「監視及び測定」の意味
監視及び測定はISO9001 7.6,8.2項、ISO14001 4.5.1項で要求事項として出てきて、何気なく使用しているが、よく考えると状況により微妙に意味が違っているようだ。
ところが、ISO9000/14000規格には監視、測定に対する用語の定義がなされていないので解りにくい。
BSI Transition to 9001:2000 によると
監視(monitoring):観察し、監督し、常に調査対象とすること
測定(measurement):対象の大きさや数量を特定すること。これには定量的な場合と定性的な場合がある。
となっている。
また、ISO10012 測定器のための品質保証要求事項では
測定:量の値を決めるために一連の作業
と定義されているが、監視についた記載されていない。
この監視、測定がどのように使われているのだろうか。
■ 製品・パフォーマンス・プロセスの監視及び測定
ISO9001 8.2.4では製品については、「個別製品の計画に従って適切な段階で製品の特性を監視し、測定すること。」とある。
ここで言う監視とは観察するという意味で、観察の一部として測定という作業が入ると解釈すべきであろう。
ISO9001 8.2.3 プロセスの監視及び測定では、「QMSのプロセスを適切な方法で監視し、適用可能な場合は、測定すること」となっている。
ここでは、全てのプロセスを観察し、監督しなさい。その中でも、適用可能なプロセスは指標を定めて数量を特定し管理しなさい、と解釈すべきである。
適用可能な場合とは、一般的には製品実現のコアプロセス(キープロセス)を指している。
ISO14001 4.5.1では「著しい環境影響を与える可能性のある運用の鍵となる特性を定常的に監視及び測定する」「パフォーマンス、適用可能な運用管理、並びに組織の環境目的及び目標との適合を監視するための情報の文書化」とある。
ここでも著しい環境影響を与える可能性のある運用管理のプロセスを監視(観察及び監督)するということが目的となり、その前提として測定が行なわれる、と理解される。
■ 監視機器及び測定機器
一方、ISO9001 7.6、ISO14001 4.5.1では、監視機器と測定機器が区分されている。
測定機器とは数量を計る機器であり校正の対象になる。一方、監視機器は一般的に、よい・悪い の判断に使用される機器で誤動作を起さないかなどの妥当性確認が必要になる。
以上総括すると、下図のようになる。
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