クリティカル・シンキング
JQAC(日本品質協議会)のCPDを用意する意味もあって、リチャード・ポール博士、リンダ・ポール博士筆(村田美子、巽由佳子訳)「クリティカル・シンキング」を読んだ。
英語のクリティカルとは、理論に基づき、他人の立場を尊重し、自分の内省、評価まで含む広い言葉で、日本語には「クリティカル」に該当する言葉がないので、この本では「クリティカル・シンキング」とそのまま訳されている。
昔、自分が所属した会社(大企業)では、上司(部長)はよく怒鳴った。 それが日本流の正当な管理のやり方だと思って、怒鳴り方を真似たこともあった。 そのときに、この本を読んでいたらとんでもない間違いだと気づき、そんな行動をとらなかったと思う。 今思うと顔から火が出そうだ。
何はともあれ、仕事で、審査員、内部監査員やアセッサーをする人には、是非読んでほしい本ですね。
以下に、この本の要約を紹介します。
公平な視点で考えられるようになること
人は、自分の信じたいことや、気が楽になることだけを信じ、自分の有利な立場や、気が楽になることを無意識的に選択してしまう。
クリティカル・シンキングを通して、公平な視点で考えられるようになることが大切だ。
思考のメカニズム
人が判断は憶測に基づいている。憶測は想定に基づいている。 クリティカルシンキングにおいて重要なスキルは、実際の状況がどうであるかということと、人間がそこから勝手に憶測しているかを区別できるかどうかです。
思考を評価するためには、その思考のもつ強みや欠点となる特質を浮き立たせる知的基準が必要となる。
思考の基準
クリティカルシンキングの基本は、理由づけがキチンとできているかどうかを判断することです。正しく判断できるようになるためには、常に自分の思考を切り離し基準に照らし合わせて考えてみることが必要になる。
基準には、明瞭さ、的確さ、正確さ、妥当性、深さ、幅、論理性、重要性、公平さがありますが、これらの基準を理由づけの要素と結び付けて考える必要がある。
理由づけは次の8つの要素からなり、それぞれに「欠陥」を持つ可能性がある。
1.理由づけにはすべて目的がある。
2.理由づけはすべて何かを理解し、疑問を解き、問題を解決するためのものである。
3.理由づけはすべて想定に基づいて行われる。
4.理由づけは何らかの視点から行われる。
5.理由づけはすべて何らかのデータや情報、証拠に基づいて行われる。
6.理由づけはすべて概念や考え方を通して形づくられ、表現される。
7.理由づけには何らかの憶測や解釈が伴い、それによって結論を引き出し意味を与えている。
8.理由づけには言外の含みや結果が伴う。
決断
自分の意思決定能力を高めて行くには、次の2つの指針沿って決断する。
1.意思決定が生活の中で果たす役割や性質をクリテイカルに考えること。
2.その性質や役割に照らして、決断の正当性を強めるストラテジー(戦略)を体系的に取り入れること。
問題解決
問題解決力は間単につけられるものではありません。問題は複雑で答えが決まっていません。
問題解決には情報が必要です。 もし、歴史的なものであれば歴史的な情報が、生物学的なものであれば生物学的な情報が必要です。概念的な問題であれば、少なくとも一つの概念を分析しなければなりませんし、倫理的な問題ならば少なくとも一つは適切な倫理的原理を見つけなければなりません。
問題をうまく解決するためには、問題の種類に沿ったメンタルマップを作ることから始めます。
非理性的な傾向を克服する
人間の知性はほかの人に対して支配的になったり、服従的になったりして非理性的になる傾向があります。しかし、自己認識によって理性的になることもできるのです。
知的傲慢さの傾向に立ち向かうため、知的謙虚さを養いましょう。実際、何の根拠もない思い込みを無批判に受け入れないように、絶えず自分の「知っていること」に疑問を投げかけましょう。
ほかの人の視点にたてるよう努力し、自分の視点にとらわれることを防ぎましょう。
支配的エゴと服従的エゴを認識し、これらのエゴに陥らないように気をつけましょう。
戦略的思考
質の高い思考ができるよう、自らが責任を持ち、絶えず高めていこうとするには、私達は知性がどのように働くかをよく理解しなければなりません。
概念、原則、原理を学ぶだけでは十分ではありません。それらを使って、戦略を見につけ、思考を改善できるほどに内面化しなければならない。
また、日常の生活の中での振舞いや思考パターンを省えりみるとき、自分の行為を改善するためにどのように重要な概念を取り込み、使っていくのか。自分の人生をより豊かなものにするために、抽象的な理解から具体的な理解にどのように移行していくのか。こころがけて行く必要がある。
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