い換えれば、思い込みではなく事実に基づいて、広い視野で柔軟に物事を見ることができる人ということでしょうか。
組織の中の改善活動が行き詰ったとき、発生した出来事、パターン、メンタルモデルからシステム原型を類推し根本的解決策を考案する、日頃から、そのような思考ができる訓練が大切でしょう。
次回は、これらのシステム原型を簡単に紹介します。
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