2005.07.05

ISO9000:2008年改訂

 7月4日、日本品質学会第103回シンポジュウムで ISOTC176の日本代表委員の飯塚、平林、住本、福丸各先生より ISO9000の2008年改訂動向の説明があったので要約を紹介します。

規格改定の状況は、現在ワーキンググループができて、これから内容を検討する段階であるが、これまでのSC2委員会での決定では、次の内容となる見込みです。
 
ISO9001規格
 要求事項の変更はないが、Amendment(追補)として誤解を招きやすい箇所の表現の変更がある。現在各国より42項目の訂正提案が出ており、この内容について検討し修正を加えていくことになる。
なお、2008年の次の改訂(2012年?)では、品質と環境がより整合が取れた規格としてISO9001とISO14001の同時改訂が予定されている。 従って、2008年度は表現方法の修正に留める方針とのことです。

ISO9004規格
 日本から提出した重要文書
  JIS TR Q0005 クオリティマネジマントシステム-持続可能な成長の指針
  JIS TR Q0006 クオリティマネジマントシステム-自己評価の指針
を取り込む形で、大幅改訂が行われる見通しである。
なお、現在あるJIS TR Q0005/0006は、内容が改正され、この秋にはJISに昇格する予定。新JISは見ることができませんが、JIS TR Q0005/0006は日本標準化調査会のホームページTS/TR検索より無料で閲覧することができます。
また、私の業務ホームページ経営アセスメント 「経営品質向上プログラム及びJISQ0005/0006」 でも概念を紹介していますので参考にしてください。

一部でISO9001は役に立たないという風評が流れていますが、ISOを経営に役に立たせるツールとして、JIS Q 0005/Q0006 の導入がきっかけとなるとよいですね。

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2005.06.22

「経営者の責任」について

ISO9001 5.1 には、「トップマネジマントは、法令・規制要求事項を満たすことは当然のこととして、顧客要求事項を満たすことの重要性を組織内に周知すること」という項目がある。
ここのところは、読めば言葉上の意味はわかるが、資本主義の原理を理解し納得しないと機能しない。

下記は経済の原則についての一般論である。

自由主義の社会では財産は原則として自分のものである。私有財産が認められているから、人々は才覚を働らかせたり、一生懸命働けば財産を増やすことができる。これが資本家の利潤動機へとつながる。そこで利潤を得ようと競争が生まれ、みんなが智恵を絞って懸命に働くようになり全体が豊かになる。
ところが、この利潤動機が悪い方へ働けば、他人を騙ましたり、世間を欺いても儲けようということになり、社会は荒廃する。
そこで、資本主義には悪い方へ向かわないような歯止めが必要になってくる。
ピーター・ドラッカーは「現代の経営」の中で、企業が社会の中に存在するからには、その企業の目的は、その企業の中にはない。企業をその一部とする社会の中になければならない。企業もその他の組織も、「人間的、社会的、道義的」なものに他ならない。そうでなければ存在価値がないという。
この存在価値とは、企業理念ということになる。
また、企業の目的は顧客に対して価値を与えるということである。その結果として利潤が付いてくるのであって、先に利潤があるのではない。
そこで企業は次の質問に答えなければならない。
1. 我々の顧客とは誰か
2. 顧客が本当に求めるものは何か
3. 顧客にとって価値あるものは何か

ところが、このところ起きている不祥事、三菱自動車、JR西日本、日本航空、さては私の出身であるコマツにいたるまで、自社内の利潤を第一に考え、社会にどのように貢献するかということを二の次に考えているようである。
これらの会社は企業の社会的責任(CSR)、コンプライアンスを盛んに口にはするが、本音は利潤が第一であって、罪滅ぼしにCSRをやっています、といっているように見える。

CSRは手法ではない。小手先のCSRをやっても、個々の社員の倫理観が変わっていなければ機能しない。
しかし、大企業の中にいると組織内の理論が優先され、中々それが分からないんでしょうね。

ISO9001 5.1項は、トップマネジメントに対して、法規制の遵守(コンプライアンス)や顧客価値を創造していくことの重要さを組織内のひとりひとりの社員にまで徹底していくことを要求している。

この項は、組織のあり方までさかのぼる重要な意味を含んでいますね。

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2005.06.19

顧客満足度日本一「ホンダクリオ新神奈川」を読んで

2004年度の日本経営品質賞を受賞したPHP出版社の「ホンダクリオ新神奈川 サービスの底力!」を読んだ。
読んでみて、ホンダクリオ新神奈川のユニークな店舗経営や人づくりが参考になった。

しかし何と言っても、相澤社長が事業の目的をどうとらえているかにキーポイントがあるような気がした。
マーケティングの逸話で、マクドナルドは顧客価値を「QCS=清潔な店、早いサービス、親しげな笑顔」と定義した。もし、マクドナルドが「世界一おいしいハンバーガー」を追求したいたら、会社そのものはなくなっていたろうといわれている。

ホンダクリオ新神奈川にも、これと同じ視点がある。
「お客さまは神様ではない。商品の魅力で買う人はいない。 この本に明確に表現されている訳ではないが、お客さまの求めているものは、『お客さまの目線に立ったサービス、笑顔、心の通い合い』と定義し、この立場から事業を展開していることに成功要因がある。
更に、付け加えて言うならば、これを徹底的に行っている。
「顧客満足とは・・・言葉を変えて言うならば・・・顧客の期待を超えるサービスを、与える方も楽しそうに行うこと。そしてお互いがハッピーになること」ではないでしょうか?

