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2005.09.16

ハリケーン「カトリーナ」と地球温暖化

今朝の朝日新聞ニュースでアメリカの研究機関が「ここ30年間でハリケーンや台風の威力が2倍になっており、地球温暖化による海面の温度上昇がその原因である」という調査結果を発表した、と伝えていた。
先日の枝廣さんのメルマがでは「現在、アメリカは温暖化対策に後ろ向きの印象を与えているが、これはブッシュ政権だけで、状況次第で正反対に振れる可能性が示唆されている。」と言う主旨がかかれていたが、ここまで証拠が出てくると大きな政策転換があるのでしょうか?

この件に関連して去る6月に開催された「環境を考える経済人の会21」で講演された国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問 末吉竹二郎氏 のお話」の一部を以下に引用させていただきます。

――――――――― (引用開始) ―――――――――――

【「2050年に1990年比-80%」目標を発表したシュワルツェネッガー知事】

私は先週ロサンゼルスに行っていたのですが、現地の新聞で大きく取り上げられていたのが、国連の「Earth Day」というものでした。
それの関連で、サンフランシスコで会議がありました。

その席でカリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事が非常に大胆なプランを発表しました。アメリカは連邦政府レベルでは京都議定書を離脱していますが、さまざまなレベルで京都議定書に近い動きが出ています。それでカリフォルニア州知事は次のようなプランを発表しました。

「2010年までに2000年のレベルに持っていく。」京都議定書は1990年のレベルから、2008年から2012年の間に日本でマイナス6%です。カリフォルニア州は2010年に2000年のレベルに持っていきます。「2020年には1990年のレベルに、そして、2050年には1990年のマイナス80%にする」と言っています。

さすがに個別具体的な方策は言わなかったのですが、知事はサインをしてそれを世間に発表しました。その中で、彼は「カリフォルニア州は、地球温暖化への戦いの世界のリーダーになります」と宣言しています。あのアメリカですら、一つの例ですが、そのような動きが現実に出始めているということです。

アメリカのことで、私が一つだけ感じていることがあります。それは連邦政府レベルで非常にネガティブだから、アメリカ全部がまったくネガティブであると思っていると大間違いだということです。

私の一番懸念するところは、アメリカの産業界が温暖化で世界をリードできる準備が整った途端、世界にとんでもないことを言い始めるのではないかと思います。
要するに、アメリカ企業がビジネスチャンスだと思ったらものすごいことを言い始めるということです。ですから、アメリカはだめなのだと思って日本がノロノロしていると、とんでもないことが将来起きる。これは、過去フロンガスで現実に起きた話です。
(以下省略)

【CO2を大量排出している企業は第二のタバコ産業になる可能性大】

ここで訴訟問題に入ります。実は今、国際条約や、Global / Regional、あるいはその辺りの環境問題に関しての条約や協定が約500あるそうです。環境に限らず一つの国が他の国に害を及ぼすということは、国際法上違反事項である。さらに国内的には、日本でも公害防止法などいろいろとありますが、国内法でも公害を起こすと賠償責任があるという話です。

すでにある法律を本当に執行すれば、温暖化問題も防げるはずだというのがベーシックな認識ですが、それでは物事が動いていかないということで、今、個別具体的に訴訟問題が起き始めているということです。よく「訴訟社会アメリカ」と言われていますが、裁判の力で物事を変えていこうということです。

実は、アメリカの司法関係者、とくに検察側では、このようなことを言い始めています。「立法、行政、ビジネスが動かないために、空白ができたときにそれを誰が埋めるのか」という話です。「その空白を埋めるのは自分たちだ」ということです。社会に空白ができたら、検察が動くのだということです。

これは聞き様によっては非常に怖い話ですが、実はそのような動きが出始めています。そして、シュワルツェネッガー知事も言っていますが、今アクションを起こさなければだめだということです。これは非常にいろいろなところで言われる言葉です。

結論から言うと、かなりの確度でCO2大量排出をしている企業、業界、国も含めて第二のタバコ産業、第二の薬品産業、第二のアスベスト産業になる可能性は十分あるのではないかと思っています。原因と結果が国際的ですので、ご存知のようにCO2はいったん大気中に出ると、1日から1週間で地球を一周するそうなので、相手はどこでもいいのです。

