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2005.01.17

品質経営と環境経営はどう違うか

 最近、品質経営と同時に環境経営という言葉が聞かれる。
品質経営が良く行われている会社の例として日本経営品質賞を受賞しているリコーやNECがあげられるが、この会社は環境経営の面でも有名である。
 こうなってくると何がなんだかわからなくなる。
そもそも品質経営も環境経営も正式の定義はないようだ。
品質経営は Quality Management からきているようだ。とするとISO9000シリーズのQuality Managementの8つの原則がその考え方の基本ということになる。
これを簡単に言うなら
「企業の経営が顧客の視点から、プロセス、組織、人、システムが有機的に組み合わさって運営されること」ということであろうか。

それでは環境経営とは何かというと、
 「継続的に環境保全に取り組むために、環境保全と利益創出を同時に実現していくこと」・・・リコー
 「環境経営とは、今までの利益追求型企業経営に「環境」という新たな側面 を考慮した経営概念です。すなわち、「環境に配慮した事業活動を行いながら利益を確保し、持続的な発展をする」ことを目的とした経営概念です。」・・・某コンサル会社
 「事業活動に伴う環境負荷を削減し持続可能な経営を実践すると共に、提供する製品を通じてお客様、さらには社会全体の環境負荷を削減し、持続可能な社会構築へ貢献すること。」・・・NEC
というとこれまた考え方が微妙に違っている。
しかし、少なくとも、環境改善活動として紙・ゴミ・電気だけしかやっていない会社は環境経営に入らないようだ。

話は違うが、平成16年度の環境白書にこんな話が載っている
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コラム 「共有地の悲劇」と環境問題
 「共有地の悲劇」は、1968年にハーディンが発表した行動モデルで、環境問題との関連などで議論されています。共有地である牧草地で人々が羊を飼っている場合、牧草地の容量内において羊を飼育している限り、問題は生じません。しかし、羊を多く飼育して多くの収入を得ようとその頭数を増やしていくと、やがて牧草地の容量を超え、牧草は枯渇します。
 個人にとっては、増やした羊分だけ利益が多くなりますが、その一方、牧草の減少により牧草地全体で見れば損失が多くなります。しかし、後者については全体の中に分散するため、個人の経済的利潤のみを追求した場合には、羊を増やすことの方が合理的な判断となり、このようなことが起こります。
 これは環境問題にも当てはまります。例えばエアコンの効いた部屋で快適に過ごしたり、自動車に乗ることは、個人の利益の達成ということでは合理的な判断といえます。しかし、多くの人が同じように行動すれば、結局は地球温暖化が進み、多くの人がその被害を受けます。
  ――――――――――――――――――――――――
即ち、環境を考慮して経営を行うことは、今や地球市民(いや生物共通)の顕在化しつつあるニーズである。

品質経営は、顧客のニーズを第一に考えて経営することであるが、この顧客を単に製品の購入者・利用者だけでなく、地球市民まで広げると「品質経営=環境経営」となる。
リコーやNECは、その考え方に至っているので、品質経営といったり環境経営といったりしても矛盾を感じないのではないだろうか。

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