以下にこの本の中で紹介されている特徴的なことをメモしました。

・お客さまは神様ではない、弱者である。常に不安を抱えている。だから、弱者をいたわりご機嫌を伺うように対応しなければならない。
・売り掛けは一切しない。商品を渡してお客さまが喜んでいるときにお金を払ってもらうのがお互いにとって最もよい。
・「売る店」ではなく、「買っていただく店」。営業マンは、あまり積極的に話しかけないで、お客さまの話をじっと聞いている。まずは、お客さまが何を知りたがっているかを把握し、本当に欲しい情報を提供する。
・マニュアルはない。30Sが基本、入社したときに、30Sを徹底的に理解してもらう。後は先輩の姿が先生となる。
・店づくりでの特徴
  - 毎朝歩道1キロ位を全員で掃除する
  - トイレは清潔はあたり前、楽しいトイレを作る
  - 1日1回道路の向こうから、お客さまの立場になって店を見る
  - 売るための広告をしない。お客さまに店に来てもらい、買ってもらう情報を提供する
  - 値引きをしないで、その分アフターサービスをしっかりさせてもらう
  - 毎月、アンケート、アンケートの結果に大騒ぎする
  - お客様のクレームには100倍騒ぐ、それでお客さまと同じ感覚になれる
  - 製品説明はお客さんの立場でやさしい言葉で説明する
・「人」作りのポイント
  - 社員は褒めない、お客さまが褒めてくれる。それでバランスが取れる。
  - 終身雇用、やめた社員がまた戻ってくる会社
  - 全員接客、売り上げが増えれば、全員に報償がある
  - 先輩の行動が、仕事のマニュアル

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2004.10.15

顧客所有物の管理

 ISO9001 要求事項 7.5.4 顧客所有物の管理に「組織は、顧客の所有物について、それが組織の管理下にある間、または組織がそれを使用している間は、注意を払うこと」と行う項目がある。
その次のパラグラフに、顧客所有物の識別、検証及び保護・防護の実施すること、紛失、損傷した場合には顧客に報告すること、と記述されているが、何となく解りにくい。例えば、お金を預かった場合とか、土地を預かった場合はどうなるのか疑問に思っていた。
 今日届いた日経Express 寺山正一の「産業夜話」を読んでいたらダイエー問題に絡んで次のような話がでていた。
  - ここから引用 -
 資本主義などという概念が登場するはるか以前の紀元前1300年代に、旧約聖書は出エジプト記の「盗みと財産の保管」という項目で、貸し借りの契約について詳しく触れている。
 イスラエルの民を率いてエジプトを脱出したモーセに対し、神がシナイ山で「十戒」を授ける有名な場面は何度か映画にもなっているので、ご存じの方も多いと思う。「盗んではならない」という十戒のいわば細目に当たる部分を以下に抜粋する。
 「人が隣人から家畜を借りて、それが傷つくか、死んだならば、所有者が一緒にいなかったときには必ず償わねばならない。もし、所有者が一緒にいたならば、償う必要はない。ただし、それが賃借りしたものであれば、借り賃は支払わねばならない」(旧約聖書出エジプト記22章13~14節)
 旧約聖書は神と人間の契約を表すもので、ユダヤ教とキリスト教の原典と言っていい。
資本主義どころか貨幣経済が成立する以前の話だが、借りたもの、つまり家畜が傷ついたり死んだりして役に立たなくなったとしても、借り手には弁済の義務があるとはっきり述べている。
  - 引用終わり -

なるほど! ISO9001 はキリスト経文化圏の国が中心になって作っものなので「注意を払うこと」という言葉には、そんな意味がこめられていたんですね。目の前の霧が晴れたような気がしました。

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2004.10.14

サービスの第三者評価

 10月8日に病院の第三者評価について書かせてもらいましたが、昨日、日本薬剤師会も2007年度から第三者評価を行うという発表があった。サービス業については第三者評価が大流行である。今まで官で行っていたサービスを、民に移すにあって、競争原理を働かせるツールの一つが第三者評価ということだろう。
しかし、今まで全業種を共通的に行える第三者評価機関として、ISOの認証という仕組みがあった。ISOではどうしてダメなのか。ISO9000と第三者評価の違いは専門的領域について、ISO9000では、どこまでやらなけらばならないという基準はないが、何が問題かを明確にして継続的に改善する仕組みがあるかということを審査しているのに対して、第三者評価では、専門的領域について、どこまで達成しなけらならならないという基準があり、この基準に対して評価している点である。
 どちらのも、一長一短があるが、利用者がサービス施設を選ぶ基準としては第三者評価の方がよいのかも知れない。 一方サービス施設自身の経営の改善という点ではISO900の方が良いのだろう。
 このような業界ごとの第三者評価制度を最初に作ったのが病院で、その次が保育所である。保育所は全国保育士養成協議会が昨年から開始している。現在38の保育所の評価結果をホームページ上の掲載しているが、全国に約3万の保育所があるというから、まだ0.1%に満たない。 
実は、私も保育園のISO9001/14001統合認証のお手伝いをしたことがある。私自身は、上記の点からISOと第三者評価の両方をミックスした方がベターと思い、一昨年、保育所養成協議会の評価員研修を受けさせてもらい、その内容を保育園の仕組み作りに活用させてもらいました。
その他、総務省や厚生労働省が、児童養護施設、介護サービス、介護保険サービス、国立大学法人についても第三者評価の導入を推進している。
これらの紹介記事は、私の業務ホームページのデータベース N0.1-09に入っています。

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