すでにいくつか起きているので、簡単にご紹介すると、例えばアメリカで2002年8月に原告の人たち(City of Boulder, Colorado, City of Oakland, Friends of the Earth,Greenpease他)が被告(Exim Bank of the US, Ocerseas Private Investment Corp.)に対して、過去10年間で約320億ドルを油田開発やパイプラインなどに融資している。それは油田開発等によってCO2が大量に出ている。そのような事業にお金を出すのは法律違反ではないか。アメリカの環境保護法に反するのではないかという訴えを出しています。

アメリカの法律によると、環境評価をした上でこのようなプロジェクトにお金を付けるべきだとなっているのですが、環境評価ができていないのではないか。それが地球温暖化にどのような負荷をもたらしているのか。そのような情報を少なくとも出すべきであるというような訴えをしているのです。

すでにオーストラリアでは、新しい石炭鉱山を開発する時のライセンスがあるのですが、その時に、その石炭鉱山が将来的に温室効果ガスの排出にどのような具合で影響を及ぼしていくのか。そのようなことも重要なファクターとして入れて開発許可を出すべきであるという判決も出ています。

ドイツでは、国内法では環境情報法というものがあります。環境に関する情報は公開すべきだという法律です。それに基づいて、公的資金(税金)を使った輸出金融が助けたプロジェクトが、実際にCO2にどのような影響を与えているのかという情報を出せと言ったところが、情報が出てこないということで、輸出金融公社を担当している四つのドイツ中央政府の役所、すなわち財務省、経済労働省などを訴えて、情報を出せということを言っています。

【CO2大量排出者である電力会社5社を訴えたアメリカの8州とニューヨーク市】

二番目に、Civil Law(民法)のレベルでは、昨年7月下旬に、アメリカの八つの州とニューヨーク市がアメリカの電力会社トップ5社を連邦裁判所に訴えました。

この八つの州の人たちが何を言っているのかということですが、これはニューヨーク州の検事総長を始め、いろいろな方が言っていますが、彼らの言い分は「CO2が地球温暖化をもたらして、その結果、気候変動が起きているということは、すでに科学的知見になっている。すなわち、原因と結果が非常に明確になってきている。

それを前提に考えると、州の当局、市の当局、州政府、市の政府は、自分たちの地域の州内の住民の経済、あるいは自然環境、さらに人間の健康問題、さらに言えば自分の州内の子供達の将来、これを守る義務がある。CO2は、いまや経済、環境、健康、さらに子供の将来に非常に大きな脅威になっている。そうすると、その人たちの生命、財産を守る義務のある州の当局者が、そのことで行動を取るのはまったく当たり前の話だ」ということです。

彼らはこぞってアメリカの電力会社トップ5社を相手取って連邦裁判所に訴えているのですが、これは損害賠償の訴えではなく、五つのCO2の大量排出者(電力会社)に「CO2を減らせ」という裁判所命令を出してほしいという訴訟を起こしているのです。ともかく、連邦裁判所が五つの電力会社に、「もっとCO2を減らせ。あなた方が排出するCO2が人々の生命、財産を脅かしている。そのことについて対応を取れ」と命令するということです。

彼らはこれをした時に非常に高々と宣言をしていました。これは初めてのケースです。とくに行政レベルが私企業をこういったかたちで訴えた初めてのケースで、Grand Breakingという言葉を使っています。地球温暖化への戦いの中で新たにRegal Frontができたのだというようなことも言っているので、これは今後さまざまなことで尾を引いていくのではないかと思っています。
―――――――――― (引用終わり) ―――――――――――

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コメント

大型ハリケーンが二個も上陸したアメリカ。
京都議定書に対してもいつも消極的なので
これでも世界一を言いたがる国だろうかと思っていましたが、
アメリカ全体がそうというわけではないんですね。
それだけでも少し安心です。

投稿: 桜子 | 2005.10.07 14:33

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受信: 2005.09.23 17:52

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