EA21における環境目標の設定の問題点
EA21審査員になって、今日始めて現地審査を実施させてもらいました。
その感想です。
審査させていたのは石川県におけるEA21パイロット事業第1号の、造園業の方の中間審査でした。
社長さんは環境に造詣の深く意欲的な方でしたが、方針と目標のつながりがしっくり行っていないと感じた。
大手各社の環境報告書を見ると、環境目標は一般的に環境省発行の「 事業者の環境パフォーマンス評価のガイドライン 」に従って策定されている。
ところが、エコアクション21では、活動に伴う環境負荷を集計して、ここから目標を設定することになっている。
大手企業では、活動に伴う環境負荷以外に、製品・サービスに伴う環境負荷も集計し環境目標に設定しているが、エコアクション21では、このプログラムがないので、活動の中の環境負荷だけにこだわって、悩んでいるように見えた。
例えば、シャープさんでは、製造・販売活動によって発生する環境負荷よりも、太陽電池パネルを製造し販売することによる環境負荷の低減の方が圧倒的に大きい。
従って「太陽電池の製造販売」が環境目標としてとりあげられる。
ところが、EA21造園業の場合、事務所における紙・ゴミ・電気と造園工事のゴミの低減を目標してとらえられているが、ヒートアイランド防止などの造園工法による環境負荷の低減が目標として設定されていない。
(実際、この点が環境方針には入っていたが、環境目標には展開されていなかった。)
なぜなら、殆どの大企業ではLCAを活用して製品のライフサイクルを負荷把握対象としてライフサイクル環境負荷を環境負荷として把握しているか、EA21の環境負荷の集計プログラムは活動だけで、製品・サービスに伴う環境負荷の改善が数値として現れない。そのため、数値目標が設定できないのでやる必要がないかと誤解してしまうからである。
また、事務所の紙・ごみ・電気の改善は何年もやっていると改善方策が行き詰まりをきたし、苦労しているように見受けられた。
ここの社長様には、事務所の紙・ゴミ・電気中心の活動から、本業の中の環境配慮へシフトするようサゼッションしたが、本当のところ、小企業では、製品・サービスの環境負荷を数値化するだけの資源がない。
このような支援環境が整うまで、当面は定性的な環境目標を設定するしかないかもしれませんね。
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