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2005.08.15

地球温暖化対策のゆくえ

チームマイナス6の関連ページを見ていると、温暖化についてのIPCC等の機関の最近の研究結果が「ストップ・ザ・温暖化2005」というオンラインパンフレットで紹介されている。
 
sres2100年までの上昇温度は、右図のシナリオによって違うが、上昇温度が最も少ないシナリオはB1「高効率技術の普及と環境負荷の低減による持続発展型社会」で1.4℃~2.6℃、最も上昇温度が多いシナリオはA1FI「グローバル化・化石エネルギー源重視の高成長型社会」で3.2℃~5.8℃となっている。
各シナリオの内容は、平成13年の環境省の報道発表 4つの社会・経済シナリオについて「温室効果ガス排出量削減シナリオ策定調査報告書」に詳しく紹介されている。
 
ここからはオンラインパンフレットの内容ですが、その結果、21世紀に予想される現象として
確率90~99%で発生する現象
・最高気温の上昇、暑い日や熱波の増加
・最低気温の上昇、寒い日、霜日、寒波の減少
・集中豪雨の増大
確率66~99%で発生する現象
・エルニーニョに関連した干ばつや洪水の強大化
・夏季の乾燥と関連する干ばつの増加(大陸内部)
・熱帯低気圧の最大風速、平均・最大降雨強度の増大(一部地域)
が報告されている。

これらが、日本国内に与える影響として
・日本海側の米は大きな被害を受ける。特に北陸の米は気象、害虫、水と色々な面で温暖化に弱い。
・熱帯及び亜熱帯地域における穀物生産量は減少し食料の需要に供給がおいつかず食糧価格が上昇する(特にシナリオAの場合)。
・マラリヤやデング熱など病気を媒介する動物の生息域の拡大を通じてウイルス感染の流行のリスクが増大する
・日本のブナ林は90%減少する(シナリオA、2090年に3.6℃上昇したと仮定した場合)。
・また、気温の上昇が急速に進んだ場合は、海流の流れが変化しどんな影響が起るか予測することはできません。

このレポートは、次からダウンロード可能です。
  ⇒ 環のくらし資料館「ストップ・ザ・温暖化2005」

以上の内容を総合して考えると、シナリオAでは地球環境は大変なことになる。シナリオB2では、経済が停滞する上に温暖化も進む。
話は変わるが、今年5月に開催された「気候変動の政府専門家セミナー」で、開催国であるドイツのトリッティン大臣が、「産業革命以後の 世界平均気温上昇幅を2℃以下に抑制 しなければならず、その達成のためには、今世紀半ばまでに温室効果ガス排出量を半減させる必要がある。 欧州連合加盟国首脳は、先進国が2020年までに15~30%削減 することに合意している」と述べている。
このようなことを考慮すると、シナリオB1を目指すのが最もよい。

それでは、シナリオB1はどん内容を想定しているか、以下に先の環境省報道発表を引用する。
―シナリオB1―
「環境や社会への高い関心に基づいて、地球公共財としての環境の保全と経済の発展を地球規模で両立し、バランスのとれた経済発展を図るシナリオである。資源利用の効率化(脱物質化)、社会制度、環境保護に集中的に投資が起る。資源利用の効率化は、資源の供給側面を重視する高成長社会シナリオと違い、資源の需要面に集中して生ずる。また、廃棄物の減量化やリサイクルが進み、資源利用の効率化やリサイクルの活性化によって環境産業の市場が急速に拡大し、これが経済成長に大きく貢献する。経済成長率は高成長シナリオより低くなるが、2050年の1人あたり平均所得は13,000ドル(世界全体)に達する。発展途上国では、先進国からの技術移転も進み、クリーン技術が普及し、これに伴い教育やキャパシティビルディング(組織的な能力の向上)も大きく進展する。このため、いわゆるショートカットと呼ばれる発展パターンに乗って、途上国の公害対策が著しく進展する。公共交通システムが整備され、都市構造はコンパクト化さし、低投入・低付加型農業が普及する。自然保護を推進することにより農産物価格は相対的に高いが、肉食への食生活のシフトは抑えられる。」

このシナリオに移行するには、現在の社会システムや考え方を大きく変えねばならない。
現在アメリカのブッシュ政権は、A1シナリオを政策としているが、京都議定書を批准した国々はB1シナリオに向けて少しづつ動き出しているようだ。
今年発行された、環境省環くらし資料館には、事業所のエグゼクティブ向けに今後の進むべき方向を書いたパンフレットも発行されているが、それを読むとシナリオB1に沿っているように感じる。

  ⇒ 環のくらし資料館「エグゼクティブのための『地球温暖化読本』」
 
このパンフレットは、切手代だけ出せば送ってくれると書かれているので、事業主の方、担当者の方は是非取り寄せて一読されてはいかがでしょうか。
 

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