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2006.07.01

安全に対する考え方の違い

先日、ある病院の医療安全のやり方を見せてもらいました。
インシデント報告制度があり熱心に活動されたいました。

しかし、何かがかけているように感じる、それはリスクアセスメントと言う考え方です。

4月のブログ「リスクアセスメントが事業者の努力義務に」でも紹介しましたが、日本と英国を比較すると、災害発生件数は日本の方が少ないが、死亡事故は英国の方が断然少ない。

2003年度の統計データですが、10万人当りの死亡事故(度数率)は

 英国 0.8人
 日本 2.6人 となっていて約3培である。

といっても、日本の中でも職種により差があり、とくに多いのは林業29.7人、漁業18.2人である。

では、何が違いかと言うと、英国では論理的・合理的に物事を進める。
一方、日本は人の和・意識で解決しようとするところに違いがある。

日本流は 「災害は努力すれば2度と起こらないようにできる」
英国流は 「災害は努力しても、技術レベルに応じて必ず起こる」

日本流は 「災害の主原因は人である。技術対策よりも人の対策を優先」
英国流は 「災害防止は、技術的な問題である。人の対策よりも技術対策を優先」

日本流は 「ヒヤリヒャット重視」
英国流は 「リスクアセスメント重視」

日本流は 「見つけた危険をなくす技術(危険検出型技術)」
英国流は 「論理的に安全を立証する技術(安全確認型技術)」

日本流は 「管理体制を作り、人の教育訓練をし、規制を強化すれば安全を確保できる」
英国流は 「人は必ず間違いを犯すものであるから、技術力の向上がなければ安全を確保できない」

日本流は 「安全にコストを認めにくい。目に見える具体的危険に対して最低限のコストで対応し、起こらないはずの災害対策に、技術的深耕をしなかった」
英国流は 「安全にはコストをかける。危険源を洗い出し、そのリスクを評価し、評価に応じてコストをかけ、起こるはずの災害の低減化努力をし、様々な技術、道具が生まれた」

これは、労働安全でも医療安全でも同じなんですね。

イギリスにおける安全衛生対策は、1972年のローベンス報告及びこの報告に基づいて1974年に制定、施行されたイギリスの「労働安全衛生法」によって、それまでの細部にわたる法令を駆使して監督指導を強化する法規準拠型から、各事業者の自己責任に基づいた自発的な対応を重視する自主対応型へと変換を遂げたとされている。

より具体的には、法律や規則制定に際しては、できる限り目標や一般原則にとどめて、詳細な安全衛生基準の内容は、実施準則や政府の安全衛生委員会(HSC)の指揮監督下にある安全衛生庁の発行するガイダンスに委ねるという仕組みになっている。
その結果、技術革新や危険有害要因の変化に迅速かつ柔軟に対応することができるようになり、事業者等がより主体性をもって、自主的に安全衛生に取り組むことができるようになったとされている。このようなイギリスの対応は、ILOやEUを中心とするヨーロッパ諸国での安全衛生対策にも大きな影響を与えた。

イギリスにおける安全衛生対策の改革(1972年のローベンス報告と1974年のイギリス労働安全衛生法の制定・施行からリスクマネジメントの実施の状況は次の通りです。

1.ローベンス報告
 1970-1972年の調査に基づきイギリスでは1972年にローベンス報告が出され、これに基づき1974年に、イギリスの労働安全衛生法が制定・施行され、HSC(保健安全委員会)、HSE(安全衛生庁)の発足及びその活動が開始された。

2.イギリス労働安全衛生法の概要
①「事業者が労働者に対して負う一般的な義務」の内容として、「就業中の安全、衛生、福祉」、「安全であり健康への危険のない機械設備」、「物品、物質の使用、操作、貯蔵ならびに輸送に関連した安全と危険の除去」等が規定されている。但し、そのいずれも「合理的に実行可能な限りにおいて」との限定が付されているが。
なお、この「合理的に実行可能な限りにおいて」との限定に関しては、イギリスの労働安全衛生法体系との関連において、次のようなものと理解する必要がある。

Ⅰイギリスの労働安全衛生法体系においても、合理的に実行可能な限り、法律の規定は当然であるが、規則も当然遵守されなければならない。この場合において、これらの法令違反に関する訴訟が提起されたときは、被告(事業者)は、これらの法令で規定されている義務又は要件を満たすために実際に行われたこと以外は実行不可能であったか、又はこれらの法令で規定されている措置が合理的に実行不可能であり、若しくは実際に行われていたこと以上の最良の手段がなかったことを証明する義務がある(同法第40条)。

Ⅱ指針、承認実施準則等については、事業者(使用者)は、遵守することは強制されないが、もし、これらの指針、承認実施準則が遵守されていない状況の下で災害が発生した場合には、事業者(使用者)は、他の方法によってこれらの指針、承認実施準則と同等以上の防止対策を講じていたことを証明しない限り、責任を問われることになる。
特に、承認実施準則については、イギリス労働安全衛生法第17条においては、刑事訴訟における承認実施準則の適用に関して、事業者(使用者)が他の方法で同等以上の措置を講じていたことを証明しない限り、この実施準則が刑罰法規としての効力を有する旨の規定が置かれている。

Ⅲイギリス労働安全衛生法の諸規定を具体化するため、また、後述するEUの労働安全衛生枠組み指令におけるリスクアセスメントの規定をイギリス法制に導入するため、同法に基づく規則として、「事業場における労働安全衛生マネジメント規則」並びに健康に有害な物質管理規則等及び関連する承認実施準則等により、事業者に対してリスクアセスメント、リスクコントロール等の実施が義務付けられ、事業場における実行性の担保がなされている。

②1996年5月に、労働安全衛生に関するイギリス規格として、BS8800;労働安全衛生マネジメントシステム規格が発行された。この規格では、「4.2.2リスクアセスメント」において、「企業や事業場は、危険有害要因の特定を含むリスクアセスメントを実施することが望ましい。」とされ、そのための「付属書D リスクアセスメント」が添付された。

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