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2006.07.31

「環境にやさしい」をどう考えるか

7月29日、30日、2日間に渡って山形メトロポリタンホテルで第1回エコアクション21全国大会が開催され、私も参加しました。参加者はEA21審査人、地域事務機事務局、EA21を運用している企業の方など約400名。

この中で、基調講演で行なわれた国連大学副学長の安井教授の「『環境にやさしい』をどう考え、どう判断するか」という基調講演が、今後環境保全活動を行って行く上で参考になる点が多々あるように感じました。

また、安井先生自身、皆さんからもこの状況を他の人に話してほしいとの話がありましたので、以下に私が聞き取った講演の骨子を掲載します。
なお、この講演内容の大部分は、安井先生のホームページ「市民のための環境学ガイド」講演資料「企業戦略とCSR」の中に入っています。

 ・・・・・・・・・・・ 「環境にやさしい」をどう考えるか ・・・・・・・・・・・・・

環境問題は時とともにどんどん変わっていく。常に新しい情報を取り入れていない一人よがりの活動になってしまう。
1970年代が環境問題の主なテーマは公害問題であったが、これは現在殆ど解決され問題になってない。
2000年ころには、ダイオキシン、環境ホルモン、オゾン層破壊であったが、これも殆ど手が打たれ解決に向かっている。ただしオゾン層破壊については対策効果が出るのに期間がかかるので、まだ20~30年は表面的には結果があらわれないであろう。
現在発生している問題は地球温暖化であり、その次に並行して発生する問題は資源・エネルギーの消費である。
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 図1 日本における環境問題の推移(安井先生のHPより)

地球温暖化は、現在、産業革命前に比べて0.6℃上昇しているが、従来は2030年までに改善により温暖化ガスの発生を25%削減、2100年までには70%削減するという考え方が大勢を占めていた。
しかし、大型コンピュータによるシュミレーション等の結果、2030年までに50%削減しないと、温度上昇が2℃を越え地球規模な海流の変化など気候変動により種の絶滅、人間の生存環境も危機的な状況になるという話しが出てきた。
これは時間的にかなり厳しい状況である。
スウェーデンのように2020年までに石油エネルギーの使用の全廃を打ち出すなど、欧州では、まじめに温室効果ガスを半減するという政策を採っている国があるが、現在温暖化ガスを出している国が全てそのような政策を取るということは難しい。
しかし、一方において1980年に石油の採掘量よりは発見量が少なくなってきており、ピークオイル(生産量と頂点)は2010年頃と予測され、原油価格が値上がりして、この点から政策転換を図らねばならない状況になりつつある。
このような状況になったとき、最大消費国であるアメリカは、エタノール燃料に変えていく可能性が強い。
このときに食料問題が発生してくる。
世界で食料を輸出している国はアメリカだけである。そのアメリカが、農地を穀物からでるエタノール燃料の生産に転換した場合、穀物の輸出が止まり、最悪の場合、貧しい国で餓死者が出ることもありうる。
食糧というのは水資源の問題でもある。穀物1トンを作るのに水が1000トン必要である。
エタノール燃料の開発とは、再生不可能な資源である石油資源から、同じく有限資源である水の消費に付け替えただけである。

このような背景から、2000年以降は、持続可能(サスティナビリティ)な社会を作るという問題が大きなテーマとなってきている。
特に、重要な概念が
 グローバルサスティナビリティ
 ローカルサスティナビリティ
である。
開発途上国では、貧困の撲滅、生活の改善ができなければ、ローカルサスティナビリティもグローバルサスティナビリティも達成されない。
また、日本は食糧(水、元素)もエネルギーも外部に依存しており、グローバルサスティナビリティが実現されない限り存続が危ない。

先のヨハネスブルクサミットWSSDで指摘されていることでもあるが、
先進国が主導し、全ての国で「持続可能でない生産・消費形態を変更する」ことである。

日本においては、エネルギー消費、CO2排出量を削減することである。
この場合、エネルギー・資源の使用を削減して(経済的な)豊かさを落とすのではなく、エネルギーの使用を削減しながら豊かさを向上させていかねばならない。

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 図2 日本のこれからの環境のトレンド(安井先生のHPより)

日本がやらねばならないことは、エネルギー・資源を消費しない技術を開発し世界に貢献していくことであり、もうひとつは経済のサービス化である。
これには次のプレミアムを考慮するとよい。
 ブランドプレミアム
  ・同じような製品でもメーカーが違いにより価値が高い
 超小型プレミアム
  ・超小型にすることで価値が高い
 使いここちプレミアム・手作りプレミアム
  ・使い心地に気を配った手作り製品で価値が高い
 超寿命プレミアム
  ・寿命が長く、修理が利くため価値が高い
 信頼プレミアム・安全プレミアム
  ・信頼できる製品作り・安心できる製品作り
 地域プレミアム
  ・地域特性を活かした製品作り
 エコプレミアム
  ・製品の環境負荷が低いために価値が高い

製品のエコプレミアム化の例としては、太陽電池、プリウス(ハイブリッド車)、電球型蛍光灯などがある。

人類は、地球環境の変化に対応して革命を起して生存をした。

第一の革命は、1万3千年前のヤンガードリアス寒冷期、この期において農耕文明による革命を行い生存した。

第二の革命は、1700年頃の小氷期、この期に人類はエネルギー転換と産業革命を行なった。

今は、第三の革命に向かう時期である。
第三の革命に向かうための人類の欲求は、
「社会貢献を行うことによる満足感」
「他人に感謝されることの満足感」
「他人に自慢できることを持つ満足感」
「未知の他人と交流する満足感」

そして、「次の世代に残す知識・情報を作り出す満足感」

まだ有効活用されていない人間のこれらの本能を刺激することにより、恐らく「ほめられることによる意識の変革」から新しい価値観が形成され、第三の革命に繋がることができる。

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