顧客所有物の管理
ISO9001 要求事項 7.5.4 顧客所有物の管理に「組織は、顧客の所有物について、それが組織の管理下にある間、または組織がそれを使用している間は、注意を払うこと」と行う項目がある。
その次のパラグラフに、顧客所有物の識別、検証及び保護・防護の実施すること、紛失、損傷した場合には顧客に報告すること、と記述されているが、何となく解りにくい。例えば、お金を預かった場合とか、土地を預かった場合はどうなるのか疑問に思っていた。
今日届いた日経Express 寺山正一の「産業夜話」を読んでいたらダイエー問題に絡んで次のような話がでていた。
- ここから引用 -
資本主義などという概念が登場するはるか以前の紀元前1300年代に、旧約聖書は出エジプト記の「盗みと財産の保管」という項目で、貸し借りの契約について詳しく触れている。
イスラエルの民を率いてエジプトを脱出したモーセに対し、神がシナイ山で「十戒」を授ける有名な場面は何度か映画にもなっているので、ご存じの方も多いと思う。「盗んではならない」という十戒のいわば細目に当たる部分を以下に抜粋する。
「人が隣人から家畜を借りて、それが傷つくか、死んだならば、所有者が一緒にいなかったときには必ず償わねばならない。もし、所有者が一緒にいたならば、償う必要はない。ただし、それが賃借りしたものであれば、借り賃は支払わねばならない」(旧約聖書出エジプト記22章13~14節)
旧約聖書は神と人間の契約を表すもので、ユダヤ教とキリスト教の原典と言っていい。
資本主義どころか貨幣経済が成立する以前の話だが、借りたもの、つまり家畜が傷ついたり死んだりして役に立たなくなったとしても、借り手には弁済の義務があるとはっきり述べている。
- 引用終わり -
なるほど! ISO9001 はキリスト経文化圏の国が中心になって作っものなので「注意を払うこと」という言葉には、そんな意味がこめられていたんですね。目の前の霧が晴れたような気がしました。
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